付き合いたての頃、夜中にどっちかが起きると、もう片方も目を覚ました。
「どうした?」「トイレ」「おやすみ」
それだけで、安心した。
今も、夜中に目が覚める。隣で夫が寝ている。寝息が聞こえる。
でも、声はかけない。向こうも、かけてこない。
休みの日の朝ごはんを、一緒に作ってた。
「卵焼き甘い派?しょっぱい派?」なんて聞いて、「じゃあ半分ずつ作ろう」って笑ってた。
今は、起きる時間がずれた。先に起きたほうが勝手に食べる。テーブルに残された食器で、「あ、起きたんだ」と知る。
一緒にいるのが当たり前だったあの頃と、一緒にいるのが当たり前になった今。
同じ言葉なのに、全然違う。
嫌いになったわけじゃない。たぶん向こうも。
ただ、「好き」の形が変わったのか、「好き」が減ったのか、それすら分からない。
聞けばいいのかもしれない。「最近、どう思ってる?」って。
でも聞いて、答えが返ってくるのが怖い。聞かないまま過ぎていく日々のほうが、まだ安全な気がする。
同じベッドで寝ている。背中合わせで。
あの頃は、くっついて寝てた。今は、ちゃんと自分のスペースがある。
大人になったのかな。
それとも、遠くなっただけかな。
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