
…結婚の満足度は「U字で戻る」と言われてきた。同じ人を17年追いかけた調査があるにゃ。
こんな気持ち、ないにゃ?
今が永遠に思えるしんどさ。
「子育てが終われば、また戻るよ」
という話を、
聞いたことがあるかもしれないにゃ。
それを、確かめに行った人たちがいるにゃ。
結婚の満足度は、新婚のころが高くて、子育ての時期に下がり、子どもが巣立つとまた上がってくる。線にするとU字になるので、「U字カーブ」と呼ばれてきたにゃ。
ただ、それまでの研究の多くは、ある一度に、いろんな人に聞いた調査だったにゃ。調べ方には、大きく2つあるにゃ。
手早く比べられるにゃ。
でも、並んでいるのは別々の人たちにゃ。
時間も手間もかかるにゃ。
そのかわり、ひとりの変化がそのまま見えるにゃ。
アメリカの社会学者、ヴァンラニンガムさんたち(2001年)は、全国の結婚している人たちに、17年のあいだに5回、同じ人に聞き直した調査を使ったにゃ。
まず、1回目の答えだけを「結婚何年目か」で並べてみると、ちゃんとU字が出たにゃ。これまでの研究と同じにゃ。
では、同じ人の変化を追いかけると、どうなったか。
同じ人を追いかけたとき、結婚の後半の幸せの度合いはどうなっていたと思う?
・結婚何年目でも、幸せの度合いは少しずつ下がっていた
・結婚の後半に上がってくる形は、見られなかった
・下がり方がいちばん大きかったのは、結婚のはじめのころと、ずっとあとのころ
・1980年代のほうが、1990年代より大きく下がっていた(時代の影響もありそう)
研究チームは、U字は一度に聞く調査がつくった見かけで、アメリカの夫婦によくある形ではない、とまとめているにゃ。
暮らしの言葉にすると、「子どもが手を離れたら、自然にまた仲よくなる」という順番は、追いかけた人たちの中では見つからなかった、ということにゃ。
それから、下がり方が時代によってちがっていたことも大事にゃ。夫婦の気持ちは、その時代の暮らしにも動かされているにゃ。
考えられる理由のひとつはこうにゃ。
結婚30年目の人たちに聞くと、そこにいるのは「30年続いた夫婦」だけ。途中で別れた夫婦は、もうその列にいないにゃ。
満足していた夫婦ほど残りやすいなら、後半の列の平均は、高く見えやすいにゃ。
子育ての時期については、たくさんの研究をまとめた分析で、子どもが生まれたあとは満足度が少し下がりやすく、その理由として、役割どうしのぶつかり合いと自由が少なくなることが挙げられているにゃ。
ただ、新婚のころから追いかけた研究では、子どもを持たなかった夫婦も、同じくらいの期間で同じくらい下がっていたにゃ。「子どものせい」だけとも言えなさそうにゃ。
「じゃあ、下がる一方なの?」
…と思ったかもしれないにゃ。
でも、いまの話は平均の線にゃ。
みんながその上を
同じように歩いているとは
かぎらないにゃ。
2010年に、1980年から結婚している人たちを追いかけてきたアメリカの全国調査を使って、結婚がずっと続いた706人の道すじを調べた研究があるにゃ。
平均を一本引くかわりに、「似た変わり方をした人たち」ごとにグループに分けたにゃ。すると、道すじは5通りに分かれたにゃ。
いちばん多かったのは、どんな道すじだったと思う?
幸せの度合いが高いまま、あまり変わらなかった人は
残りの3分の1には、ずっと低いまま・低くてさらに下がる・下がってから戻る、などの道すじがあった
「下がってから戻る」U字の人たちも、ちゃんといたにゃ。でもそれは、何通りかあるうちの一つだったにゃ。
どの道すじになるかと関係していたのは、夫婦のあいだの問題の多さと、ふたりで一緒に過ごす時間。それから、少しだけ家計の苦しさだったにゃ。
ただ、これは別れずに続いた人だけを見た研究にゃ。「関係していた」は「それが原因」とまでは言えないことも、覚えておいてほしいにゃ。
研究の人たちが答えていたのは、1980年代から90年代のアメリカ。スマホもSNSもない時代にゃ。
いまの日本の暮らしに置き換えると、研究所のねこたちには、こんなふうに見えるにゃ。
タイムラインに並ぶ記念日の写真や家族旅行は、ちがう夫婦の、ちがう日の一場面にゃ。それと、しんどい日の自分たちを並べて比べると、やり方Aの調査と同じで、見かけの差が大きく見えやすいにゃ。
結婚も出産も遅くなったいまは、末の子が家を出るころ、親はもう60代という家もあるにゃ。U字の「いつか戻る」を待つには、谷がとても長いにゃ。戻る日を待つより、いまの道すじのほうを見たほうがいいのかもしれないにゃ。
平均の線は時代にも動かされていたにゃ。いまの暮らしの中で、どんな道すじを歩くかは、それぞれの家で少しずつ選べることだと、研究所のねこたちは思うにゃ。
もし、いま谷にいるように感じているとしたら、最初にしてみたいのはどれに近い?

「結婚してよかったって、思えない」
「ずっとこうなのかな」
…そう感じる夜、
自分の選択を疑ったことが
あるかもしれないにゃ。
U字の話は、
「今は谷だから、待てば戻る」と
言ってくれる、やさしい話だったにゃ。
でも追いかけて調べると、
待つだけで戻る形は
見つからなかったにゃ。
そのかわり、多くの夫婦は高いまま続いていて、
道すじのちがいには、
ふたりで過ごす時間や
問題の抱え方が関係していたにゃ。
706人の道すじのちがいと
結びついていたのは、
結婚何年目かではなく、
ふたりで過ごす時間と、
問題の抱え方だったにゃ。
「時期のせいだから、我慢」とは、
少しちがう話にゃ。
もちろん、暴力や虐待があったり、
責める言葉ばかりが続いていたりするなら、
それは別の話にゃ。
別の道を選ぶことも、ちゃんと正しい選択にゃ。
706人の道すじから、ひとつにゃ。
道すじは、
一本じゃないにゃ。
平均の線が、
あなたたちの行き先
とはかぎらないにゃ。
「ずっとこうなんだろうな」と
思った夜の自分に、
データはこう言うにゃ。
「平均の線は、少しずつ下がる。
でも、その線の上を
みんなが同じように
歩いているわけじゃない」
希望は無条件じゃない。
でも、絶望も無条件じゃないにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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