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ふたりの科学

「子育てが終われば、また戻るよ」。このしんどさ、待てば戻る?

…結婚の満足度は「U字で戻る」と言われてきた。同じ人を17年追いかけた調査があるにゃ。

この研究を一枚で
問い
結婚の満足度は、子育ての時期に下がり、子どもが巣立つと戻ってくる(U字)のか
どこで
アメリカの全国調査。結婚している人たちに、17年のあいだに5回、同じ人に聞き直した(VanLaningham ほか 2001)
どうやって
1回目の答えだけで「結婚何年目か」ごとに比べた場合と、同じ人の変化を追いかけた場合を比べた
わかったこと
1回目だけで比べるとU字が出た。でも同じ人を追うと、どの時期にも少しずつ下がっていて、後半に戻る形は見られなかった
その後の研究
結婚が続いた706人の道すじを分けると5通りあり、3分の2近くは高いまま変わらなかった(2010年の研究)。下がってから戻る人たちもいたが、何通りかのうちの一つだった

こんな気持ち、ないにゃ?

結婚してよかったって、もう思えない
夫の顔を見るのがしんどい
でも、ずっとこうじゃなかった
いつから、こうなったんだろう
(このまま、変わらないのかな)

今が永遠に思えるしんどさ。

「子育てが終われば、また戻るよ」
という話を、
聞いたことがあるかもしれないにゃ。

それを、確かめに行った人たちがいるにゃ。

🧪 研究 同じ人を17年追いかけた

「子育て期に底、
巣立ちで戻る」は
ほんとう?

結婚の満足度は、新婚のころが高くて、子育ての時期に下がり、子どもが巣立つとまた上がってくる。線にするとU字になるので、「U字カーブ」と呼ばれてきたにゃ。

ただ、それまでの研究の多くは、ある一度に、いろんな人に聞いた調査だったにゃ。調べ方には、大きく2つあるにゃ。

やり方A 一度に聞く

結婚1年目の人、10年目の人、30年目の人…に、同じ日に聞いて並べる

手早く比べられるにゃ。
でも、並んでいるのは別々の人たちにゃ。

やり方B 同じ人を追いかける

同じ人に、何年もかけて何度も聞き直す

時間も手間もかかるにゃ。
そのかわり、ひとりの変化がそのまま見えるにゃ。

アメリカの社会学者、ヴァンラニンガムさんたち(2001年)は、全国の結婚している人たちに、17年のあいだに5回、同じ人に聞き直した調査を使ったにゃ。

まず、1回目の答えだけを「結婚何年目か」で並べてみると、ちゃんとU字が出たにゃ。これまでの研究と同じにゃ。

では、同じ人の変化を追いかけると、どうなったか。

予想してみるにゃ

同じ人を追いかけたとき、結婚の後半の幸せの度合いはどうなっていたと思う?

📊 結果の読み方

「待てば戻る」は、
見つからなかった

📊 同じ人を追いかけたときの結果

・結婚何年目でも、幸せの度合いは少しずつ下がっていた
・結婚の後半に上がってくる形は、見られなかった
・下がり方がいちばん大きかったのは、結婚のはじめのころと、ずっとあとのころ
・1980年代のほうが、1990年代より大きく下がっていた(時代の影響もありそう)

研究チームは、U字は一度に聞く調査がつくった見かけで、アメリカの夫婦によくある形ではない、とまとめているにゃ。

暮らしの言葉にすると、「子どもが手を離れたら、自然にまた仲よくなる」という順番は、追いかけた人たちの中では見つからなかった、ということにゃ。

それから、下がり方が時代によってちがっていたことも大事にゃ。夫婦の気持ちは、その時代の暮らしにも動かされているにゃ。

🤔 なぜ、一度に聞くとU字が出たのか

30年目の列には、
続いた夫婦しかいない

考えられる理由のひとつはこうにゃ。

結婚30年目の人たちに聞くと、そこにいるのは「30年続いた夫婦」だけ。途中で別れた夫婦は、もうその列にいないにゃ。

満足していた夫婦ほど残りやすいなら、後半の列の平均は、高く見えやすいにゃ。

子育ての時期については、たくさんの研究をまとめた分析で、子どもが生まれたあとは満足度が少し下がりやすく、その理由として、役割どうしのぶつかり合いと自由が少なくなることが挙げられているにゃ。

ただ、新婚のころから追いかけた研究では、子どもを持たなかった夫婦も、同じくらいの期間で同じくらい下がっていたにゃ。「子どものせい」だけとも言えなさそうにゃ。

🔍 その後の研究

平均の線は一本でも、
道すじは
一本じゃなかった

?

「じゃあ、下がる一方なの?」

…と思ったかもしれないにゃ。

でも、いまの話は平均の線にゃ。
みんながその上を
同じように歩いているとは
かぎらないにゃ。

2010年に、1980年から結婚している人たちを追いかけてきたアメリカの全国調査を使って、結婚がずっと続いた706人の道すじを調べた研究があるにゃ。

平均を一本引くかわりに、「似た変わり方をした人たち」ごとにグループに分けたにゃ。すると、道すじは5通りに分かれたにゃ。

予想してみるにゃ

いちばん多かったのは、どんな道すじだったと思う?

📊 結婚が続いた706人のうち

幸せの度合いが高いまま、あまり変わらなかった人は

3分の2近く

残りの3分の1には、ずっと低いまま・低くてさらに下がる・下がってから戻る、などの道すじがあった

「下がってから戻る」U字の人たちも、ちゃんといたにゃ。でもそれは、何通りかあるうちの一つだったにゃ。

どの道すじになるかと関係していたのは、夫婦のあいだの問題の多さと、ふたりで一緒に過ごす時間。それから、少しだけ家計の苦しさだったにゃ。

ただ、これは別れずに続いた人だけを見た研究にゃ。「関係していた」は「それが原因」とまでは言えないことも、覚えておいてほしいにゃ。

📱 今に置き換えて考える

いまの私たちは、
毎日「一度に聞く調査」を
見ている

研究の人たちが答えていたのは、1980年代から90年代のアメリカ。スマホもSNSもない時代にゃ。

いまの日本の暮らしに置き換えると、研究所のねこたちには、こんなふうに見えるにゃ。

SNSの夫婦は

別々の人の、いちばんいい一枚

タイムラインに並ぶ記念日の写真や家族旅行は、ちがう夫婦の、ちがう日の一場面にゃ。それと、しんどい日の自分たちを並べて比べると、やり方Aの調査と同じで、見かけの差が大きく見えやすいにゃ。

「巣立ったら戻る」は

待つには、長い道のり

結婚も出産も遅くなったいまは、末の子が家を出るころ、親はもう60代という家もあるにゃ。U字の「いつか戻る」を待つには、谷がとても長いにゃ。戻る日を待つより、いまの道すじのほうを見たほうがいいのかもしれないにゃ。

平均の線は時代にも動かされていたにゃ。いまの暮らしの中で、どんな道すじを歩くかは、それぞれの家で少しずつ選べることだと、研究所のねこたちは思うにゃ。

あなたならどれ?

もし、いま谷にいるように感じているとしたら、最初にしてみたいのはどれに近い?

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

「結婚してよかったって、思えない」
「ずっとこうなのかな」

…そう感じる夜、
自分の選択を疑ったことが
あるかもしれないにゃ。

U字の話は、
「今は谷だから、待てば戻る」と
言ってくれる、やさしい話だったにゃ。

でも追いかけて調べると、
待つだけで戻る形は
見つからなかったにゃ。

そのかわり、多くの夫婦は高いまま続いていて、
道すじのちがいには、
ふたりで過ごす時間や
問題の抱え方が関係していたにゃ。

706人の道すじのちがいと
結びついていたのは、
結婚何年目かではなく、
ふたりで過ごす時間と、
問題の抱え方だったにゃ。
「時期のせいだから、我慢」とは、
少しちがう話にゃ。

もちろん、暴力や虐待があったり、
責める言葉ばかりが続いていたりするなら、
それは別の話にゃ。
別の道を選ぶことも、ちゃんと正しい選択にゃ。

706人の道すじから、ひとつにゃ。

道すじは、
一本じゃないにゃ。

平均の線が、
あなたたちの行き先
とはかぎらないにゃ。

「ずっとこうなんだろうな」と
思った夜の自分に、
データはこう言うにゃ。

「平均の線は、少しずつ下がる。
でも、その線の上を
みんなが同じように
歩いているわけじゃない」

希望は無条件じゃない。
でも、絶望も無条件じゃないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
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言い合いが多いうちは、もうだめなの?

📚 図書館

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📚 参考文献

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VanLaningham, J., Johnson, D. R., & Amato, P. (2001). Marital happiness, marital duration, and the U-shaped curve: Evidence from a five-wave panel study. Social Forces, 79(4), 1313-1341. リンク
Anderson, J. R., Van Ryzin, M. J., & Doherty, W. J. (2010). Developmental trajectories of marital happiness in continuously married individuals: A group-based modeling approach. Journal of Family Psychology, 24(5), 587-596. リンク
Twenge, J. M., Campbell, W. K., & Foster, C. A. (2003). Parenthood and marital satisfaction: A meta-analytic review. Journal of Marriage and Family, 65(3), 574-583. リンク
Mitnick, D. M., Heyman, R. E., & Smith Slep, A. M. (2009). Changes in relationship satisfaction across the transition to parenthood: A meta-analysis. Journal of Family Psychology, 23(6), 848-852. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
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