
黒猫のにゃんたる
にゃんたる亭の朝
お店をひらいてから、毎朝、いちばんに豆を挽くにゃ。
にゃんたる亭。
常連さんは、たいてい同じ席に座って、たいてい同じものを頼む。
ぼくも、たいてい同じ手つきで、コーヒーをいれる。
『たいてい同じ』が、いいんだにゃ。
新しいことが起きないお店、って、なんだか物足りないように思われるかもしれない。
でも、毎日同じことを繰り返せる場所って、たぶん、いちばん贅沢。
カウンターの向こうで、みけ猫さんは絵を描き、うさぎさんはあくびをする。
いつもの景色。
それを見ながらコーヒーを淹れてるぼくは、たぶん、世界でいちばんしあわせ。
……ところで、自分の分のコーヒーを淹れるのを、よく忘れる。
気がついたら、お客さんが帰ってる時間になってる。
明日は、ちゃんと、ぼくのも淹れるにゃ。