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祖母の認知症が、進んでいく

📅 2025-11-03⏱️ 5分✍️ 匿名の孫娘
家族介護喪失愛情時間
祖母が、私の名前を忘れた。 先月のことだ。 「あなた、誰だっけ?」 その言葉を聞いた時、胸が締め付けられた。 「孫だよ。ユキだよ」って言った。 祖母は、首を傾げた。「そう...」 認知症だった。2年前に診断された。最初は軽かった。物忘れが少し多い程度。 でも、少しずつ進んでいった。 財布をどこに置いたか忘れる。同じ話を何度もする。人の名前が出てこなくなる。 そして、ついに、私を忘れた。 祖母は、私を育ててくれた人だった。 両親が共働きで忙しかったから、小学校の頃はずっと祖母の家にいた。 祖母は、私におやつを作ってくれた。宿題を見てくれた。昔話を聞かせてくれた。 夏休みは、一緒に虫取りに行った。冬は、こたつで一緒にみかんを食べた。 祖母は、私にとって特別な存在だった。 でも、今の祖母は、私を知らない。 先日、祖母のいる施設に行った。 祖母は、窓の外を見ていた。 「おばあちゃん」って声をかけた。 祖母は振り向いた。「あら、こんにちは」 知らない人に話しかけるような、丁寧な口調だった。 「私、ユキだよ。孫だよ」 祖母は微笑んだ。「そうなの。わざわざありがとうね」 その笑顔が、優しくて、でも悲しかった。 一緒に、写真を見た。 昔の写真。私が小学生の頃の写真。祖母と一緒に撮った写真。 「これ、誰かしら」と祖母が言った。 「私だよ。子どもの頃の私」 祖母は不思議そうに見ていた。「可愛い子ね」 それだけ。思い出せない。私も、思い出も、全部。 帰り際、祖母が言った。 「また来てね。優しい人ね」 涙が出そうになった。でも、我慢した。笑顔で「また来るね」って言った。 施設を出てから、泣いた。 祖母は、もう戻ってこない。私を思い出すことは、もうないかもしれない。 それが、辛い。寂しい。 でも、私は覚えている。祖母との思い出を。祖母がくれた優しさを。 祖母は私を忘れても、私は祖母を忘れない。 それだけで、いいのかもしれない。 来週も、施設に行く。祖母に会いに行く。 祖母は私を知らないだろう。でも、それでもいい。 ただ、そばにいたい。最期まで、一緒にいたい。 祖母の認知症は、進んでいく。 でも、私の愛は、消えない。 それが、私にできる唯一のことだ。 --- *© 2025 匿名の孫娘*