貯金なんて、したことなかった。
給料が入る。使う。なくなる。また給料が入る。
その繰り返し。
「貯金しなよ」
何度も言われた。親にも、友達にも。
「分かってるって」
分かってる。分かってるけど、できない。
だって、今が楽しい方がいいじゃん。
来月の自分より、今日の自分。来年の自分より、今週の自分。
そう思って生きてきた。
29歳になった。
周りが変わり始めた。
「家、買おうと思って」
「結婚式の費用、貯めてる」
「老後のこと考えて、積立始めた」
みんな、未来の話をしてる。
私は、来月の家賃が払えるかどうかも怪しい。
「やばいかも」
初めて、そう思った。
通帳を見た。残高、3万円。給料日まで、あと2週間。
いつもこんな感じ。でも、いつもなんとかなってた。
なんとかなってた、じゃダメなんだ。
30歳が見えてきて、やっと気づいた。
でも、貯金って何から始めればいいか分からない。
本を読んだ。「まず固定費を見直しましょう」「先取り貯金をしましょう」「目標を決めましょう」
正論すぎて、心が折れた。
そんなのできたら、とっくにやってる。
結局、自分なりにやることにした。
「500円玉貯金」
これだけ。
財布に500円玉があったら、貯金箱に入れる。
それだけ。
最初の1週間、500円玉が2枚入った。1,000円。
少ない。めちゃくちゃ少ない。
でも、ゼロじゃない。
2週間目、3枚。3週間目、2枚。
1ヶ月で、3,500円。
本に書いてある「月3万円貯金」とか、全然無理。
でも、3,500円は3,500円。
今までの私は、0円だったんだから。
3ヶ月続けた。
貯金箱を開けた。1万2,000円。
たった1万2,000円。
でも、嬉しかった。
「私、貯金できてる」
生まれて初めて、そう思えた。
不思議なことに、意識が変わった。
コンビニで「これ、本当に必要かな」と思うようになった。
500円玉を残したくて、お釣りを計算するようになった。
小さな変化。でも、確実に変化。
友達に言った。
「私、貯金始めたんだ」
「えっ、あんたが?」
「500円玉だけだけど」
「それでも、すごいじゃん」
そう言ってもらえて、嬉しかった。
今、貯金箱には3万円くらいある。
何に使うかは、決めてない。
旅行でもいい。欲しいものでもいい。何かあった時の備えでもいい。
でも、使わなくてもいい。
「3万円ある」という安心感。それだけで、十分価値がある。
未来の自分に、少しずつ送金してる感じ。
届いた時、未来の私はちょっと楽になる。
そう思うと、500円玉を入れるのが楽しくなった。
貯金って、我慢じゃなかったんだ。
未来の自分を、ちょっとだけ助けてあげること。
それが分かっただけでも、始めてよかった。
もしあなたも、貯金ができないタイプなら。
500円玉からでいいと思う。
少なくても、ゼロよりずっといい。
未来の自分が、ちょっとだけ喜ぶから。
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