火曜日の棚
そっと・3分

火曜日の棚:コンビニの新商品を、楽しみに生きてる

匿名の夜勤明け・3分・そっと

夜勤明けの朝6時、コンビニに寄るのが日課だ。

世間が出勤する時間に、俺は一日を終えてる。スーツの人の流れに逆らって歩いて、店に入る。

で、火曜日。

火曜日は新商品の日なのだ。棚がちょっとだけ変わってる。新しいパン、新しいチューハイ、期間限定の何か。

こんなもん、と思うだろうか。俺も昔は思ってた。

夜勤を始めた頃、生活から友達が消えた。誘われても寝てる時間だし、起きてる時間にはみんな働いてる。休みの日に一人で起きて、今日何すんだっけ、と天井に聞く生活。

正直、けっこうきつい時期があった。何のために働いてるのか、考えると良くない方に行く。だから考えないようにしてたけど、考えないようにするのも体力がいる。

新商品に気づいたのは、そういう時期だった。

いつものパンを取ろうとしたら、隣に見たことないやつがいた。買った。うまくはなかった。でも次の火曜日、また棚を見てる自分がいた。

それから何年か経って、今も火曜日の棚を見てる。

当たりの週もあれば、外れの週もある。「これ考えたやつ、会議で何言われたんだろうな」ってやつもある。そういうのも含めて、見てる。

でかい楽しみじゃないと、生きる理由にならない。誰が決めたんだろうな、そんなこと。

俺の一週間は火曜日の棚で回ってる。

今週は、新しい塩むすびだった。塩むすびの新商品って何だよ、と思いながら食った。

普通にうまかった。

― 匿名の夜勤明け

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