梅雨入り前の夕暮れ

📅 2026-05-21⏱️ 3分✍️ 匿名の折れた骨
季節梅雨夕暮れ予感
ベランダに、シャツを干した。 今日は晴れてる、と思って、出かけた。 帰ってきたら、空気が変わってた。 シャツがしっとりしてる。匂いも、なんとなく、土っぽい。 スマホで天気を見たら、明後日から雨マークが続いてた。週末は曇り、来週はずっと傘マーク。 「梅雨入り、もうすぐ」と画面が言った。 そういえば、夕方の空が、いつもより低い。 雲がぶ厚い。風もない。 窓を開けても、空気が動かなかった。 --- スーパーの帰り、傘売り場の前で足が止まった。 うちにある折りたたみ傘は、骨が一本折れてる。去年からそのまま。 雨の中で広げると、左の端だけ、だらんと下がる。 それでも、濡れないわけじゃないから、毎回それを使ってる。 新しいのを買えばいい、と思いながら、買わずに帰った。 レジで「袋いりますか」と聞かれた時、もう手にエコバッグを持ってて、首を振った。 新しい傘も、いいや、と思った。 折れた骨でも、たぶん、もう一年は使う気がする。 --- 夜、布団に入った。 窓は開けてある。雨はまだ降ってない。 降る前の、変な静けさ。 虫の声もない、風もない、ただ、空気が重い。 天気予報は、明日の午後から、と言ってた。 たぶん、私が起きた時には、もう降ってる。 明日には降ってるかもしれない。降らないかもしれない。 それは、明日が決める。 私は今夜、布団の中で、降る前の音のなさを、しばらく聞いていた。 電気を消したら、もっと、静かになった。 雨が降ったら、シャツを取り込みに行こう。 降らなかったら、もう一晩、外に置いておこう。 そんなことを考えながら、目を閉じた。 降る前の夜は、なんだか、世界が一拍だけ、息を止めている気がする。 --- *© 2026 匿名の折れた骨*