← 絵日記展に戻る33 / 42
月見酒

ふさふさのにゃんたる

月見酒

月がきれいな夜は、お酒を一杯だけ、いただくにゃ。

『一杯だけ』っていうのが、大事。それ以上だと、月の話じゃなくなる。

おちょこのなかに、月が映ってる。口元に運ぶと、月もいっしょに、口に入る。ぼくのなかに、月のかけらが住んでくれる、と思いたい。

『月を飲む』って、たぶん、昔の人がやってたことなんだにゃ。お師匠さんも、たまに、こういう夜にだけ、お酒を飲んでた。

世界は、こうやって、小さな儀式でできてる。意味なんてないかもしれない。でも、意味がないことを、わざわざ大事にする。それが、たぶん、生きるってことなんだ。

……今夜の月は、ぼくのおちょこのなかで、ちょっとだけ揺れてた。