娘に、「ママ、嫌い」って言われた。
6歳。小学1年生。
きっかけは、些細なことだった。
「宿題やりなさい」って言ったら、「やだ」って返ってきた。
「遊ぶ前にやるって約束したでしょ」
「やだって言ってる!」
娘は、泣き出した。
私も、イライラが限界だった。仕事から帰って、夕飯作って、洗濯して。疲れてた。
「わがまま言わないの!」
声が、大きくなった。
娘は、泣きながら言った。
「ママなんか、嫌い!」
その言葉が、胸に刺さった。
娘は、自分の部屋に走っていった。ドアをバタンと閉めた。
私は、リビングに一人残された。
泣きそうになった。でも、泣けなかった。
「嫌い」って言われた。自分の娘に。
ショックだった。悲しかった。でも、同時に、怒りもあった。
「私だって疲れてるのに」
でも、娘はまだ6歳だ。疲れてるとか、わからない。
しばらくして、娘の部屋に行った。ノックした。
「入っていい?」
返事がない。でも、入った。
娘は、ベッドで丸くなっていた。泣いてた。
「ごめんね」って言った。
娘は、こっちを見なかった。
「ママ、怒鳴ってごめん。疲れてて、イライラしちゃった」
娘は、何も言わなかった。
「でもね、宿題はやってほしいの。約束だから」
娘は、小さく頷いた。
「ママのこと、嫌い?」
娘は、しばらく黙ってた。それから、首を横に振った。
「嫌いじゃない」
その言葉を聞いて、涙が出た。
娘を抱きしめた。娘も、私にしがみついてきた。
「ごめんね、ママ」って娘が言った。
「ううん、ママこそごめんね」
二人で、しばらく抱き合っていた。
それから、一緒に宿題をやった。
難しい問題があって、娘は「わかんない」って言った。
「一緒に考えよう」
二人で、頭をひねった。そして、答えが出た。
「できた!」って娘が笑った。
その笑顔を見て、思った。
子育てって、こういうことの繰り返しなんだな。
喧嘩して、仲直りして、また喧嘩して。
完璧な母親なんていない。完璧な子どももいない。
でも、それでいい。
「ママ、嫌い」って言われた夜。
辛かった。でも、それを乗り越えたら、また少し強くなれた気がする。
娘は、今、隣で寝ている。
穏やかな寝顔。
この子を、ちゃんと愛してる。この子も、私を愛してくれてる。
それだけで、十分だ。
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