ベランダに、シャツを干した。
今日は晴れてる、と思って、出かけた。
帰ってきたら、空気が変わってた。
シャツがしっとりしてる。匂いも、なんとなく、土っぽい。
スマホで天気を見たら、明後日から雨マークが続いてた。週末は曇り、来週はずっと傘マーク。
「梅雨入り、もうすぐ」と画面が言った。
そういえば、夕方の空が、いつもより低い。
雲がぶ厚い。風もない。
窓を開けても、空気が動かなかった。
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スーパーの帰り、傘売り場の前で足が止まった。
うちにある折りたたみ傘は、骨が一本折れてる。去年からそのまま。
雨の中で広げると、左の端だけ、だらんと下がる。
それでも、濡れないわけじゃないから、毎回それを使ってる。
新しいのを買えばいい、と思いながら、買わずに帰った。
レジで「袋いりますか」と聞かれた時、もう手にエコバッグを持ってて、首を振った。
新しい傘も、いいや、と思った。
折れた骨でも、たぶん、もう一年は使う気がする。
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夜、布団に入った。
窓は開けてある。雨はまだ降ってない。
降る前の、変な静けさ。
虫の声もない、風もない、ただ、空気が重い。
天気予報は、明日の午後から、と言ってた。
たぶん、私が起きた時には、もう降ってる。
明日には降ってるかもしれない。降らないかもしれない。
それは、明日が決める。
私は今夜、布団の中で、降る前の音のなさを、しばらく聞いていた。
電気を消したら、もっと、静かになった。
雨が降ったら、シャツを取り込みに行こう。
降らなかったら、もう一晩、外に置いておこう。
そんなことを考えながら、目を閉じた。
降る前の夜は、なんだか、世界が一拍だけ、息を止めている気がする。
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