← 研究所RESEARCH No.96あと9分
恋愛・パートナーシップ

プロフィールはぴったりだったのに、会ったら何かちがう?

…100以上の質問でも、「この二人だから」は会う前には見えなかったにゃ。

この研究を一枚で
問い
会う前に答えた質問から、ふたりが惹かれ合うかどうかを当てられるのか
どこで
アメリカで、スピードデートに参加した大学生350人(2005年と2007年。Joel ほか 2017)
どうやって
性格や相手への好みなど100以上の質問に答えてから、異性の参加者全員と4分ずつ会い、ひとりずつにどのくらい惹かれたかを答えてもらった。その結果を機械学習で当てようとした
わかったこと
「だれからも好かれやすいか」「だれでも好きになりやすいか」は一部当てられた。でも「この二人だから」の惹かれ合いは、どの組み合わせでも当てられなかった
その後の研究
独身の208人を7か月追った研究でも、理想の条件と相手が合っているかどうかは、好きになるかどうかを予測しなかった(2023年)

こんなこと、ないにゃ?

趣味も休日の過ごし方も、ぜんぶ同じだった
メッセージも、すごく楽しかったのに
会ってみたら、なんだか話が続かない
条件は完璧なのに、なんでだろう
(わたしの見る目がないのかな)

画面の上では、ぴったりの人。
なのに会うと、何かがちがう。

反対に、プロフィールでは
ぴんとこなかった人と、
会ったら話がはずんだりもするにゃ。

会う前に「合う」は、
どこまでわかるのかにゃ。

🧪 研究 100以上の質問と、4分のデート

350人の大学生が、
答えてから会った

ユタ大学の心理学者ジョエルさんたち(2017年)は、アメリカの大学で2005年と2007年に開かれたスピードデートのデータを使ったにゃ。参加したのは、恋人のいない大学生350人にゃ。

みんな、会う前に100以上の質問に答えていたにゃ。性格や、相手に求めるものなど、恋の相手選びに関係するといわれてきたものばかり。

それから、会場の異性の全員と4分ずつ話して、ひとりずつに「どのくらい惹かれたか」を答えたにゃ。

研究者たちは、事前の答えを機械学習(AIのしくみのひとつ)に読ませて、だれがだれに惹かれるかを当てようとしたにゃ。

予想してみるにゃ

事前の答えから、いちばん当てられなかったのはどれだと思う?

📊 結果の読み方

「好かれやすい人」と
「あなたに合う人」は、
別のもの

「惹かれる」の中には、3つのものが混ざっている、と研究者たちは考えたにゃ。

①

だれからも好かれやすい

だれと会っても、わりと好かれる人。事前の答えから、ある程度は当てられたにゃ。

②

だれでも好きになりやすい

だれと会っても、わりと惹かれる人。これも少しは当てられたにゃ。

③

「この二人だから」

ほかの人にはそうでもないのに、この人にだけ惹かれる。相性と呼ばれているのは、たぶんここにゃ。

会う前の情報でわかるのは、「条件のいい人」や「人気がありそうな人」までにゃ。

その人があなたにとってどうかは、100以上の質問に答えてもらっても見えなかったにゃ。プロフィールが合っていたのに会うとちがった、は、ふしぎなことじゃなかったにゃ。

🤔 なぜ、会う前にはわからないのか

相性は、
ふたりのあいだで
起きることかもしれない

質問の答えは、ひとりずつのものにゃ。あなたの答えと、相手の答え。

でも、話の間の取り方や、笑うところが重なるか、沈黙が気まずくないか。そういうことは、どちらの答えの紙にも書いていないにゃ。

研究者のひとりは、恋の惹かれ合いを、正しい材料を混ぜれば起きる化学反応というより、地震に近いのかもしれない、とたとえているにゃ。いろんなものが動いて、その場で起きる。だから前もって当てにくい、という見方にゃ。

まだ説のひとつだけれど、「会ってみないとわからない」の手ざわりには近いにゃ。

🔍 その後の研究

4分のデートの外でも、
同じだった?

この研究は、20年ほど前の大学生が、4分だけ話した結果にゃ。長くつきあう相手選びとは、ちがうかもしれないにゃ。

そこで2023年に、同じ研究者たちをふくむチームが、独身の208人を7か月追いかけたにゃ。ふだんの暮らしで出会った「気になる人」1,065人について、何度も気持ちを答えてもらったにゃ。

📊 わかったこと

理想の条件と相手が合っているかどうかは、
好きになるかどうかを予測しなかった。

予測したのは、相手を魅力的だと感じるか、
そばにいたいと思うか、
相手も自分に気がありそうだと感じるか

効いていたのは、どれも会ってから感じることだったにゃ。

別の研究でも、出会い系サイトの「科学的なアルゴリズムで合う相手を選ぶ」という宣伝を裏づける証拠は、ほとんど見つかっていなかったにゃ(2012年に研究をまとめた報告)。

📱 今に置き換えて考える

4分で会う時代から、
指でめくる時代へ

研究の大学生たちは、会場で全員と順番に会ってから、惹かれたかどうかを決めていたにゃ。

いまの日本では、アプリで出会って結婚する人も、もう珍しくないにゃ。そこでは順番が逆で、会う前にたくさんのプロフィールを見てから、会う人を決めるにゃ。

絞り込み

条件で絞った先に、まだ一枚ある

年齢や住んでいる所、休日の過ごし方で絞るのは、会える人を探すには便利にゃ。でも理想の条件と合っているかは、好きになるかを予測しなかったにゃ。条件は入口を決めてくれるけれど、その先までは決めてくれないのかもしれないにゃ。

いいねの数

多さは「好かれやすさ」に近い

事前の情報で当てやすかったのは「だれからも好かれやすいか」だったにゃ。いいねの数が見せているのは、たぶんそっちにゃ。たくさん届く人があなたに合うとはかぎらないし、あなたに届く数が少なくても、それは「この二人だから」とは別の話にゃ。

会う前のやりとり

画面の中の相手が、育ちすぎる

さっきの2012年の報告では、会う前のやりとりは親しみを育てる一方で、期待をふくらませて、会ったときのがっかりにつながることもある、とされていたにゃ。何週間もメッセージだけが続くと、頭の中の相手のほうが先にできあがってしまうのかもしれないにゃ。

だからといって、急いで会わなくていいにゃ。会うのは、あなたが安心できる場所とペースで。ただ、会う前に「合う・合わない」を全部決めきらなくていい、ということにゃ。

あなたならどれ?

アプリで気になる人ができたとき、あなたがいちばん頼りにしているのはどれ?

🐱 猫の国の研究所より

「ゼロだとは
思わなかった」

100以上の質問をそろえた
ジョエルさんたちは、
「この二人だから」の部分も、
少しは当てられると
思っていたそうにゃ。

結果が出たあと、
「ゼロだとは思わなかった」と
話しているにゃ。

機械が読んだのは、
ひとりずつ書いた答えの紙。
アプリであなたが読んでいる
プロフィールと、同じ種類のものにゃ。

条件ぴったりの人と
話が続かなかった日に浮かぶ、
「見る目がないのかな」。
その目が見ていたのも、
研究者たちの機械と
同じ紙だったことになるにゃ。

もっとも、研究の350人は
アプリを使っていないにゃ。
大学の会場で、4分ずつ話しただけ。
アプリの会社が中でどう相手を
選んでいるのかも、
外からは見えないにゃ。

それでも、ねこたちの目には、
アプリは「会う人を探す道具」で、
「合う人を決める道具」ではない、
と映るにゃ。

会った日の夜には、
問いがふたつ浮かぶにゃ。

「条件、合ってたかな」
「もう少し、
いっしょにいたかったかな」

独身の人たちを7か月追った研究で、
好きになるかどうかを
言い当てていたのは、
そばにいたい気持ちや、
相手も気がありそうだという感じ。
理想の条件に合うかどうかは、
言い当てなかったにゃ。

ふたつの問いのうち、
この先を知っていたのは、
あとのほうだったにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🔬 研究所

アプリで出会ったふたりは、長続きしない?

📚 図書館

だれかの物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

📚 参考文献

この記事で紹介した研究

📋 研究所のほかのレポートにゃ

⚡
RESEARCH No.95

はじめて会ったときのなんとなくは、当たるの?

…にぎやかさは早く見えて、やさしさは時間がかかったにゃ。

📍
RESEARCH No.97

世界にこんなに人がいるのに、縁があるのは近くの人ばかり?

…「縁」と呼んできたものを、部屋割りで数えた人たちがいるにゃ。

❓
RESEARCH No.94

何度会っても距離が縮まらないのは、時間が足りないから?

…「36の質問」の実験で、近さを分けたのは話す中身だったにゃ。

Joel, S., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2017). Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction. Psychological Science, 28(10), 1478-1489. リンク
Eastwick, P. W., Joel, S., Carswell, K. L., Molden, D. C., Finkel, E. J., & Blozis, S. A. (2023). Predicting romantic interest during early relationship development: A preregistered investigation using machine learning. European Journal of Personality, 37(3), 276-312. リンク
Finkel, E. J., Eastwick, P. W., Karney, B. R., Reis, H. T., & Sprecher, S. (2012). Online dating: A critical analysis from the perspective of psychological science. Psychological Science in the Public Interest, 13(1), 3-66. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com