🔬 猫の国 研究所
星空を見上げると
"時間が増える"という
研究がある
…すごいにゃ。
世界って、広いにゃ。
毎日が忙しいにゃ。
やることが終わらない。
時間が足りない。
一日があっという間に過ぎていく。
でもにゃ。
たまに、ふと空を見上げたとき、
夕焼けがあまりにもきれいで、
時間が止まったような気持ちに
なったこと、ないかにゃ?
山の頂上から広がる景色を見て、
海の果てしなさに息を飲んで、
満天の星に包まれて。
その瞬間、不思議と
「時間がたっぷりある」ような
感覚になったこと。
あの感覚には、
ちゃんと名前があったにゃ。
「畏怖(いふ)」――英語でAwe。
スタンフォード大学のMelanie Ruddと、Kathleen Vohs、Jennifer Aakerの3人は、こんな疑問を持ったにゃ。
「畏怖を感じた人は、
時間の感じ方が変わるのでは?」
彼女たちは3つの実験を行ったにゃ。
ある実験では、参加者に1分間の映像を見せたにゃ。
片方のグループには、滝や宇宙飛行士など圧倒的に壮大な映像を。
もう片方のグループには、楽しいけど畏怖は感じない映像(紙吹雪やパレードなど)を。
別の実験では、「畏怖を感じた体験」を思い出して書いてもらったにゃ。対照群には「幸せだった体験」を書いてもらったにゃ。
そのあと、時間の感覚や行動がどう変わるかを調べたにゃ。
結果は、3つの実験すべてで一貫していたにゃ。
畏怖を感じた参加者は、
幸福を感じた参加者と比べて
と有意に強く感じたにゃ。
同じ人生、同じ一日なのに、時間の「量」の感覚そのものが変わったにゃ。
しかもにゃ。
その効果は「ただ気持ちいい」からじゃなかったにゃ。「幸せ」を感じた人ではこの効果は出なかったにゃ。
畏怖だけが、時間を「伸ばした」にゃ。
研究者たちは、こう分析したにゃ。
畏怖は人を「いま、この瞬間」に引き戻す。
そして「いま」に集中しているとき、
時間はゆっくり、たっぷり流れるように感じる、と。
畏怖がもたらした変化は、時間感覚だけじゃなかったにゃ。
畏怖を感じた参加者は、忍耐力が上がったにゃ。急がなくてもいい、という感覚になったにゃ。
ボランティアに自分の時間を割いてもいい、と答える人が増えたにゃ。お金を寄付するよりも、時間を差し出す意欲が上がったのが特徴的にゃ。
物質的な商品よりも、体験(旅行やコンサートなど)を好む傾向が強くなったにゃ。
「自分の人生に満足している」という回答が、有意に高くなったにゃ。
すごいにゃ…。
たった数分の「畏怖」で、
こんなに変わるにゃ。
Ruddらの実験でおもしろいのは、畏怖の引き金がとても身近だったということにゃ。
実験で使われたのは、たった1分間の映像にゃ。
滝、広大な自然、宇宙から見た地球。
特別な場所に行ったわけじゃないにゃ。
画面越しに見ただけにゃ。
心理学者のKeltnerとHaidt(2003)は、畏怖の本質をこう定義したにゃ。
畏怖とは、
「知覚された広大さ」と、
「今の理解に収まりきらない感覚」
の組み合わせ
つまり、畏怖のトリガーになりうるものは
たくさんあるにゃ。
自然 ― 星空、山、海、雲の流れ
芸術 ― 美しい絵画、壮大な音楽
建築 ― 大聖堂、古い神社の境内
人間の営み ― 赤ちゃんの誕生、人の優しさ
宇宙 ― 夜空の写真、宇宙の映像
…そして、ほんの1分の映像でも
効果があったにゃ。
Piffら(2015)の研究で、もうひとつ不思議なことがわかったにゃ。
畏怖を感じた人は、自分のことを
「小さい」と感じたにゃ。
広大な自然や宇宙を前にして、
「自分ってちっぽけだな」と。
畏怖を感じた日は、喜びを感じた日と比べて
そしてこの「小さな自分」の感覚が、他者とのつながりや利他的な行動を促進したにゃ。
普通、「自分は小さい」と感じたら
落ち込みそうにゃ。
でも畏怖による「小ささ」は違うにゃ。
「自分は小さい。
でも、*こんなに大きなものの
一部でもある*」
この感覚が、
孤独を減らし、
寛容さを増やし、
世界とのつながりを感じさせるにゃ。
…すごいにゃ。
小さくなることで、
逆に広がっていくにゃ。
ここでちょっと、
立ち止まってみるにゃ。
最後に「うわぁ…」と
息を飲んだのは、いつにゃ?
星空? 夕焼け? 海?
音楽? 誰かの言葉?
赤ちゃんの笑顔?
…もし思い出せなくても、
それはそれでいいにゃ。
忙しい毎日の中で、
忘れてしまうのは自然なことにゃ。
でもにゃ。
あの感覚は、
いつでも取り戻せるかもしれないにゃ。
Ruddらの実験が教えてくれた大事なことにゃ。
たった1分の映像で、時間感覚が変わった。
つまり、グランドキャニオンに行かなくても、
オーロラを見なくても、
畏怖は日常の中にあるにゃ。
窓から見える空の色が変わる瞬間。
木の枝に朝露がきらめくとき。
美術館で一枚の絵の前に立ったとき。
好きな音楽のあのフレーズが来たとき。
…あるいは、
夜、ベランダに出て
ほんの少し上を見上げるだけで。
畏怖は、
「すごいものを見に行く」のではなく、
「すでにある広大さに気づく」
ことなのかもしれないにゃ。
そしてそのとき、
時間は少しだけ、
ゆっくり流れてくれるかもしれないにゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことにゃ。
「時間がない」と感じるとき、
人はどうしても焦るにゃ。
自分のことで精一杯になって、
周りが見えなくなって、
何かに追われるように生きてしまうにゃ。
でも畏怖は、
その逆のことをしてくれるにゃ。
「自分は小さい」と感じることで、
逆に時間が広がり、
人に優しくなれて、
人生に満足できるようになる。
…なんだか矛盾しているようで、
美しいにゃ。
もちろん、研究が示しているのは
統計的な傾向であって、
すべての人に同じように
当てはまるわけじゃないにゃ。
「畏怖を感じなきゃ」と
プレッシャーに感じる必要はないにゃ。
ただ、もし忙しさに押しつぶされそうなとき、
ほんの少しだけ空を見上げてみる
…という選択肢があることを、
覚えておいてもらえたらにゃ。
星空を見上げると、時間が増える。
自分が小さくなると、世界が広がる。
畏怖を感じると、人に優しくなれる。
…研究が教えてくれるのは、
そんな不思議で美しい話だったにゃ。
猫の国の美術館には、
絵を眺めるだけの静かな場所があるにゃ。
もしよかったら、
あそこで少しだけ、
「うわぁ…」を感じてみてほしいにゃ。
きっと時間は、
あなたが思ってるより
たっぷりあるにゃ。
「感情との付き合い方ひみつノート」
「自分を知るためのひみつノート」で実践する
心に寄り添う物語を読む
自分を知るための診断ツールを試す
絵の前で「うわぁ…」を体験する
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。