雨の日のコーヒーは、いつもよりちょっと濃くいれるにゃ。
外が暗いと、なんとなく、苦いものが合う気がする。
それは、たぶん、理屈じゃない。猫の勘みたいなもの。
雨を見てると、頭のなかで、しまってあった引き出しがゆっくり開く。
昨日のこと、先週のこと、もう忘れてたはずのこと。
湯気と一緒に、ぼんやりと、立ちのぼってくる。
雨は、思い出すための音なのかもしれない。
晴れの日に思い出さないことを、雨の日が代わりに連れてくる。
……コーヒーがぬるくなる頃、雨も、すこしだけ弱くなってた。
この温度が、たぶん、ぼくの好きな温度なんだにゃ。