🔬 猫の国 研究所
"自分を好きになろう"が
逆効果になる人がいる
…アファメーションを試して
なんか余計つらくなった人、
それ、あなたのせいじゃないにゃ。
朝、鏡の前に立つ。
本やSNSに書いてあった通り、
自分に向かって言ってみる。
…でも、心の中では
別の声が聞こえてくる。
ポジティブな言葉を唱えるほど、
なぜか気分が沈んでいく。
…この経験、あなたにもあるかにゃ?
カナダ・ウォータールー大学のWood博士たちは、「ポジティブな自己宣言(セルフステートメント)」が本当に効果的なのかを実験で検証したにゃ。
まず参加者の自尊感情(セルフエスティーム)を測定したにゃ。
その後、参加者を2つのグループに分けたにゃ。
「I am a lovable person(私は愛される人間です)」という文を繰り返し唱える
特に指示なし(統制群)
そして実験の前後で、気分と自己評価を測定したにゃ。
もしアファメーションが万能なら、全員の気分が良くなるはずにゃ。
でも、結果は…
「私は愛される人間です」を
繰り返した後の気分は…
唱えなかったグループより気分が落ち込んだにゃ。
自己評価も下がったにゃ。
同じ言葉を繰り返した後は…
少しだけ気分が良くなったにゃ。
でもその効果はごくわずかだったにゃ。
つまり、ポジティブな自己宣言は
**もともと自信がある人には少しだけ効くけど、
自信がない人にはむしろ逆効果**
だったにゃ。
なぜこんなことが起きるのかにゃ?
研究者たちは、認知的不協和(cognitive dissonance)のメカニズムが関わっていると考えているにゃ。
認知的不協和とは、自分の信念と矛盾する情報に触れたとき、脳が強い不快感を感じる現象にゃ。
↓ でも自分を「愛される」とは思えない
↓ 言葉と現実のギャップに脳が反応
↓ 「嘘だ」「そんなわけない」と反論が湧く
↓ 反論のほうがリアルに感じる
↓ 余計に「やっぱり自分はダメだ」と確信する
さらに、ポジティブな言葉だけに集中しようとすると、浮かんでくるネガティブな思考がより強烈に感じられることも分かっているにゃ。
ポジティブな言葉と現実の自分とのギャップが大きいほど、
この逆効果は強くなるにゃ。
ここに、ちょっと残酷な
皮肉があるにゃ。
アファメーションを
「一番必要としている人」が、
一番傷つく
自信がある人は、もともとそんなに必要じゃない。
でも少しだけ効く。
自信がない人は、本当に助けが欲しい。
でも逆効果になる。
「ポジティブに考えよう」
「自分を好きになろう」
「毎朝鏡に向かって唱えよう」
こういうアドバイスは善意から来ているにゃ。
でもそれが全員に効くわけじゃないにゃ。
そして効かなかったとき、
人は「自分の努力が足りないんだ」と
さらに自分を責めてしまうにゃ。
テキサス大学のKristin Neff博士は、自尊感情(セルフエスティーム)に代わるものとして、セルフ・コンパッション(自分への思いやり)を提唱しているにゃ。
セルフ・コンパッションの特徴は、自分を「すごい」と評価するのではなく、苦しんでいる自分に優しく接するということにゃ。
自分を批判するのではなく、つらいときに自分に温かく接する
苦しみは自分だけのものではなく、人間として共通の経験だと認識する
ネガティブな感情を無視も誇張もせず、あるがままに受け止める
Neff博士の研究では、セルフ・コンパッションは自尊感情と同じくらいメンタルヘルスに良い影響を与えつつ、ナルシシズムや自己防衛には結びつかないことが示されているにゃ。
しかも、自尊感情の高さに関係なく効果があるにゃ。
ここでひとつ、
聞いてみたいにゃ。
アファメーションを試して、
「なんか違うな」
「余計つらくなったな」
って感じたこと、あるかにゃ?
もしあるなら、
それはあなたが弱いからじゃなくて、
方法が合っていなかっただけ
かもしれないにゃ。
「ポジティブになれない自分はダメだ」
なんて、思わなくていいにゃ。
そもそも、無理にポジティブになる必要は
なかったのかもしれないにゃ。
研究を踏まえると、ポジティブな自己宣言の代わりに、現実的で思いやりのある言葉のほうが効果的だと考えられているにゃ。
信じられないと逆効果 / 現実とのギャップで苦しくなる
現実を否定しない / 自分に優しくする / ギャップが生まれない
いくつか例を挙げてみるにゃ。
ポイントは、自分を「すごい」と持ち上げるのではなく、「今の自分をそのまま認める」ことにゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことにゃ。
「自分を好きになろう」「ポジティブに生きよう」
っていう言葉は、世の中にあふれてるにゃ。
そしてそれは、悪意から来ているわけじゃないにゃ。
むしろ、あなたを元気づけたくて言ってるにゃ。
でも、研究が教えてくれるのは、
**同じ言葉でも、受け取る人の状態によって
薬にも毒にもなる**ということにゃ。
無理にポジティブにならなくていいにゃ。
つらいときに「つらい」と認めることは、
弱さじゃなくて、正直さにゃ。
「自分を好きになれない自分」を
責める必要はないにゃ。
もちろん、これはひとつの研究であって、すべてを説明するものじゃないにゃ。アファメーションが合う人もいるにゃ。大事なのは、合わなかったとき、自分を責めないことにゃ。
あなたの感覚のほうが、どんなアドバイスよりも正確にゃ。
「自分を好きになろう」が
合わなかった人へ。
それはあなたの心が壊れてるんじゃなくて、
あなたの心がちゃんと
「これは違う」と感じ取ってくれたんだと思うにゃ。
自分を好きになれなくても、
自分に少しだけ優しくすることは
できるかもしれないにゃ。
「今日もなんとかやってる」
…それだけで、十分にゃ。
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猫の国は、優しい人のための場所にゃ。