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「最後の女になる」と言われた夜

📅 2025-11-03⏱️ 4分✍️ 匿名の再出発した男
恋愛再婚覚悟言葉信じる
「私が、あなたの最後の女になる」 彼女がそう言った時、酔いが一気に醒めた。 40歳。バツイチ。 正直、もう恋愛とか結婚とか、諦めていた。 一度目の結婚は、7年で終わった。理由は、いろいろあった。仕事が忙しかった。すれ違いが増えた。気づいた時には、家に帰っても会話がなかった。 離婚届を出した日、思ったのは「解放された」だった。 悲しいとか、寂しいとか、そういう感情より先に、安堵があった。 それから3年、一人で生きてきた。 仕事して、帰って、寝る。休みの日は、一人で映画を見たり、飲みに行ったり。 悪くなかった。気楽だった。 「もう誰かと暮らすのは、無理だな」 そう思っていた。 彼女と出会ったのは、取引先の飲み会だった。 5歳下。明るくて、よく笑う人だった。 最初は、ただの知り合い。仕事の話をして、たまに連絡を取るくらい。 でも、気づいたら二人で会うようになっていた。 「一緒にいて、楽しい」 久しぶりに、そう思った。 彼女には、最初から正直に話していた。 「俺、バツイチなんだ」 「知ってる。聞いた」 「そっか。まあ、そういうわけで、いろいろ面倒な男だよ」 「別に、気にしない」 そう言ってくれた。でも、心のどこかで信じられなかった。 「いつか、離れていくだろう」 そう思っていた。 前の結婚で学んだ。人の気持ちは変わる。「ずっと一緒にいよう」と言っても、いつか終わる。 だから、期待しないようにしていた。 付き合って半年。 二人で飲んでいた夜、彼女が言った。 「ねえ、私たち、このままでいいの?」 「このままって?」 「付き合ってるけど、その先は?」 俺は、黙った。 「俺は、一回失敗してるから。また誰かを不幸にするかもしれない」 本音だった。 彼女は、じっと俺を見た。 「私が、あなたの最後の女になる」 その言葉が、刺さった。 「最後」という言葉。 それは、覚悟だった。 逃げ道を作らない、覚悟。 俺が何を言っても、彼女は逃げないという宣言。 「本気で言ってる?」 「本気」 彼女の目を見た。揺らいでいなかった。 ああ、この人は、信じられる。 理屈じゃなかった。 ただ、分かった。この言葉に、嘘はない。 「俺でいいの?」 「あなたがいい」 その夜、泣いた。 40歳にもなって、情けないと思った。でも、止まらなかった。 「もう一回、信じてみよう」 そう思えた。 結婚したのは、その1年後。 小さな式だった。お互いの家族と、少しの友人だけ。 「最後の女」 彼女は、本当にそうなった。 今でも、一緒にいて楽しい。 笑い合って、たまに喧嘩して、また笑い合う。 前の結婚で、何がダメだったのか。今なら分かる。 俺は、相手を信じていなかった。相手も、俺を信じていなかった。 今は、違う。 「最後の女になる」 あの言葉を、俺は信じた。彼女も、俺を信じてくれている。 それだけで、十分だ。 もしあなたが、過去の失敗で臆病になっているなら。 もう一度、信じてみてもいいかもしれない。 信じられる人は、ちゃんと現れる。 俺は、そう思っている。 --- *© 2025 匿名の再出発した男*