
…だれにも聞けないセックスレスのことを、2年ごとに数えてきた人たちがいたにゃ。
こんな気持ち、ないにゃ?
一番話しにくいテーマ。
だから誰も話さない。
だから「うちだけ」に思えてくる。
でも、数えてみた人たちがいるにゃ。
日本家族計画協会は、2002年から2年ごとに「男女の生活と意識に関する調査」をしてきたにゃ。全国の16〜49歳に、同じ聞き方で聞きつづけている調査にゃ。
2016年の調査では、3,000人にお願いして1,263人が答えたにゃ。そのうち結婚している655人に「この1か月間、セックスをしたか」を聞いたにゃ。
結婚している655人のうち、
「この1か月間しなかった」と答えた人
男性47.3%・女性47.1%
ほぼ半分にゃ。男性も女性も、ほとんど同じ割合だったにゃ。
じゃあ、この割合は前からこうだったのかにゃ。
2004年から2016年までの12年で、この割合はどう変わったと思う?
知り合いの結婚している人を思い浮かべると、ほぼ2人に1人にゃ。職場のとなりの席の人も、子どもの保育園で会うママも、話題にしないだけで、同じような夜を過ごしているかもしれないにゃ。
ふたりが合意したセックスやふれあいが1か月以上なく、その後も長く続きそうな場合を「セックスレス」と呼ぶ、と決めているにゃ。
上の調査の「この1か月しなかった」は、その入り口を数えたものにゃ。
2020年には、同じ協会がインターネットで別の調査をしたにゃ(20〜69歳の5,029人)。結婚している20〜49歳にしぼると、51.9%だったにゃ。
ただ、こちらは聞き方も集め方もちがう調査にゃ。上のグラフにそのままつなげて「また増えた」とは言いきれないにゃ。
結婚していない人も含めた数字にゃ。年齢が上がるほど高くなるのは、男女どちらも同じだったにゃ。
「私たちって、おかしいのかな」
…この数字を見ると、
ひとりだけの話じゃないにゃ。
結婚している人の約半分が、
同じ場所にいるにゃ。
2016年の調査では、結婚している人に「セックスに積極的になれない理由」も聞いているにゃ。
「出産後なんとなく」は、男女どちらの上位にも入っていたにゃ。
ここから見えてくる説明のひとつは、疲れと、相手の見え方の変わり方にゃ。
仕事のあとの夜は、まず休みたい。子どもが生まれると、相手が「恋人」より「いっしょに家を回す人」に見えてくる。「家族のように思える」「出産後なんとなく」は、嫌いになったのとはちがう理由にゃ。
ただ、これは答えた人が選んだ理由にゃ。ほんとうのところは、もっと言葉にしにくい場所にあるのかもしれないにゃ。
2015年に、別の全国調査をくわしく分析した研究があるにゃ。そこでも夫婦の約45%が1か月以上していなかったにゃ。どんな夫婦に多いかも調べているにゃ。
・夫の働く時間が長い
・3歳未満の子どもがいる
・夫婦の関係がうまくいっていない
この研究では、夫婦に集まって話してもらう聞き取りもしたにゃ。
子ども中心の暮らしのなかで、ふたりの協力がうまくいっているなら、セックスがないことをそれほど気にしていない夫婦が多かったにゃ。
だから、回数だけを見ても、その夫婦のことはわからないにゃ。
研究所のねこたちが気になるのは、どちらか一方だけが、さみしさを抱えているときにゃ。
調査が続いていたころ、研究が気にしていたのは、おもに夫の長い働き方だったにゃ。
いまは、ふたりとも働いて、ふたりとも疲れている家が多いにゃ。そして夜の時間のとなりには、いつもスマホがあるにゃ。
2016年の調査でも、女性の理由の上位に「仕事で疲れている」が入っていたにゃ。仕事のあとに家事と寝かしつけが続けば、夜はまず眠りたい。気持ちが冷めたというより、体力の残りの話かもしれないにゃ。
ベッドに並んで、それぞれがスマホを見ている夜。ケンカをしたわけじゃないのに、ふれる前の「ちょっと話す時間」が、画面のほうへ流れていく。調査はそこまで聞いていないけれど、ねこたちは、ここに小さな分かれ道がある気がするにゃ。
面と向かって言いにくいことは、LINEで先に渡してもいいにゃ。「最近どう思ってる?」の一行でも、「今日は早く寝ちゃおうか」のスタンプでも。いちばん話しにくいテーマだからこそ、入り口は小さくていいにゃ。
もし、このことをパートナーと話すとしたら、いまのあなたはどれに近い?

「私たちって、おかしいのかな」。
この問いには、
全国の数字がはっきり答えていたにゃ。
結婚している人の半分近く。
しかも12年のあいだ、
調査のたびに増えていた。
「おかしい」を決める線のほうが、
ずっと動いていたにゃ。
ただ、調査票が聞いたのは
「この1か月、したか」の一行だけ。
同じ「しなかった」の中に、
ふたりとも気にしていない家もあれば、
どちらかひとりが、
さみしさを言えずにいる家もある。
グラフの上では、どちらも
同じ一本の棒に入っているにゃ。
棒の長さは、
どちらの家が多いかまでは
教えてくれないにゃ。
だから、ここから先は
数字では答えの出ない問い。
うちは、どっちの「しなかった」なのか。
「ない」ことを、それほど
気にしていなかった夫婦の話にゃ。
子ども中心の毎日で、
ふたりの協力が
うまくいっていた。
回数の話は、どこにも出てこないにゃ。
「うちだけ?」には、
全国の数字が答えてくれた。
「うちは、どっち?」の手がかりは、
寝室より手前の、
朝の支度や寝かしつけのほうにも
落ちているのかもしれないにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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