🔬 猫の国 研究所
懐かしい記憶を思い出すと、
体温が本当に上がる
…思い出って、あったかいにゃ。
ふとした瞬間に、
懐かしさがこみ上げてくること、
あるにゃ。
この「あったかい気持ち」。
実は、**比喩じゃなくて
本当に体が温まっていた**
としたら?
2012年、サウサンプトン大学と中山大学の共同チーム(Zhou, Wildschut, Sedikidesら)が、5つの実験を行ったにゃ。
テーマはひとつ。
「懐かしさ」は、身体の温度感覚に影響するのか?
実験のひとつでは、参加者を寒い部屋に入れて、こう指示したにゃ。
「懐かしい思い出を
ひとつ思い出してください」
別のグループには、普通の(特に懐かしくない)出来事を思い出してもらったにゃ。
そのあと、今いる部屋の温度をどう感じるかを聞いたにゃ。
懐かしい記憶を思い出したグループは、
普通の記憶を思い出したグループと比べて、
体感温度が
同じ部屋にいるのに、懐かしさを感じた人のほうが「暖かい」と感じたにゃ。
エアコンの設定は変わってないにゃ。
部屋の温度は同じにゃ。
でも、思い出すものが違うだけで、
身体が感じる温度が変わったにゃ。
さらに別の実験では、懐かしい音楽を聴いたときにも同じ効果が確認されたにゃ。
ノスタルジーの「あったかさ」は、気持ちだけじゃなくて、身体にも届いていたにゃ。
おもしろいのは、この関係が双方向だったことにゃ。
研究チームは参加者に30日間、日記をつけてもらったにゃ。毎日の「懐かしさ」と、その日の天気を記録したにゃ。
気温が低い日ほど、
参加者が報告したノスタルジーの強さは
寒い日ほど、人は自然と懐かしい記憶を思い出していたにゃ。
さらに、寒い部屋に入れられた参加者は、暖かい部屋や普通の部屋にいる参加者よりも、ノスタルジーをより強く感じたにゃ。
寒い → 懐かしくなる → あったかくなる。
…これ、身体が自分で自分を
温めようとしてるのかにゃ?
5つ目の実験は、もっとシンプルだったにゃ。
参加者に「懐かしい記憶」か「普通の記憶」を思い出してもらい、そのあと4℃の氷水に手を入れて、できるだけ長く耐えてもらう実験にゃ。
懐かしい記憶を思い出したグループは、
普通の記憶のグループよりも、
氷水に手を入れていられた時間が
懐かしさが、実際の痛みへの耐性まで変えていたにゃ。
これはもう「気分の問題」では説明がつかないにゃ。
**ノスタルジーは、身体の感覚そのものに
影響を与えていた**にゃ。
なぜ懐かしさで体が温まるのか。
そのヒントは、島皮質(とうひしつ)という脳の部位にあるにゃ。
島皮質は、物理的な温度(暑い・寒い)と、社会的な温かさ(信頼・つながり・安心感)の両方を処理している場所にゃ。
温かいコーヒーカップを持った人は、
初対面の相手を「温かい人柄だ」と評価しやすかった。
逆に、冷たい飲み物を持った人は、
同じ相手を「冷たい人だ」と評価した。
(Williams & Bargh, 2008)
つまり脳は、「物理的な温かさ」と「心の温かさ」を
明確に区別していないにゃ。
懐かしい記憶には、たいてい大切な人とのつながりが含まれているにゃ。
その「心の温もり」を、脳が身体の温度として処理してしまう…
そういうことが起きていると考えられているにゃ。
ここで、ひとつ
聞いてみたいことがあるにゃ。
あなたの「いちばん温かい記憶」って
なんだろうにゃ?
誰かと食べたごはん?
帰り道の夕焼け?
布団の中で聞いた雨の音?
…思い浮かべるだけで、
ちょっとだけ温かくなるかもしれないにゃ。
その記憶がちゃんとあなたを
温めてくれるって、
研究が証明してくれたにゃ。
「過去ばっかり振り返って」
「前を向きなよ」
そう言われたことがある人もいるかもしれないにゃ。
でも研究者たちは、ノスタルジーをこう位置づけているにゃ。
ノスタルジーは
**恒常性を維持するための
心理的資源**である
恒常性(ホメオスタシス)というのは、身体が「ちょうどいい状態」を保とうとする仕組みのことにゃ。
体温が下がれば震えて熱を作る。
血糖値が下がればお腹が空く。
ノスタルジーも、それと同じにゃ。
寒いとき、孤独なとき、心が冷えたとき、
脳が自動的に「温かい記憶」を引っ張り出して、
身体と心のバランスを保とうとする。
それは「逃避」じゃなくて、
身体に備わった、自分を守る機能にゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことにゃ。
「懐かしい」って感じるとき、
そこにはたいてい、
誰かの温もりがあるにゃ。
ひとりで見た景色だとしても、
それを「いい思い出」にしてるのは、
そのころの自分を取り巻いていた
何かしらの安心感だったりするにゃ。
研究が教えてくれたのは、
その温もりが身体を通じて今の自分に届く
ということにゃ。
過去は過ぎ去ったものだけど、
そこで感じた温かさは、
*記憶の中にちゃんとストックされていて、
必要なときに身体を温めてくれる*。
もちろん、すべての過去が温かいわけじゃないにゃ。
つらい記憶のほうが多い人もいるにゃ。
でも、ほんの小さな温かい記憶がひとつでもあるなら、
それは今の自分にとっての
毛布みたいなものなのかもしれないにゃ。
…研究で見えることには限界があるにゃ。
でも、あなたの中にある温かさは、
あなたにとってはリアルにゃ。
寒い日に懐かしくなるのは、
身体が自分を温めようとしていたから。
懐かしい記憶で体感温度が上がるのは、
脳が「心の温もり」と「身体の温度」を
同じように扱っているから。
氷水にも長く耐えられたのは、
思い出の温かさが
本当に身体に届いていたから。
**だから、寒い夜に
ふと誰かのことを思い出したら、
それは身体が「あったまりたい」って
言ってるサインなのかもしれないにゃ。**
…その記憶のぬくもりを、
どうか大切にしてほしいにゃ。
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