
…100以上の質問でも、「この二人だから」は会う前には見えなかったにゃ。
こんなこと、ないにゃ?
画面の上では、ぴったりの人。
なのに会うと、何かがちがう。
反対に、プロフィールでは
ぴんとこなかった人と、
会ったら話がはずんだりもするにゃ。
会う前に「合う」は、
どこまでわかるのかにゃ。
ユタ大学の心理学者ジョエルさんたち(2017年)は、アメリカの大学で2005年と2007年に開かれたスピードデートのデータを使ったにゃ。参加したのは、恋人のいない大学生350人にゃ。
みんな、会う前に100以上の質問に答えていたにゃ。性格や、相手に求めるものなど、恋の相手選びに関係するといわれてきたものばかり。
それから、会場の異性の全員と4分ずつ話して、ひとりずつに「どのくらい惹かれたか」を答えたにゃ。
研究者たちは、事前の答えを機械学習(AIのしくみのひとつ)に読ませて、だれがだれに惹かれるかを当てようとしたにゃ。
事前の答えから、いちばん当てられなかったのはどれだと思う?
「惹かれる」の中には、3つのものが混ざっている、と研究者たちは考えたにゃ。
だれと会っても、わりと好かれる人。事前の答えから、ある程度は当てられたにゃ。
だれと会っても、わりと惹かれる人。これも少しは当てられたにゃ。
ほかの人にはそうでもないのに、この人にだけ惹かれる。相性と呼ばれているのは、たぶんここにゃ。
会う前の情報でわかるのは、「条件のいい人」や「人気がありそうな人」までにゃ。
その人があなたにとってどうかは、100以上の質問に答えてもらっても見えなかったにゃ。プロフィールが合っていたのに会うとちがった、は、ふしぎなことじゃなかったにゃ。
質問の答えは、ひとりずつのものにゃ。あなたの答えと、相手の答え。
でも、話の間の取り方や、笑うところが重なるか、沈黙が気まずくないか。そういうことは、どちらの答えの紙にも書いていないにゃ。
研究者のひとりは、恋の惹かれ合いを、正しい材料を混ぜれば起きる化学反応というより、地震に近いのかもしれない、とたとえているにゃ。いろんなものが動いて、その場で起きる。だから前もって当てにくい、という見方にゃ。
まだ説のひとつだけれど、「会ってみないとわからない」の手ざわりには近いにゃ。
この研究は、20年ほど前の大学生が、4分だけ話した結果にゃ。長くつきあう相手選びとは、ちがうかもしれないにゃ。
そこで2023年に、同じ研究者たちをふくむチームが、独身の208人を7か月追いかけたにゃ。ふだんの暮らしで出会った「気になる人」1,065人について、何度も気持ちを答えてもらったにゃ。
理想の条件と相手が合っているかどうかは、
好きになるかどうかを予測しなかった。
予測したのは、相手を魅力的だと感じるか、
そばにいたいと思うか、
相手も自分に気がありそうだと感じるか
効いていたのは、どれも会ってから感じることだったにゃ。
別の研究でも、出会い系サイトの「科学的なアルゴリズムで合う相手を選ぶ」という宣伝を裏づける証拠は、ほとんど見つかっていなかったにゃ(2012年に研究をまとめた報告)。
研究の大学生たちは、会場で全員と順番に会ってから、惹かれたかどうかを決めていたにゃ。
いまの日本では、アプリで出会って結婚する人も、もう珍しくないにゃ。そこでは順番が逆で、会う前にたくさんのプロフィールを見てから、会う人を決めるにゃ。
年齢や住んでいる所、休日の過ごし方で絞るのは、会える人を探すには便利にゃ。でも理想の条件と合っているかは、好きになるかを予測しなかったにゃ。条件は入口を決めてくれるけれど、その先までは決めてくれないのかもしれないにゃ。
事前の情報で当てやすかったのは「だれからも好かれやすいか」だったにゃ。いいねの数が見せているのは、たぶんそっちにゃ。たくさん届く人があなたに合うとはかぎらないし、あなたに届く数が少なくても、それは「この二人だから」とは別の話にゃ。
さっきの2012年の報告では、会う前のやりとりは親しみを育てる一方で、期待をふくらませて、会ったときのがっかりにつながることもある、とされていたにゃ。何週間もメッセージだけが続くと、頭の中の相手のほうが先にできあがってしまうのかもしれないにゃ。
だからといって、急いで会わなくていいにゃ。会うのは、あなたが安心できる場所とペースで。ただ、会う前に「合う・合わない」を全部決めきらなくていい、ということにゃ。
アプリで気になる人ができたとき、あなたがいちばん頼りにしているのはどれ?

100以上の質問をそろえた
ジョエルさんたちは、
「この二人だから」の部分も、
少しは当てられると
思っていたそうにゃ。
結果が出たあと、
「ゼロだとは思わなかった」と
話しているにゃ。
機械が読んだのは、
ひとりずつ書いた答えの紙。
アプリであなたが読んでいる
プロフィールと、同じ種類のものにゃ。
条件ぴったりの人と
話が続かなかった日に浮かぶ、
「見る目がないのかな」。
その目が見ていたのも、
研究者たちの機械と
同じ紙だったことになるにゃ。
もっとも、研究の350人は
アプリを使っていないにゃ。
大学の会場で、4分ずつ話しただけ。
アプリの会社が中でどう相手を
選んでいるのかも、
外からは見えないにゃ。
それでも、ねこたちの目には、
アプリは「会う人を探す道具」で、
「合う人を決める道具」ではない、
と映るにゃ。
会った日の夜には、
問いがふたつ浮かぶにゃ。
「条件、合ってたかな」
「もう少し、
いっしょにいたかったかな」
独身の人たちを7か月追った研究で、
好きになるかどうかを
言い当てていたのは、
そばにいたい気持ちや、
相手も気がありそうだという感じ。
理想の条件に合うかどうかは、
言い当てなかったにゃ。
ふたつの問いのうち、
この先を知っていたのは、
あとのほうだったにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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