半袖を出した日

📅 2026-05-17⏱️ 3分✍️ 匿名の青いボーダー
季節半袖Tシャツ去年の自分
去年のあなたへ。 たぶん、あなたは、半袖を出した日のことを覚えてない。 私もです。 去年の今頃、何を着てたかも、何を考えてたかも、もう霧の中。 ただ、いま、衣装ケースの底から、半袖のTシャツを出した。 3枚あって、1枚はあなたが選んで買ったやつだ。 青いボーダー。 肩のところが、少しほつれてる。 たぶん、洗濯機で乱暴に回したんだろう。 それも、覚えてない。 ハンガーにかけて、ベランダで日光に当てた。 青の色が、少し褪せた気がする。 それでも、まだ、好きな色だ。 腕が出る、というのは、不思議な感覚です。 冬の間、肌は誰にも触れられず、見られず、私だけのものだった。 お風呂の時くらいしか、自分でもじっくり見なかった。 半袖を着ると、私の腕は、世界に再開する。 電車のつり革に手を伸ばすと、腕が出てる。 レジでお金を払うと、腕が出てる。 誰も気にしてないけど、私だけは、なんとなく、その腕の存在を意識する。 去年のあなたは、こう思いましたか? それとも、何も思わずに、ただ、暑いから、と袖をまくっただけ? たぶん、後者。 あなたは、いつも、考えすぎる前に、行動してた。 私はいま、Tシャツのほつれを縫うか、捨てるか、迷ってます。 来年も着る気がする。 ほつれてるけど、青いボーダーが、好きだから。 それに、捨てたら、あなたが選んだことの証拠が、ひとつ減る気がして。 来年の私も、たぶん、これを着てます。 ほつれは増えて、たぶん、3つくらいになって。 首回りも、少し緩んできて。 でも、まだ着てます。 そうやって、季節が一枚ずつ、重なっていく。 あなたが、最初に選んだ服を、ずっと着てる、というだけのことです。 そういう小さい連続を、ぼんやり、続けていきます。 それだけのことだけど、わりと、悪くないと思ってます。 --- *© 2026 匿名の青いボーダー*