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家族・親子

夫の「どっちの味方もしない」。中立なのに、ひとりにされた気がするのはなぜ?

…同じ「中立」でも、そばにいるときと、離れていくときがあるにゃ。

この研究を一枚で
問い
家族のふたりがぶつかるとき、間にいる三人目には何が起きる?「どっちの味方もしない」は助けになる?
どこで
アメリカの精神科医ボーエンが、1954〜1959年に国の研究所で家族をまるごと観察し、そこから組み立てた「家族システム理論」。数をかぞえた実験ではなく、観察からできた考え方
どうやって
家族の動きを長く見つづけ、ふたりの間の緊張が三人目へ移っていく形を「三角形」と名づけた
わかったこと
三人目が入ると関係は落ちつくが、問題は解けない。緊張が高いと、人は三角形の「外側」に出たくなる。すすめられるのは、どちらの味方もせず、両方とつながりつづけること(脱三角化)
その後の研究
台湾の既婚女性125人の調査(2010年)では、夫が妻の側に立つ、またはいっしょに解決を考えることが多いと、義母とのもめごとと結婚の満足度の結びつきが見られなくなった。もめごとにかかわらない夫では、そうならなかった

こんな会話、ないにゃ?

お義母さんに、こう言われた
うーん、まあ、母も悪気は…
あなたから言ってくれない?
俺はどっちの味方もしない
(一番苦しんでるの、私だけ?)

彼が一番動いてほしいときに、
ぴたっと止まる。

「中立」と言われても、
ひとりで立たされた気がする。

この形を、家族療法は
三角形で考えてきたにゃ。

🧪 考え方の紹介 ボーエンの家族の三角形

家族を見つづけて
できた、三角形の考え方

アメリカの精神科医ボーエンさんは、1954年から1959年まで、アメリカの国の研究所で、家族をまるごと観察する研究をしたにゃ。そこから組み立てたのが「家族システム理論」にゃ。

数をかぞえた実験ではなくて、家族の動きを長く見つづけてできた考え方にゃ。

ふたりだけだと

緊張に、あまり耐えられない

ふたりの関係は、少しの緊張でぐらつきやすい。だから緊張が高まると、三人目を巻き込む、とボーエンさんは考えたにゃ。

三人目が入ると

緊張が、三つの線を行き来する

妻と義母の間の緊張が、夫と妻の間へ、夫と義母の間へと移っていく。ひとつの線だけで背負わなくてすむぶん、関係は落ちつくにゃ。

三角形には、近いふたり(内側)と、ひとり離れた人(外側)ができるにゃ。

おだやかなとき、外側はさみしい場所。だから外側の人は、内側のどちらかに近づこうとするにゃ。

予想してみるにゃ

では、ふたりの間ではげしいもめごとが起きたとき。三角形の中で、いちばん居心地がよくなるのはどこだと思う?

📊 結果の読み方

「どっちの味方もしない」は、
外へ出たい動きかもしれない

📊 ボーエン理論の見立て

三人目が入ると、関係は落ちつく。
でも、何も解決はしない。
緊張が高いと、人は三角形の外側に出たくなる

あなたとお義母さんの間が、ぴりぴりしている夜。夫にとっていちばん楽なのは、ふたりのやりとりを少し離れて見ている場所にゃ。

「俺はどっちの味方もしない」は、中立を選んだ言葉かもしれない。でも、緊張から外へ出たいという動きのこともあるにゃ。

彼が冷たいから、とは限らないにゃ。ボーエン理論では、三角形はだれかの悪意でできるものじゃなくて、家族ならどこにでもある自然な動きだと考えられているにゃ。

?

「どっちの味方もしない」

同じ言葉でも、
そばにいる中立と、
離れていく中立があるにゃ。

ちがいは、言葉より
そのあとのふるまいに出るにゃ。

🤔 なぜ、外に出ても楽にならないのか

味方はしない。
でも、どちらからも離れない

外側に出れば、自分の緊張は下がるにゃ。でも、ふたりの間の緊張はそのまま残る。

ボーエンに学んだ家族療法家は、離れることでだれでも自分の不安は下げられるけれど、それではたいてい三角形が残る、と書いているにゃ。

じつは、ボーエン理論がすすめるのも「どちらの味方もしない」ことにゃ。ただし、大事な続きがあるにゃ。

三人目がふたりのどちらともつながったまま、ふたりの緊張に巻き込まれずにいられれば、問題はふたりの間で解けていく、とボーエンさんたちは考えたにゃ。これを「脱三角化(三角形から降りる)」と呼ぶにゃ。

離れていく中立

黙る・席を外す・話を変える

自分の緊張は下がる。でも、三角形はそのまま残りやすいにゃ。

そばにいる中立

どちらとも話しつづける。伝言役はしない

母とも妻とも、それぞれ自分の言葉で話す。ふたりの関係を代わりに直そうとせず、ふたりが直接やりとりできるように返していくにゃ。

ボーエン理論では、中立は「どっちつかず」や「あいまい」とはちがう、とも考えられているにゃ。自分の考えは、はっきり言っていい。ただ、相手を変えようと力まないこと、にゃ。

それから、緊張がどこにたまるか。さっきの家族療法家は、三角形の重さがかかるのはいちばん弱い人とは限らないと書いているにゃ。ほかのふたりの関係を何とかしようと引き受けている人に、重さが集まりやすい、と。

間で伝言をつづける夫かもしれないし、なんとかしようとがんばってきたあなたかもしれないにゃ。

🔍 その後の研究

義母とのもめごとと、
夫の4つのふるまい

では、実際の夫婦に聞くと、どうだったのかにゃ。

台湾の心理学者ウーさんたち(2010年)は、結婚している女性125人に、義母とのもめごと、結婚の満足度、そして夫がどうふるまうかを聞いたにゃ。

聞いた夫のふるまい

4つ

・妻の側に立つ
・いっしょに解決を考える
・もめごとには、かかわらない
・母の側に立つ

全体では、義母とのもめごとが多い妻ほど、結婚の満足度は低かったにゃ。

じゃあ、夫のふるまいで、それは変わったのかにゃ。

予想してみるにゃ

夫がそのふるまいを「よくする」とき、もめごとがあっても満足度が下がりにくかったのは、どれだと思う?

ボーエン理論とは少しちがうところもあるにゃ。この研究では「妻の側に立つ」ことも助けになっていたにゃ。

でも、ふたつに共通しているのは、夫がその場から離れていないことにゃ。かかわらない夫のそばでは、もめごとの重さは軽くならなかったにゃ。

ただ、これは台湾の125人に一度だけ聞いた調査で、答えたのは妻だけにゃ。夫がこうしたからこうなった、とまでは言いきれないにゃ。

📱 今に置き換えて考える

三角形は、いま
LINEの中にもある

ボーエンさんが見ていたのは、1950年代のアメリカの家族だったにゃ。スマホもLINEも、まだない時代にゃ。

いまの私たちは、お義母さんと離れて暮らしていても、LINEでいつでもつながっているにゃ。義実家とのLINEグループがある家もあるにゃ。

グループだと

黙っていることが、見えてしまう

お義母さんのメッセージに、夫だけ既読のまま何も返さない。向かい合っていれば「その場を外す」くらいの動きが、画面の中ではくっきり残るにゃ。あなたには、外側へ出ていく背中に見えるかもしれないにゃ。

伝言がかんたんになって

転送で、三角形が回りつづける

母からのLINEを夫があなたに転送して、あなたの返事をまた母へ。スマホなら、伝言役はすぐにできてしまうにゃ。そのぶん、ふたりが直接やりとりしないまま、緊張が三つの線を行き来しやすいのかもしれないにゃ。

そばにいる中立を、今の形で

別々のトークで、自分の言葉で

グループで代わりに答えるより、母とは母と、あなたとはあなたと、それぞれのトークで夫が自分の考えを話す。あなたがお義母さんに返すときは、「送る前に見てほしい」と隣にいてもらうのもひとつにゃ。

あなたならどれ?

お義母さんとのことで、いまのあなたが夫にいちばん望むのは?

🐱 猫の国の研究所より

ねこたちも、
三角形を描いてみたにゃ。

「あなたから言って」
と頼んで、
「俺はどっちの味方もしない」と返された夜。

味方じゃないんだ
と思って、ベッドの隅で
ぽつんとしたかもしれないにゃ。

もめごとがはげしいとき、
いちばん居心地がいいのは、
三角形の外側だったにゃ。

あの夜、彼はそこへ
出ていったのかもしれないにゃ。
冷たいからというより、
だれでも行きたくなる場所だから。

そのぶん、お義母さんとの線の重さは、
あなたのところに残った。
ベッドの隅のさみしさは、
気にしすぎじゃなくて、
その重さだったのかもしれないにゃ。

1950年代の家族を見つづけてできた考え方を、
ひと組の夫婦の夜に重ねてみた、
ねこたちの読みにゃ。
どの家にもぴったり合うとはかぎらないにゃ。

それでも、ここから拾えそうなのは、
彼を伝令役にしないこと。

お義母さんに何か言われたら、
「ありがとうございます。
私たちはこうしてます」と、
あなたの言葉で返してみる。
間で言葉を運ぶ人がいなくなると、
三角形は少しゆるむにゃ。

🔺

「どっちの味方もしない」には、
続きがあったにゃ。

ボーエンさんたちの中立では、
そのあとに
「でも、どっちからも離れない」が来る。

台湾の妻たちの答えでも、
重さを軽くしていたのは、
夫がその場に残るふるまいだったにゃ。

次に「どっちの味方もしない」と
返ってきたら、
そこで話を終わらせずに、
ひとつだけ聞いてみてにゃ。

「うん。それで、
あなたはどこにいてくれる?」

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Bowen, M. (1978). Family Therapy in Clinical Practice. Jason Aronson.
Kerr, M. E., & Bowen, M. (1988). Family Evaluation: An Approach Based on Bowen Theory. W. W. Norton & Company.
The Bowen Center for the Study of the Family. Triangles. リンク
Friedman, E. H. (1985). Generation to Generation: Family Process in Church and Synagogue. Guilford Press.
Wu, T.-F., Yeh, K.-H., Cross, S. E., Larson, L. M., Wang, Y.-C., & Tsai, Y.-L. (2010). Conflict with mothers-in-law and Taiwanese women's marital satisfaction: The moderating role of husband support. The Counseling Psychologist, 38(4), 497-522. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com