
黒猫のにゃんたる
星見の夜
星に名前があるって、本当だったにゃ。
本でしか知らなかった『さそり座』が、いま、ぼくの真上で光ってる。
知らないものを知る、っていうのは、世界が広がることだと思ってた。
でも、ほんとは、世界はずっとそこにあって、ぼくが追いついていくだけだったにゃ。
星をひとつ覚えるたびに、夜のほうが、ぼくのこと知ってる気がしてくる。
……というか、もしかしたら逆かもしれない。
ぼくが星を覚えるんじゃなくて、星のほうが、ずっと前からぼくを覚えてくれてたのかもしれないにゃ。
ところで、しっぽが冷たい。
星のことばっかり考えてたら、しっぽが、自分のしっぽじゃないみたいになってた。
猫だってこと、ときどき忘れるんだにゃ。