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ふたりの科学

セックスの回数、もっとがんばったほうがいい?

…パートナーのいる人たちでは、週1回より先で、幸せの線が平らになっていたにゃ。

この研究を一枚で
問い
セックスの回数が多いほど、人は幸せなのか。どこまでも「多いほどいい」のか
どこで
アメリカの全国調査(1989〜2012年・25,510人)と、パートナーのいる人の調査2つ。合わせて30,645人(Muise ほか 2016)
どうやって
ふだんの回数と「全体として幸せか」の答えを並べて、関係の形を調べた。2つ目・3つ目の調査では、関係への満足も聞いた
わかったこと
パートナーのいる人では、回数が多いほど幸せだったが、週1回より多くても、それ以上は高くならなかった(低くもならなかった)。回数と幸せをつないでいたのは、関係への満足だった
その後の研究
回数を2倍にするよう夫婦に頼んだ実験(2015年・64組)では、回数は増えたが、幸せは上がらず、気分はわずかに下がった

こんな声、ないにゃ?

週に何回が「普通」なの?
みんなもっとしてるんじゃないか
回数が減ると、愛が薄れたって意味?
もっと頑張らなきゃ
(プレッシャーで、余計したくなくなる)

「もっと回数を」のプレッシャー。
愛情の証明として、
回数を気にしてしまう。

でも、回数と幸せの関係を
数えてみた人たちがいるにゃ。

🧪 研究 回数と幸せの「形」

3万人の答えを、
回数ごとに並べてみた

トロント大学のミューズさんたち(2016年)は、アメリカの全国調査(1989〜2012年)に答えた25,510人のデータを分析したにゃ。

並べたのは、ふだんのセックスの回数と、「全体として、いまの自分は幸せか」という答え。

さらに、パートナーのいる人の調査を2つ足して、関係への満足も見たにゃ。そのひとつは、2,400組あまりの夫婦を14年のあいだに3回たずねたもの。3つ合わせて、30,645人にゃ。

予想してみるにゃ

パートナーのいる人で、「回数が多いほど幸せ」が続いたのは、どこまでだったと思う?

📊 結果の読み方

週1回は、
合格点じゃなくて
平らになる所

📊 パートナーのいる人では

回数が多い人ほど幸せ、という関係が続いたのは

週1回まで

それより多い人たちの幸せは、それ以上高くならなかった。低くなったわけでもなかったにゃ。

暮らしの言葉にすると、こうにゃ。週1回の人と、それより多い人で、幸せの感じ方に差は見られなかった。

「週1回より少ないとだめ」という話でもないにゃ。たくさんの人を並べたときの平均の形で、ひとりひとりの合格ラインではないにゃ。

パートナーのいない人では、回数と幸せの関係そのものが見られなかったにゃ。回数だけが幸せを運んでくるわけではなさそうにゃ。

もうひとつ大事なのは、これが「いっしょに起きていること」を見た研究だということにゃ。回数が多いから幸せなのか、幸せだから回数が多いのかは、ここからはわからないにゃ。ミューズさんも、両方の向きがありそうだと書いているにゃ。

🤔 なぜ、週1回で平らになるのか

回数と幸せのあいだに、
ふたりの関係があった

パートナーのいる人の調査で見えたのは、回数と幸せをつないでいたのが、関係への満足だったことにゃ。回数が多い人ほど関係に満足していて、関係に満足している人ほど幸せ、という形にゃ。関係への満足も、週1回あたりで平らになっていたにゃ。

ひとつの説明はこうにゃ。セックスが幸せにつながるのは、それ自体より、「この人と近い」と感じられることを通してなのかもしれない。

その近さが感じられていれば、回数を足しても、もう上乗せは少ない。そう考えると、平らになるのもふしぎではないにゃ。ただ、これは説のひとつにゃ。

🔍 その後の研究

じゃあ、回数を増やしたら
幸せになる?

同じころ、それを実験で確かめた人たちがいるにゃ。2015年、アメリカの大学で、35〜65歳の夫婦64組(128人)を2つに分けたにゃ。

半分には「これから90日、回数をいまの2倍にしてください」とお願いした。もう半分には何も頼まなかった。夫婦たちは、もともと月に5〜6回、だいたい週1回くらいだったにゃ。

頼まれた増え方と、実際の増え方
頼まれた増え方2倍
実際に増えた分(平均)約4割増

2倍までは届かなかったけれど、頼まれた夫婦の回数は、何も頼まれなかった夫婦より増えていたにゃ。

予想してみるにゃ

回数が増えた夫婦の、幸せはどうなったと思う?

下がっていたのは、「したい気持ち」と「楽しめた度合い」もだったにゃ。研究者たちは、頼まれてすることで、したいからするものがやらなきゃいけないものに変わったのかもしれない、と考えているにゃ。

ただ、これはひとつの実験で、参加したのも「回数を変えてもいい」と手を挙げた夫婦たちにゃ。

夫婦を結婚14年目までたずねた別の研究でも、結婚の満足と結びついていたのは、回数より、性生活への満足と、ふだんのあたたかいやりとりのほうだったにゃ。

📱 今に置き換えて考える

「みんな週何回?」は、
いまスマホから届く

研究のデータは、1989〜2012年のアメリカで、調査に答えた人たちのものにゃ。自分の回数を、よその家と並べて見る機会は、いまよりずっと少なかったはずにゃ。

いまの私たちは、寝る前にスマホを開けば「平均◯回」も「うちはレス」も流れてくるにゃ。

スマホの中の平均

よその数は、ふたりの数じゃない

研究で見ていたのは、その人自身の回数と、その人自身の幸せにゃ。よその平均に追いつくことではなかったにゃ。別の大きな調査では、いまの回数に満足している人は、男性で半分に届かず、女性でも6割に届かなかったにゃ。「満足しきれていない」は、めずらしいことじゃないにゃ。

共働きの夜

「週1回」をノルマにしない

仕事と家事と育児で、夜はくたくた。そこへ「週1回」を目標として置くと、2倍にと頼まれた夫婦のように、したいからするものが「やらなきゃ」に変わってしまうかもしれないにゃ。週1回は、研究の中で平らになった所で、だれかの合格点ではないにゃ。

言いにくいときは

回数より、気持ちを短く渡す

顔を見て言いにくいなら、LINEのひと言でもいいにゃ。「今週は疲れてて、くっついて寝るだけがいい」「最近ちょっとさみしい」。何回、より、いま何がほしいかのほうが、相手も受けとりやすいかもしれないにゃ。

あなたならどれ?

いまの回数について、あなたの気持ちにいちばん近いのは?

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

90日、回数を2倍に。
そう頼まれた夫婦で減っていたのは、
「したい」と「楽しめた」だったにゃ。

はじめの吹き出しのうすい字、
「プレッシャーで、余計したくなくなる」。
あれと同じことが、
頼まれた夫婦たちの中でも
起きていたのかもしれないにゃ。

「もっと頑張らなきゃ」は、
ふたりが近くにいられるようにと
自分に出す宿題にゃ。

けれど、回数と幸せを
つないでいたのは、
ふたりの関係への満足のほうだった。
宿題にしたとたん、
そのつなぎ目にあった「したいから」が、
先に抜けていくのかもしれないにゃ。

ここまでは、ふたつの研究を
ねこたちがつなげてみたところにゃ。

2倍の実験は64組で、
自分から手を挙げた夫婦たちのこと。
3万人の調査のほうは、
回数と幸せが並んでいたところまでしか
見ていないにゃ。

2倍にと頼まれた夫婦の、
もともとの回数にゃ。

月に5〜6回。
だいたい週1回。
線が平らになりはじめる、
ちょうどそのあたりだったにゃ。

もう平らなところに、
回数だけを積み足していた夫婦たち。
増えたのは数で、
「したい」のほうは減っていたにゃ。

「もっと」と思った夜に、
ほんとうに足りていないのは、
回数なのか、
この人と近いと感じる時間なのか。

📚 参考文献

この記事で紹介した研究

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Muise, A., Schimmack, U., & Impett, E. A. (2016). Sexual frequency predicts greater well-being, but more is not always better. Social Psychological and Personality Science, 7(4), 295-302. リンク
Loewenstein, G., Krishnamurti, T., Kopsic, J., & McDonald, D. (2015). Does increased sexual frequency enhance happiness? Journal of Economic Behavior & Organization, 116, 206-218. リンク
Schoenfeld, E. A., Loving, T. J., Pope, M. T., Huston, T. L., & Štulhofer, A. (2017). Does sex really matter? Examining the connections between spouses' nonsexual behaviors, sexual frequency, sexual satisfaction, and marital satisfaction. Archives of Sexual Behavior, 46(2), 489-501. リンク
Smith, A., Lyons, A., Ferris, J., Richters, J., Pitts, M., Shelley, J., & Simpson, J. M. (2011). Sexual and relationship satisfaction among heterosexual men and women: The importance of desired frequency of sex. Journal of Sex & Marital Therapy, 37(2), 104-115. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com