雨上がり
そっと・3分

雨上がり:空の写真を、毎日1枚だけ撮っている

匿名の空撮り人・3分・そっと

3ヶ月前から、毎日空の写真を1枚だけ撮っている。

きっかけは特にない。
仕事帰り、なんとなくスマホを空に向けた。
夕焼けがきれいだったから。

撮った写真を見返したら、思ったより良かった。
別にカメラの腕がいいわけじゃない。空がきれいだっただけ。

次の日も撮った。その次の日も。
気づいたら、毎日撮るようになっていた。

ルールは一つだけ。1日1枚。

朝の通勤中に撮ることもあれば、昼休みのこともある。
帰り道に撮ることが多い。
忘れそうな日は、ベランダから夜空を撮る。星は映らないけど、暗い空でもいい。

90枚くらい溜まった。
並べて見ると、全部違う。

同じ時間に撮っても、昨日と今日で雲の形が違う。色が違う。光が違う。

当たり前のことだけど、毎日ちゃんと違う空が来てるんだな、と思った。

一番好きなのは、雨上がりの空。
灰色と青のあいだみたいな色をしている。
きれいとも、きれいじゃないとも言えない。でも好き。

嫌なことがあった日の空も撮ってある。
上司に怒鳴られた日。帰り道に撮った空は、ぼんやりした曇りだった。
でも写真で見返すと、雲の端っこが少しだけオレンジがかっていて、あのとき自分は気づいてなかったけど、空はきれいだったんだな、と思った。

嫌な日にも空はある。
辛い日にも空はある。
何もない日にも、空だけはある。

友達に写真を見せたことがある。
「……全部空じゃん」って言われた。
うん、全部空。

でも1枚として同じものがない。
それってすごいことだと思う。

最近は朝、出かける前に空を見上げるようになった。
今日はどんな空だろう、と思って。
それだけで、玄関を出る足が少し軽くなる。

大げさなことじゃない。
ただ空を撮ってるだけ。

でも、この「だけ」が、毎日を少しだけ楽しみにしてくれている。

明日はどんな空だろう。

― 匿名の空撮り人

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