
…「大人になってから出てくる」とも、「子どもは順応する」とも聞く。25年追いかけた答えは、そのあいだにあったにゃ。
こんな会話、聞いたことないにゃ?
離婚を考えている親にとっても、
親の離婚のなかで育った人にとっても、
いちばん気になるところにゃ。
同じ子どもたちを25年、
追いかけた人がいるにゃ。
カリフォルニアの心理学者、ウォラースタインさんは、1970年代のはじめに親が離婚した131人の子どもたちを、25年追いかけたにゃ。60の家族の子どもたちで、離婚したときは3〜18歳だったにゃ。
およそ5年ごとに会って、じっくり話を聞いたにゃ。2000年に本にまとめたころ、子どもたちは20代の終わりから40代のはじめになっていたにゃ。
はじめ、ウォラースタインさんは、子どもたちのつらさは一時のものだろうと考えていたにゃ。
むずかしさが目立ってきたのは、いつだったと思う?
離婚の直後は落ちついて見えた子どもたちのなかに、
若い大人になって、
人を信じること・深くつながること・
結婚や親になると決めることに、
むずかしさを感じる人が目立った
ウォラースタインさんは、これを「スリーパー効果(眠っていた影響)」と呼んだにゃ。
暮らしの言葉にすると、こんな感じにゃ。
小学生のころは、親の前でいつもどおり笑っていた。大学生になって恋人ができたら、「どうせいつか離れていく」と思って、自分から距離をとってしまう。結婚の話が出ると、急にこわくなる。
親から見れば「もう乗りこえた」ように見えていたのに、子どもの中では、話がまだ終わっていなかったのかもしれないにゃ。
ウォラースタインさんの見方では、恋愛や結婚が自分のこととして目の前に来たとき、親の結婚の記憶が動きだすにゃ。
彼女は講演で、親の経験という「力の強い幽霊」は、大人になってから立ち上がってくる、と話していたにゃ。
ただ、別の見方もあるにゃ。この研究の家族には、離婚の前から悩みを抱えていた家族が多かったと言われているにゃ。
だとすると、あとから出てきたむずかしさは、離婚そのものより、その前からの家の空気が残したものかもしれないにゃ。どちらの説も、まだ決着はついていないにゃ。
ウォラースタインさんの研究の家族は、夫婦の悩みで彼女の相談の場に来た人たちが中心で、カリフォルニアの中流の60の家族だけだったにゃ。両親がそろった家庭の人たちと比べたのも、25年目からだったにゃ。
2002年には、アメリカの約1,400の家族と2,500人あまりの子どもを、長い家族では30年近く追いかけた研究が、本にまとめられたにゃ。家庭を何日も訪ねて暮らしを見るやり方で、両親がそろった家族も同じように調べていたにゃ。
親が離婚した家庭のほうが、2倍ほど多かったにゃ。
でも同じ研究は、親が離婚した子どもの75〜80%が、やがて仕事や恋愛を始めて、両親がそろった家庭の同じ年ごろの人たちとあまり変わらずに暮らしていた、とも書いているにゃ。
つまずく人は多めにいる。でも、大多数は自分の道を歩いていた。どちらも本当にゃ。
12年かけて親子を追いかけた別の研究では、争いの激しい家では親が別れたほうが、争いの少ない家では別れずにいたほうが、若い大人になった子どもの調子が良かったにゃ。分かれ道は「離婚したかどうか」だけではなさそうにゃ。
研究の家族が離婚したのは、スマホもSNSもない1970年代のはじめにゃ。子どもたちは、親の様子を家の中で見て、聞いていたにゃ。
いまは、親どうしのやりとりも、子どもの迷いも、画面の中に残るにゃ。
離婚を考えてスマホで調べると、「子どもは順応する」と「一生の傷になる」が、同じ検索結果に並ぶにゃ。研究を並べてみると、どちらか一方ではなかったにゃ。つまずく子は多めにいて、でも大多数は自分の道を歩いていた。片方の言葉だけで、自分を責めなくていいにゃ。
別れたあとも、受け渡しの時間や学校のことを、親どうしがLINEでやりとりする家もあるにゃ。研究が見ていたのは家の中の争いだったけれど、言い合いが画面ごしに続いて、子どもが「パパに伝えておいて」と間に立つなら、それも子どもの見ている争いになるのかもしれないにゃ。
恋人とうまくいかない夜に、「親が離婚したからかな」と思うことがあるかもしれないにゃ。いまはSNSで、同じ思いを書いている人に出会えるにゃ。研究の子どもたちが話してくれたむずかしさは、あなただけのものじゃない。そして、それで先が決まるわけでもないにゃ。
画面が増えたぶん、争いも、同じ思いの人とのつながりも、子どもに届きやすくなったのかもしれないにゃ。
親が離婚した子どもに、ひとつだけ言葉を届けられるとしたら、どれを選ぶ?(むかしの自分にでも、わが子にでも)

「子どものために、我慢すべきだったのか」
「親が離婚したから、私は恋がこわいのかな」
親の側からも、子の側からも、
何年も抱えられてきた問いにゃ。
もっと大きな研究では、
4人に3人以上の子が
自分の道を歩いていたにゃ。
争いの激しい家と少ない家とでは、
答えが入れかわってもいた。
分かれ道は、別れたかどうかより、
家の中で何を見て育ったかのほうに
あったのかもしれないにゃ。
どの説が正しいかは、
まだ決着のついていない話にゃ。
だから、ここからはねこたちの仮説。
親の側から見れば、子どもの話は
「もう乗りこえた」のあとも
続いていたにゃ。
続いているあいだは、
そばで手を貸せる時間も
まだ続いているということにゃ。
幽霊が出てきたのは、
大事な人ができた
部屋だったにゃ。
恋の手前でこわくなった夜は、
明かりをつけて、
ひとつだけ聞いてみるにゃ。
「これは、あの家の話?
それとも、この人との話?」
平気そうなわが子を見ている親なら、
何年かたってから、
あのころの話を
もう一度聞いてみる手もあるにゃ。
眠っていた話が見つかったのは、
5年たって、もう一度
聞きに来た人がいたからにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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