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姉の結婚式を、画面越しに見た

📅 2025-11-03⏱️ 4分✍️ 匿名の妹
家族孤独選択境界線葛藤
姉の結婚式。オンラインで見た。 招待はされてた。「来てね」って。でも、行かなかった。「体調悪くて」って嘘ついた。 本当は、行きたくなかった。 姉とは、昔から仲が悪かった。いや、「悪い」って言うのも違う。ただ、合わなかった。 姉は優等生だった。勉強もスポーツもできて、友達も多くて、親の自慢だった。 私は、その逆。勉強もダメ、友達もいない、部屋に引きこもってばかり。 親は、いつも姉と私を比べた。「お姉ちゃんを見習いなさい」って。何度言われたかわからない。 姉は、悪い人じゃない。むしろ、優しい。私を心配してくれる。「何かあったら言ってね」って。 でも、その優しさが、しんどい。上から見下ろされてる感じがする。「かわいそうな妹」として扱われてる気がする。 だから、距離を取った。 20代の後半、姉と連絡を取るのをやめた。誕生日も、年賀状も、何も送らなくなった。 姉から連絡は来た。「どうしたの?」「何かあった?」って。でも、返事しなかった。 それから数年、ほとんど会ってない。 結婚式の招待状が来たとき、迷った。行くべきなのか。でも、行ったら何を話せばいい?久しぶりに会った親戚に、「仕事は?」「結婚は?」って聞かれるのが目に見えてる。 行かないことにした。 当日、姉からリンクが送られてきた。「一応、オンラインでも見られるようにしたから」って。 パソコンの前に座った。画面越しに、姉の結婚式が始まった。 姉は、綺麗だった。幸せそうだった。新郎も、いい人そうだった。 両親が泣いてた。親戚が笑ってた。友達がスピーチしてた。 私は、画面越しに、それを見てた。 涙は出なかった。祝福の気持ちも、正直よくわからなかった。ただ、「ああ、姉は姉の人生を生きてるんだな」って思った。 式が終わった。画面を閉じた。 姉から、メッセージが来た。「見てくれた?ありがとう」って。 「おめでとう」とだけ返した。 姉は幸せになった。私は、相変わらず一人だ。 これでいいのかわからない。でも、これが私の選択だった。 姉と仲良くできれば、よかったのかもしれない。でも、無理だった。比べられ続けた過去は、消えない。 姉を恨んでるわけじゃない。ただ、一緒にいると、自分が惨めになる。それだけ。 距離を取ることは、逃げなのかもしれない。でも、それで自分を守れるなら、逃げてもいいと思う。 画面越しに見た、姉の幸せ。 それで十分だった。 --- *© 2025 匿名の妹*