新米が届いた日は、土鍋で炊くって決めてるにゃ。
ふたを開ける瞬間は、いつも、ちょっとだけ息を止める。
湯気の向こうに、つやつやの白が見えたら、それで一年分、ほっとする。
お米って、春に植えて、夏を越えて、秋にやっと、ここに来る。
ぼくが食べるひと口のなかに、知らない田んぼの一年が入ってる。
……そう考えると、ぼくが炊いてるんじゃなくて、
一年が、最後の仕上げだけ、ぼくに任せてくれてるのかもしれない。
しゃもじを持つ手が、すこし、ていねいになる。
おこげのところは、ぼくのぶん。これは毎年ゆずれないにゃ。