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ふたりの科学

長く一緒にいて「もうときめかない」——それは愛が消えたしるし?

…ときめきの「その後」を調べた研究を、読んでみたにゃ。

この研究を一枚で
問い
長く一緒にいると、恋の気持ちは消えていく? ときめかないのは、愛がなくなったしるし?
どこで
アメリカ・ニューヨーク州の夫婦312人。結婚して1年以上で、一緒にいる年数は平均8.8年(Acevedo & Aron 2009)
どうやって
恋の気持ちをはかる質問を「強く惹かれる気持ち」と「頭から離れない気持ち」に分けて、一緒にいる年数と比べた。25の研究をまとめて、関係の満足との結びつきも調べた
わかったこと
強く惹かれる気持ちは、一緒にいる年数とほとんど関係がなく、全部の質問にいちばん強い答えをつけた人も13%いた。長い夫婦で満足と結びつかなくなっていたのは、頭から離れない気持ちのほうだった
その後の研究
ドイツの大学生1,865人の調査では、つきあいが長い人ほど、セックスの回数と満足は男女とも低く、「したい気持ち」は女性だけ低かった(2002年)

こんな気持ち、ないにゃ?

つきあい始めは、会う前の日から落ち着かなかった
いまは、隣にいても、何も感じない日がある
触れたいとも、あんまり思わない
嫌いになったわけじゃないのに
(愛が、なくなったのかな)

相手は同じなのに、
ときめきが落ちていく。

「私が悪いのかな」と
自分を疑ったかもしれないにゃ。

「ときめかない」と「愛が消えた」は、
ほんとうに同じなのかにゃ。

🧪 研究 長く一緒にいる夫婦の「恋の気持ち」

312人の夫婦の
恋の気持ちを、
ふたつに分けてみたら

心理学者のアセヴェドさんとアーロンさん(2009年)は、アメリカ・ニューヨーク州の夫婦312人の答えを調べ直したにゃ。結婚して1年以上で、一緒にいる年数は平均8.8年だったにゃ。

夫婦が答えていたのは、「恋の気持ち」をはかる質問。ふたりは、その質問がふたつに分けられることに気づいたにゃ。

ひとつめ

強く惹かれる気持ち

「体も心も、相手のすべてがほしい」「触れられると体が反応する」「ほかの誰より、この人といたい」

ふたつめ

頭から離れない気持ち

「仕事中も相手のことばかり考えてしまう」「考えを止められない」——恋の始まりによくある、そわそわした気持ちにゃ。

予想してみるにゃ

312人のうち、「強く惹かれる気持ち」の質問に、全部いちばん強い答えをつけた人はどのくらい?

📊 結果の読み方

静まっていたのは、
そわそわのほうだった

このデータでは、強く惹かれる気持ちと、一緒にいる年数は、ほとんど関係がなかったにゃ。長く一緒にいる夫婦ほど低い、ということはなかったにゃ。

ふたりは、25の研究をまとめて、それぞれの気持ちが「関係の満足」とどのくらい結びついているかも調べたにゃ。

予想してみるにゃ

長い夫婦で、関係の満足と結びつかなくなっていたのは、どの気持ちだったと思う?

暮らしの言葉に直すと、こうにゃ。

仕事中もずっと相手のことを考えてしまう、あのそわそわ。それが静まっても、ふたりの満足は下がっていなかったにゃ。

むしろ、一緒に家を回す穏やかな親しさは、長い夫婦のほうが、満足とよく結びついていたにゃ。

「前みたいにドキドキしない」は、恋が終わったしるしとは、かぎらなかったにゃ。

🤔 なぜ、ときめきは落ち着くのか

新しさに、
慣れていくから?

有力な説明のひとつは「慣れ」にゃ。

同じことがくり返されると、人の反応はだんだん小さくなっていく。始まりの頃の激しい気持ちのあとに慣れが来る、という見方は、昔からあるにゃ。

始まりの頃は、相手の声も、返事も、ぜんぶが新しい。だから頭から離れない。

長く一緒にいると、相手は知っている人になる。そわそわが静まるのは、そのせいかもしれないにゃ。

ただ、この研究が見せたのは、慣れても消えない気持ちがある、ということにゃ。そわそわと、惹かれる気持ちは、別々に動くのかもしれないにゃ。

どこまでが慣れのせいなのかは、まだ説の段階にゃ。

🔍 その後の研究

それでも、
「したい気持ち」は
変わっていく?

まず、この研究の限界にゃ。調べたのは研究に手をあげてくれた夫婦だから、仲のいい夫婦が多かったかもしれない、と著者たちも書いているにゃ。

「したい気持ち」のほうを調べた研究もあるにゃ。2002年に、ドイツの大学生で決まった相手がいる19〜32歳の1,865人の答えを、つきあいの長さで並べて比べた研究にゃ。

男女とも

セックスの回数と満足は、下がっていた

つきあいが長い人ほど、回数も、満足も低かったにゃ。

女性だけ

「したい気持ち」は、女性だけ下がっていた

男性のしたい気持ちは、つきあいの長さでほとんど変わらなかったにゃ。

男女で逆

「やさしくふれあいたい気持ち」は、女性で上がっていた

男性では下がり、女性では上がっていたにゃ。

「なんで私だけ」と思っていたなら、それはあなただけじゃなかったにゃ。30歳・45歳の人を調べた別の研究でも、女性のしたい気持ちは、最初の数年のあと、だんだん下がっていたにゃ(はかり方によっては、はっきりしないものもあったにゃ)。

ただ、これは一度にいろんな人に聞いた調査にゃ。同じ人を何年も追ったわけじゃないから、「年月がたつと、みんなこう変わる」とまでは言いきれない、と著者自身が書いているにゃ。

したい気持ちは、疲れや体調、気分の落ちこみ、飲んでいる薬などでも変わることがあるにゃ。急に変わった、つらい、と感じるときは、お医者さんなどの専門家に相談していいにゃ。

📱 今に置き換えて考える

そわそわは、
いまスマホの中にある

研究の夫婦が答えていたのは、「仕事中も相手のことばかり考えてしまう」という質問だったにゃ。

いまの私たちなら、それはスマホの中で起きているにゃ。

始まりの頃

既読がつくまで、何度も画面を見た

返事を待って、通知が鳴るたびにどきっとする。研究でいう「頭から離れない気持ち」の、いまの姿かもしれないにゃ。長くなって既読を待たなくなったのは、静まったのがそわそわのほうだから、とも読めるにゃ。

共働きの家では

ふたりのLINEが、連絡帳になる

「今日遅くなる」「牛乳ある?」「お迎えお願い」。色気のない連絡ばかりでも、それは一緒に家を回している証拠にゃ。研究でも、穏やかな親しさは、長い夫婦で満足とよく結びついていたにゃ。

休みの日は

いつもの店、いつもの道

慣れた店で、慣れたメニュー。外れのない休日は、穏やかな親しさを育てるにゃ。でも、付き合いはじめのころのそわそわは、初めての景色の中にいたのかもしれないにゃ。

別の研究では、夫婦でいつもとちがう、少しドキドキすることを一緒にすると、関係の満足が上がったという実験もあるにゃ。数分から10週間の実験で、何年も続くかはわかっていないにゃ。

あなたならどれ?

あなたの「ときめかない」に、いちばん近いのはどれ?

🐱 猫の国の研究所より

ときめきは、
なにを量っていたのか

会う前の日から落ち着かない。
通知が鳴るたびに、どきっとする。

恋をしているかどうかを、
あのそわそわで量ってきた人は、
少なくないと思うにゃ。

ところが、25の研究をまとめた数字では、
そのそわそわは、
つきあいはじめの大学生でさえ、
満足とほとんど結びついていなかったにゃ。

満足といっしょに動いていたのは、
強く惹かれる気持ちと、
暮らしを一緒に回す親しさのほう。
親しさは、長い夫婦でむしろ
強く結びついていたにゃ。

「ときめかない」から
「愛が消えた」を読むのは、
いちばんよく揺れる針で、
いちばん重いものを
量ろうとするのに近いのかもしれないにゃ。

答えてくれたのは、自分から手をあげた、
仲のいい夫婦が多かったかもしれない人たち。
だからこれは、針の選び方について
ねこたちが考えてみたことにゃ。

312人の中に、
こんな42人がいたにゃ。

いちばん強く
惹かれていた42人。
一緒にいた年数は、
平均8.4年。

全体の平均と、ほとんど同じ年数にゃ。

そして、仕事中も相手のことが
頭から離れないと答えた6人とは、
ひとりも重なっていなかったにゃ。

いちばん強く惹かれることと、
いちばんそわそわすることは、
別の人に起きていたにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

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「もう何ヶ月も、ない」のは、うちだけ?

📚 図書館

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📚 参考文献

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Acevedo, B. P., & Aron, A. (2009). Does a long-term relationship kill romantic love? Review of General Psychology, 13(1), 59-65. リンク
Klusmann, D. (2002). Sexual motivation and the duration of partnership. Archives of Sexual Behavior, 31(3), 275-287. リンク
Klusmann, D. (2006). Sperm competition and female procurement of male resources: As explanations for a sex-specific time course in the sexual motivation of couples. Human Nature, 17(3), 283-300. リンク
Reissman, C., Aron, A., & Bergen, M. R. (1993). Shared activities and marital satisfaction: Causal direction and self-expansion versus boredom. Journal of Social and Personal Relationships, 10(2), 243-254. リンク
Aron, A., Norman, C. C., Aron, E. N., McKenna, C., & Heyman, R. E. (2000). Couples' shared participation in novel and arousing activities and experienced relationship quality. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 273-284. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com