
…ときめきの「その後」を調べた研究を、読んでみたにゃ。
こんな気持ち、ないにゃ?
相手は同じなのに、
ときめきが落ちていく。
「私が悪いのかな」と
自分を疑ったかもしれないにゃ。
「ときめかない」と「愛が消えた」は、
ほんとうに同じなのかにゃ。
心理学者のアセヴェドさんとアーロンさん(2009年)は、アメリカ・ニューヨーク州の夫婦312人の答えを調べ直したにゃ。結婚して1年以上で、一緒にいる年数は平均8.8年だったにゃ。
夫婦が答えていたのは、「恋の気持ち」をはかる質問。ふたりは、その質問がふたつに分けられることに気づいたにゃ。
「体も心も、相手のすべてがほしい」「触れられると体が反応する」「ほかの誰より、この人といたい」
「仕事中も相手のことばかり考えてしまう」「考えを止められない」——恋の始まりによくある、そわそわした気持ちにゃ。
312人のうち、「強く惹かれる気持ち」の質問に、全部いちばん強い答えをつけた人はどのくらい?
このデータでは、強く惹かれる気持ちと、一緒にいる年数は、ほとんど関係がなかったにゃ。長く一緒にいる夫婦ほど低い、ということはなかったにゃ。
ふたりは、25の研究をまとめて、それぞれの気持ちが「関係の満足」とどのくらい結びついているかも調べたにゃ。
長い夫婦で、関係の満足と結びつかなくなっていたのは、どの気持ちだったと思う?
暮らしの言葉に直すと、こうにゃ。
仕事中もずっと相手のことを考えてしまう、あのそわそわ。それが静まっても、ふたりの満足は下がっていなかったにゃ。
むしろ、一緒に家を回す穏やかな親しさは、長い夫婦のほうが、満足とよく結びついていたにゃ。
「前みたいにドキドキしない」は、恋が終わったしるしとは、かぎらなかったにゃ。
有力な説明のひとつは「慣れ」にゃ。
同じことがくり返されると、人の反応はだんだん小さくなっていく。始まりの頃の激しい気持ちのあとに慣れが来る、という見方は、昔からあるにゃ。
始まりの頃は、相手の声も、返事も、ぜんぶが新しい。だから頭から離れない。
長く一緒にいると、相手は知っている人になる。そわそわが静まるのは、そのせいかもしれないにゃ。
ただ、この研究が見せたのは、慣れても消えない気持ちがある、ということにゃ。そわそわと、惹かれる気持ちは、別々に動くのかもしれないにゃ。
どこまでが慣れのせいなのかは、まだ説の段階にゃ。
まず、この研究の限界にゃ。調べたのは研究に手をあげてくれた夫婦だから、仲のいい夫婦が多かったかもしれない、と著者たちも書いているにゃ。
「したい気持ち」のほうを調べた研究もあるにゃ。2002年に、ドイツの大学生で決まった相手がいる19〜32歳の1,865人の答えを、つきあいの長さで並べて比べた研究にゃ。
つきあいが長い人ほど、回数も、満足も低かったにゃ。
男性のしたい気持ちは、つきあいの長さでほとんど変わらなかったにゃ。
男性では下がり、女性では上がっていたにゃ。
「なんで私だけ」と思っていたなら、それはあなただけじゃなかったにゃ。30歳・45歳の人を調べた別の研究でも、女性のしたい気持ちは、最初の数年のあと、だんだん下がっていたにゃ(はかり方によっては、はっきりしないものもあったにゃ)。
ただ、これは一度にいろんな人に聞いた調査にゃ。同じ人を何年も追ったわけじゃないから、「年月がたつと、みんなこう変わる」とまでは言いきれない、と著者自身が書いているにゃ。
したい気持ちは、疲れや体調、気分の落ちこみ、飲んでいる薬などでも変わることがあるにゃ。急に変わった、つらい、と感じるときは、お医者さんなどの専門家に相談していいにゃ。
研究の夫婦が答えていたのは、「仕事中も相手のことばかり考えてしまう」という質問だったにゃ。
いまの私たちなら、それはスマホの中で起きているにゃ。
返事を待って、通知が鳴るたびにどきっとする。研究でいう「頭から離れない気持ち」の、いまの姿かもしれないにゃ。長くなって既読を待たなくなったのは、静まったのがそわそわのほうだから、とも読めるにゃ。
「今日遅くなる」「牛乳ある?」「お迎えお願い」。色気のない連絡ばかりでも、それは一緒に家を回している証拠にゃ。研究でも、穏やかな親しさは、長い夫婦で満足とよく結びついていたにゃ。
慣れた店で、慣れたメニュー。外れのない休日は、穏やかな親しさを育てるにゃ。でも、付き合いはじめのころのそわそわは、初めての景色の中にいたのかもしれないにゃ。
別の研究では、夫婦でいつもとちがう、少しドキドキすることを一緒にすると、関係の満足が上がったという実験もあるにゃ。数分から10週間の実験で、何年も続くかはわかっていないにゃ。
あなたの「ときめかない」に、いちばん近いのはどれ?

会う前の日から落ち着かない。
通知が鳴るたびに、どきっとする。
恋をしているかどうかを、
あのそわそわで量ってきた人は、
少なくないと思うにゃ。
ところが、25の研究をまとめた数字では、
そのそわそわは、
つきあいはじめの大学生でさえ、
満足とほとんど結びついていなかったにゃ。
満足といっしょに動いていたのは、
強く惹かれる気持ちと、
暮らしを一緒に回す親しさのほう。
親しさは、長い夫婦でむしろ
強く結びついていたにゃ。
「ときめかない」から
「愛が消えた」を読むのは、
いちばんよく揺れる針で、
いちばん重いものを
量ろうとするのに近いのかもしれないにゃ。
答えてくれたのは、自分から手をあげた、
仲のいい夫婦が多かったかもしれない人たち。
だからこれは、針の選び方について
ねこたちが考えてみたことにゃ。
312人の中に、
こんな42人がいたにゃ。
いちばん強く
惹かれていた42人。
一緒にいた年数は、
平均8.4年。
全体の平均と、ほとんど同じ年数にゃ。
そして、仕事中も相手のことが
頭から離れないと答えた6人とは、
ひとりも重なっていなかったにゃ。
いちばん強く惹かれることと、
いちばんそわそわすることは、
別の人に起きていたにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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