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恋愛・パートナーシップ

世界にこんなに人がいるのに、縁があるのは近くの人ばかり?

…「縁」と呼んできたものを、部屋割りで数えた人たちがいるにゃ。

この研究を一枚で
問い
人が親しくなる相手は、住んでいる部屋の位置にどのくらい左右されるのか
どこで
第二次世界大戦のあと、MIT(マサチューセッツ工科大学)にあった、学生とその家族のための集合住宅(Festinger ほか 1950)。住む人は隣の部屋を選べなかった
どうやって
住人に、ふだん親しくしている人の名前を挙げてもらい、その人が住む部屋との距離を照らしあわせた
わかったこと
同じ階で隣の部屋の人が挙がった割合は約4割、4つ先の部屋の人は約1割。階段の下や郵便受けの近くに住む人は、友だちが多かった
その後の研究
大学の新入生54人の席をくじで決めた研究(2008年)でも、隣や同じ列になった人どうしは、1年後の親しさが高かった

こんな話、聞いたことないにゃ?

結婚した相手は、職場の人
友達のカップルも、同じ会社だって
幼なじみと結ばれた人もいる
世界中に人がいるのに、なんで近くの人?
(運命って、こんなに狭い範囲なの?)

世界にこんなに人がいるのに、
結ばれる相手は
わりと近くにいる気がする。

90年以上前、アメリカの街で
結婚の届けを数えた研究では、
3組に1組の夫婦が、
結婚の前に5ブロック以内に
住んでいたにゃ。

近いと、何が起きているのかにゃ。

🧪 研究 部屋割りと、友だち

隣の部屋を、
選べなかった
集合住宅で

第二次世界大戦のあと、MIT(マサチューセッツ工科大学)には、戦地から戻って学ぶ学生とその家族のための集合住宅があったにゃ。

住む人は、隣の部屋を選べなかったにゃ。

MITにいた心理学者のフェスティンガーさんたち(1950年)は、住人に「ふだん親しくしている人」の名前を挙げてもらったにゃ。そして、その人がどの部屋に住んでいるかを照らしあわせたにゃ。

予想してみるにゃ

同じ階で、隣の部屋の人の名前が挙がった割合は41%。では、同じ階で4つ先の部屋の人は?

📊 結果の読み方

親しさを分けたのは、
ついでに会えるか
どうか

隣と4つ先。歩けばすぐの距離にゃ。会いに行こうと思えば、いつでも行けたにゃ。

それでも、親しくなったのはドアの前ですれ違う人のほうだったにゃ。

📊 もうひとつ、わかったこと

階段の下や郵便受けの近くに住む人は、
ほかの人と顔を合わせることが多くて、
友だちも多かった

近くに住む人どうしは、もともと暮らしぶりや育ちが似ていることも多いにゃ。でもこの住宅では、部屋を自分で選べなかった。だから「似ているから近くに住んだ」だけでは説明しにくいにゃ。

ここで数えたのは、家族ぐるみの友だちづきあいにゃ。恋愛を数えた研究ではないにゃ。

それでも、「だれと親しくなるか」が、ゴミ出しや郵便を取りに行く道すじに左右されていたにゃ。

🤔 なぜ、近いと親しくなるのか

見かける回数が、
気持ちを
すこし動かす

ひとつの有力な説明は、顔を合わせる回数にゃ。

よく見かけるものほど、すこし好ましく感じる。これは「単純接触効果」と呼ばれていて、1960年代の実験から知られているにゃ。

大学の大きな講義に、だれとも話さずにただ出席しただけの人が、出席が多いほど好ましく見られていた、という研究もあるにゃ。学生たちは、その人を「見たことがある」とは気づいていなかったにゃ。

会うたびに「あ、またあの人」と思う。あいさつをする。ひと言かわす。

そういう小さな回数が積み重なって、親しさの入り口になる、と考えられているにゃ。

🔍 その後の研究

席は、くじで
決まっただけなのに

ドイツの心理学者、バックさんたち(2008年)は、大学の新入生54人が初めて顔を合わせる日に、くじで席を決めたにゃ。そして1年後に、だれとどのくらい親しいかを聞いたにゃ。

たまたま隣の席になった人どうしは、1年後の親しさが高かったにゃ。同じ列になっただけでも、そうだったにゃ。

研究者は「人は、くじでいい番号を引いたから友だちになるのかもしれない」と書いているにゃ。

ただ、「会えば会うほど好きになる」わけではないにゃ。たくさんの研究をまとめた2017年の分析では、好感は回数とともにいったん上がって、そのあと下がっていく山の形だったにゃ。

回数は、気持ちが動くきっかけのひとつ。それだけで決まるわけではないにゃ。

📱 今に置き換えて考える

いまの暮らしの
「郵便受け」は、
どこにある?

研究の集合住宅では、階段や郵便受けの前で、住む人どうしが自然にすれ違っていたにゃ。

いまの私たちは、オートロックのマンションで、隣の人の顔を知らないことも多いにゃ。

すれ違いが

減った場所と、残っている場所

在宅勤務の日は、職場の廊下や給湯室ですれ違うこともないにゃ。それでも、毎朝のコンビニ、いつもの電車の車両、保育園の送り迎え、職場の同じ島の席。いまの「郵便受け」は、こういうところにあるのかもしれないにゃ。

アプリの出会いは

遠くの人と会えるけれど、一回きりになりやすい

マッチングアプリは、ふだんすれ違わない人と出会わせてくれるにゃ。でも集合住宅や教室で効いていたのは、くり返し顔を合わせることだったにゃ。初めて会う日に全部を決めなくても、いいのかもしれないにゃ。

画面の中の

「よく見かける人」は、数に入る?

SNSで毎日見かける人。LINEグループでよく話す人。1950年の住人には、なかった近さにゃ。
文字だけより、声や顔が見えるほうが、ドアの前ですれ違う感じに近いのかもしれないにゃ。ただ、毎日タイムラインで見すぎると、山の形の下り坂に入ることもありそうにゃ。

隣の部屋を選べなかった住人とちがって、いまの私たちは、どこでだれとすれ違うかを自分で選べることが多いのかもしれないにゃ。

あなたならどれ?

あなたが、いつも同じ顔ぶれに会う場所は、どれに近い?

🐱 猫の国の研究所より

「縁」と呼ばれる前の、
回数のこと

「出会いがない」と言うとき、
思い浮かべているのは、
まだ会ったことのない
だれかのことが多いにゃ。

集合住宅の住人が名前を挙げたのは、
その反対。
ゴミ出しや郵便受けで、
とっくに何度も会っていた人だったにゃ。

ねこたちが引っかかったのは、
大きな講義の研究のほうにゃ。

学生たちは、その人を
見たことがあるとは
気づいていなかった。
それでも、出席が多いほど、
好ましく見ていたにゃ。

本人より先に、
気持ちのほうが
回数を数えていたにゃ。

ねこたちのこの読みは、
廊下の友だちづきあいと、
教室の「好ましさ」から引いた線にゃ。
恋のはじまりを、回数で
見届けた研究ではないにゃ。

近いから、だれとでも
仲よくなれるわけでもない。
回数が開けるのは入り口までで、
そこから先は、ふたりのやりとり次第にゃ。

仲よくなった人と、
何回すれ違ってから
話すようになったか、
覚えているにゃ?

縁は、
数えそびれた回数に
あとからつく
名前なのかもしれないにゃ。

まだ名前のない
「あ、またあの人」。

いつもの道や、同じ車両で、
あなたの気持ちは
もう数えはじめている
のかもしれないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🔬 研究所

はじめて会ったときのなんとなくは、当たるの?

📚 図書館

だれかの物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

📚 参考文献

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Festinger, L., Schachter, S., & Back, K. (1950). Social Pressures in Informal Groups: A Study of Human Factors in Housing. Harper. リンク
Back, M. D., Schmukle, S. C., & Egloff, B. (2008). Becoming friends by chance. Psychological Science, 19(5), 439-440. リンク
Bossard, J. H. S. (1932). Residential propinquity as a factor in marriage selection. American Journal of Sociology, 38(2), 219-224. リンク
Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2, Pt. 2), 1-27. リンク
Moreland, R. L., & Beach, S. R. (1992). Exposure effects in the classroom: The development of affinity among students. Journal of Experimental Social Psychology, 28(3), 255-276. リンク
Montoya, R. M., Horton, R. S., Vevea, J. L., Citkowicz, M., & Lauber, E. A. (2017). A re-examination of the mere exposure effect: The influence of repeated exposure on recognition, familiarity, and liking. Psychological Bulletin, 143(5), 459-498. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com