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言いそびれたこと

📅 2026-03-23⏱️ 3分✍️ 匿名の言いそびれた人
感謝ありがとう後悔人間関係言葉
高校の時、保健室の先生がいた。 教室にいられなくなると、保健室に行った。先生は何も聞かなかった。ベッドを指さして、「寝てていいよ」とだけ言った。 お茶を出してくれることもあった。 卒業式の日、先生にお礼を言おうと思った。「あの時、何も聞かないでくれて、ありがとうございました」って。 でも、卒業式はバタバタしていて、先生を見つけた時には友達に囲まれてて、タイミングを逃した。 「まあ、いつか言えるか」と思った。 先生はその年で異動になった。連絡先は知らない。 --- 前の職場に、毎朝「おはよう」と声をかけてくれるおじさんがいた。 別の部署の人で、名前も知らなかった。でも毎朝、私の席の前を通る時に、「おはよう」と言ってくれた。 しんどい時期だった。誰とも話したくなかった。 でもあの「おはよう」だけは、嫌じゃなかった。 返事を返すのがやっとだった日もある。「……おはようございます」。小さい声で。 おじさんは気にしてなかったと思う。ただの挨拶だったと思う。 でも私にとっては、毎朝一回、「存在を認められる」瞬間だった。 転職して、もうあのおじさんには会えない。 「あなたの『おはよう』に救われてました」って、言えばよかった。言えるわけないけど。 --- 母に、まだ言えていないことがある。 子どもの頃、毎日お弁当を作ってくれた。 冷凍食品ばっかりだった。卵焼きと、ウインナーと、冷凍のコロッケ。 正直、友達の弁当が羨ましかった。キャラ弁とか、彩りのいいやつ。 大人になって分かった。母は朝5時に起きて、パートに行く前にお弁当を詰めてくれてた。 冷凍食品ばっかりだったのは、時間がなかったから。手抜きじゃなくて、あれが精一杯だったから。 「お弁当、ありがとう」 たった一言。でも、改まって言うのは照れくさい。 今度帰ったら言おう、って毎回思う。 毎回、言えないまま帰ってくる。 --- *© 2026 匿名の言いそびれた人*