平日の午後2時、公園のベンチにいる。
仕事を休んでいる身には、少し居心地の悪い時間だ。世間は働いている。私は座っている。
最初の頃は、この時間が苦手だった。ベンチに座っていても、頭の中は会社にいた。今ごろあの会議か、とか。私の机、どうなってるんだろう、とか。
今日は、電線に鳥がとまっていた。
すずめより大きくて、はとより小さいやつ。名前は知らない。
一羽、二羽、三羽。
数えていたら、二羽飛んでいって、四羽来た。計算が合わなくなって、最初から数え直した。
七羽になったところで、ぜんぶ一斉に飛んだ。
理由は分からない。私には聞こえない何かが、聞こえたんだと思う。
空っぽになった電線が、まだ少し揺れていた。
それを見ていた時間、私は会社のことを考えていなかった。あとで気づいた。考えてなかったことに、あとから気づくのだ。ああいう時間は。
明日も来るかは、分からない。雨かもしれないし、気が向かないかもしれない。
でも今日、私は鳥を数えた。
誰の役にも立っていないし、何も生み出していないし、履歴書にも書けない。
電線の揺れが止まるまで見ていた人間が、今日この町に一人いた。
それでいいような気が、している。
---
*© 2026 匿名の鳥を数える人*