息子が、学校に行かなくなった。
中学2年生。ある日突然、「行きたくない」って言った。
最初は、「サボるな」って怒った。「みんな我慢して行ってるんだ」って。
でも、息子は行かなかった。
1週間、2週間、1ヶ月。ずっと、家にいる。
部屋から出てこない。ご飯も部屋で食べる。顔も見せない。
学校から連絡が来た。「お子さん、どうされてますか」って。
「すみません、体調が」って嘘をついた。
でも、体調じゃない。心だ。
息子に聞いた。「何があったんだ?いじめか?」
息子は答えなかった。ただ、「行きたくない」って繰り返すだけ。
妻は泣いた。「私の育て方が悪かったのかしら」って。
俺も、自分を責めた。「俺が厳しすぎたのか」って。
でも、答えは出なかった。
2ヶ月が過ぎた。
俺は、諦めた。いや、考えを変えた。
無理やり学校に行かせても、意味がない。むしろ、追い詰めるだけだ。
ある日、息子の部屋のドアをノックした。
「入っていいか」
返事はなかった。でも、入った。
息子は、ベッドで横になっていた。
「学校、行かなくていいぞ」って言った。
息子は、こっちを見た。驚いた顔をしていた。
「無理に行かなくていい。休んでいいんだ」
息子の目から、涙が出た。
「ごめん」って息子が言った。
「謝らなくていい。お前は悪くない」
それから、少しずつ、息子が部屋から出てくるようになった。
リビングで一緒にテレビを見た。一緒にご飯を食べた。
学校の話はしなかった。将来の話もしなかった。ただ、一緒にいた。
半年が過ぎた。
息子が言った。「学校、行ってみようかな」
驚いた。でも、「無理しなくていいぞ」って言った。
息子は、「うん、でも行ってみる」って。
次の日、息子は学校に行った。午前中だけ。でも、行った。
帰ってきた息子に、「どうだった?」って聞いた。
「まあまあ」って息子は言った。
それだけ。でも、十分だった。
今、息子は週に3日、学校に行っている。
毎日じゃない。でも、それでいい。
息子は息子のペースで、生きている。
俺は、それを見守っている。
不登校になった息子。最初は、受け入れられなかった。
でも、今は違う。息子が生きていてくれる。それだけで、十分だ。
人生には、いろんな道がある。学校に行くだけが、正解じゃない。
息子の道を、俺は応援する。
それが、父親としてできることだ。
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