
…望んだのは、離婚では妻が約7割。結婚していないふたりの別れでは、ほぼ半々だったにゃ。
こんな話、聞いたことないにゃ?
「最後の一言」を口にするのは、
妻のほうが多いらしい。
それは、ひとりひとりの性格の話なのか。
それとも、結婚という形に
何かがあるのか。
数えてみた人がいるにゃ。
社会学者のローゼンフェルドさん(2018年)は、アメリカの全国調査のデータを使ったにゃ。2009年に異性のパートナーがいた2,538人を、2015年のはじめまで、約6年追いかけた調査にゃ。
そのあいだに別れたのは371件。そのうち離婚は92件。
別れた人に「別れをより望んだのは、あなたと相手のどちら?」と聞いて、結婚していた人、結婚せずにいっしょに住んでいた人、いっしょに住んでいない恋人とで比べたにゃ。
離婚では、妻の側が望んだ割合は約7割だったにゃ。では、結婚せずにいっしょに住んでいたカップルの別れでは、女性の側が望んだ割合はどのくらいだったと思う?
妻の側が離婚をより望んでいた割合
「ふたりとも同じくらい」は半分ずつに数えて
離婚の数は多くないけど、半々とははっきり違う大きさだったにゃ。1940年代からのほかの調査でも、だいたい3分の2と出ていて、それとも合っていたにゃ。
いっぽう、結婚していないふたりの別れは、男女ほぼ半々。だとしたら、女性がもともと「別れたがり」なわけじゃないにゃ。結婚のなかで、何かが起きているのかもしれないにゃ。
もうひとつ。だれが答えたかでも、数字が変わったにゃ。
どちらが答えても、半分より多かったにゃ。
別れのあとでは、人は自分の役を少し大きめに覚えるらしいにゃ。妻も夫も、それぞれ「自分が決めた」に少し寄せて答えている。
それでも、夫の側から見ても、離婚を望んでいたのは妻のほうが多かったにゃ。
ローゼンフェルドさんは、よく言われる理由をひとつずつ確かめたにゃ。
「女性のほうが関係の不調に敏感だから」なら、結婚していないカップルでも女性が多くなるはず。でも、そうはならなかったにゃ。ふたりの収入や学歴の差、妻の年齢、子どもがいるかどうかも、妻に偏る理由を説明できなかったにゃ。
見えてきたのは、結婚している人の満足の差だったにゃ。調査の最初の年に、ふたりの関係が「とてもよい・よい・まあまあ・よくない・とてもよくない」のどれかを聞いていたにゃ。
結婚していないカップルでは、男女の答えにほとんど差がなかったにゃ。
差は小さいにゃ。多くの妻は、幸せに結婚しているにゃ。
それでも、この小さな差だけで、離婚を望む側が妻に多くなることは起こりうる。ローゼンフェルドさんは、そう考えているにゃ。
では、なぜ結婚している妻だけ、少し満足が低いのか。ひとつの説は、結婚という形そのものにゃ。
家事の分け方の男女差は、同棲より結婚のほうが大きい。これまでの研究で、くり返しそう出ているにゃ。共働きの夫婦を調べた別の研究でも、家事の分け方を「不公平」と感じていると、離婚につながりやすかったのは妻の側だけだったにゃ。
ただ、別の説もあるにゃ。結婚するかどうかは男性の側が主導しやすいので、男性の好む役割分担のカップルほど、結婚に進みやすいのかもしれない。
どちらなのかは、まだ決まっていないにゃ。
「望んだ」ではなく、だれが離婚を申し立てたかを、記録で数えた研究もあるにゃ。
2000年に発表された研究では、アメリカの4つの州の、1995年の離婚の記録4万6千件あまりを調べたにゃ。
妻の側が離婚を申し立てた割合
州によって少しずつ違う
いちばん強く結びついていたのは、子どもを引き取る見込みだったにゃ。引き取ると見込める側が、申し立てることが多かったにゃ。
それが損得の話なのか、家事や子育てをひとりで抱えた疲れの話なのかは、まだわかっていないにゃ。
オーストラリアの別の研究でも、子どもがいることは夫と妻どちらの「別れよう」もおさえていて、妻に偏る理由は子どもとは別のところにありそうだ、と見ているにゃ。
ローゼンフェルドさんも、「なぜ妻が離婚を望むことが多いのかは、まだはっきりしない」と書いているにゃ。
研究のデータは、2009年から2015年のアメリカのものにゃ。手がかりとして挙がっていたのは、家事の分け方だったにゃ。
いまの日本の暮らしに置き換えると、結婚して増えるものは、家事だけじゃないかもしれないにゃ。
義実家とのLINEグループ、親戚へのお礼、保育園の連絡アプリ、名字が変わったあとの手続き。同棲のころにはなかった役目が、結婚するとまとめてやってくるにゃ。調査はそこまで聞いていないけれど、共働きでも、その窓口がいつのまにか妻に寄っている家は、少なくないかもしれないにゃ。
研究では、あとで離婚した人のなかにも、最初の年には関係を「とてもよい」と答えていた人が少なくなかったにゃ。忙しい毎日のなかでは、小さな引っかかりほど「いま言うほどじゃない」と後回しになりやすいにゃ。
「私ばかり」と言う前に、ふたりの役目を書き出して並べてみる。共有のメモやカレンダーに置くだけでも、相手に見えていなかったものが見えることがあるにゃ。
理由がひとつに決まっていないぶん、ふたりの家の形は、ふたりで見直していいと思うにゃ。
もし、ずっと引っかかっていることをパートナーに伝えるとしたら、いまのあなたはどれに近い?

「離婚を考えるなんて、
私のわがままなのかな」。
ねこたちはこの問いを、
結婚していないふたりの別れと
並べてみたにゃ。
離婚を望んだのは、妻が7割。
それだけ見れば、
「やっぱり女のほうが」と
読めてしまう数字にゃ。
でも、結婚していないふたりの別れは、
男女ほぼ半々だったにゃ。
偏りが出たのは、
結婚しているときだけ。
では、結婚の何がそうさせるのか。
ここから先は、まだ地図に
道が描かれていないところにゃ。
家事の分け方の差かもしれない。
男の人の好む分け方のふたりほど
結婚に進む、というだけかもしれない。
ローゼンフェルドさん自身が
「まだはっきりしない」と書いた所に、
ねこたちも、旗は立てないでおくにゃ。
「結婚している女性の多くは、
幸せに結婚している」
離婚の7割を数えたローゼンフェルドさんが、
結論のところに書きそえた一文にゃ。
望んだのは妻が多い。
それでも、妻の多くは幸せでいる。
ふたつが並んで本当なのは、
夫と妻の満足の差が、
10人に1人ほどの小ささだからにゃ。
大きな不満じゃないぶん、
外からも、本人からも見えにくい。
「こんなことで」と
自分を疑いたくなるのは、
たぶん、その小ささのせいにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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