
…11,196組のカップルで、満足をいちばん言い当てたのは、あなたの目に映る「ふたり」だったにゃ。
こんなこと、ないにゃ?
性格が似ている人とは、うまくいく。
ちがいすぎると、いつかぶつかる。
なんとなく、そう聞かされてきたにゃ。
でも、いっしょにいて落ちつくのも、
ほんとうのことにゃ。
どっちを信じたらいいのかにゃ。
カナダのウェスタン大学の心理学者ジョエルさんたち(2020年)は、ひとつの研究室ではとても集められない量のデータを、86人の研究者で持ち寄ったにゃ。
集まったのは、カナダ・アメリカ・イスラエル・オランダ・スイス・ニュージーランドの29の研究室が、それぞれ時間をかけてカップルを追いかけた43の調査。合わせて11,196組にゃ。
どの調査でも、ふたりはそれぞれ、自分の性格や気分のこと、相手のこと、ふたりの関係のことを、たくさん答えていたにゃ。
研究者たちは、その答えを全部まとめてコンピューターに学ばせる方法(機械学習)で、「いまの関係にどのくらい満足しているか」をいちばんよく言い当てるものを探したにゃ。
いまの満足度を、いちばんよく言い当てたのはどれだと思う?
関係のようすの中で、たくさんの調査をまたいで上のほうに出てきたのは、こんなものだったにゃ。
この人は、この関係から降りないと思える。これが、いちばん強く満足と結びついていたにゃ。
してもらったことに、ちゃんと「ありがとう」と思えている。されるほうより、自分が思えるかどうかの話にゃ。
体のふれあいに満足しているか。相手も満足していそうだと思えるか。ぶつかり合いが多すぎないか。
どれも「相手は本気でいてくれると思う」のように、あなた自身の感じ方にゃ。
同じことを相手に聞いた答えを足しても、言い当てる力はほとんど上がらなかったにゃ。あなたの満足を知りたければ、相手の通知表より、あなたの実感を見るほうが早かったにゃ。
自分自身のことで効いていたのは、人生への満足や、落ちこみやすさ、人との距離のとり方(近づきすぎるのがこわい・離れられるのがこわい)だったにゃ。性格の質問も入っていたけれど、上のほうには来なかったにゃ。
もうひとつ、ふしぎな結果があったにゃ。関係のようすがわかってしまうと、自分の性格や気分も、相手の答えも、それ以上は何も足さなかったにゃ。
研究者たちの読み方はこうにゃ。相手のやさしさも、自分の落ちこみも、まず「本気でいてくれる」「ありがたい」という実感を、強くしたり弱くしたりする。満足に届くのは、その実感を通ってから、という見方にゃ。
研究者のひとりは、「ふたりでいるときの自分がわかれば、自分がどんな人かは、あまり問題にならない」と言っているにゃ。
だからといって、相手はだれでもいい、ではないにゃ。本気を見せてくれるか、ぶつかったときにどうするか。その実感をつくっているのは、やっぱり相手のふるまいでもある、と研究者たちは付け加えているにゃ。
この研究には、大事な続きがあるにゃ。調査のあいだに満足が上がっていくか、下がっていくか。それは、どの答えを組み合わせても、ほとんど言い当てられなかったにゃ。
それに、満足と実感は同じときに聞いているにゃ。満足しているから「本気でいてくれる」と見えるのか、その逆なのかは、ここからは決められないにゃ。
では、「性格が似ているか」はどうかにゃ。2010年に、オーストラリア・イギリス・ドイツの、国を代表するような大きな夫婦の調査を使って確かめた研究があるにゃ。
「似ていること」は、自分と相手の性格の分を差し引いたあとの数字にゃ。3つの国で、どれも同じ結果だったにゃ。
性格が似ているかどうかは、満足とほとんど関係がなかったにゃ。ちがうところがあるのは、うまくいかない印ではなさそうにゃ。
研究の43の調査は、カナダやアメリカなど6つの国のものにゃ。日本のカップルは入っていないにゃ。
いまの日本では、性格のタイプ診断がちょっとした話のたねになっているにゃ。4文字のタイプを自己紹介に書いたり、タイプどうしの相性表を見せ合ったり。
この研究の質問に、4文字のタイプ診断は入っていなかったにゃ。性格が似ているかを調べた夫婦の調査でも、満足とはほとんど関係がなかったにゃ。相性表が見ているのは、紙の上の組み合わせ。あなたが毎日感じている「この人は本気でいてくれる」は、表のどこにも書いていないにゃ。
別れの理由として、「性格の不一致」という言葉はよく使われるにゃ。でもこの研究で、相手の性格そのものが言い当てた分は5%ほどだったにゃ。不一致と呼ばれているものの中身は、性格というより、本気が見えなくなったこと、ありがとうと思えなくなったこと、ぶつかってばかりになったこと、なのかもしれないにゃ。名前が変わると、手のつけ方も変わる気がするにゃ。
自分のことで効いていたのは、人生への満足や落ちこみだったにゃ。仕事が立てこむ時期や、眠れない日が続くとき、相手のことまで急に色あせて見えることがあるかもしれないにゃ。「相性が悪かった」と決めるのは、少し休んでからでもいいのかもしれないにゃ。
いまの関係で、あなたがいちばん気になっているのはどれ?

「このままで、大丈夫なのかな」。
はじめの場面のこのひと言は、
よく見ると、いまの話じゃなくて
この先の話にゃ。
ねこたちが何度も読み返したのは、
結果のいちばん目立たない一行だったにゃ。
86人の研究者が、
11,196組の答えを全部
コンピューターに読ませても、
満足がこの先上がるか下がるかは、
ほとんど当てられなかったにゃ。
それだけのデータで当たらないものを、
タイプどうしの相性表が
先に知っているとは、考えにくいにゃ。
よく当たったのは、いまの満足のほう。
それも、相手の性格でも組み合わせでもなく、
あなたが感じている
「本気でいてくれる」だったにゃ。
その実感が満足を生むのか、
満足しているからそう見えるのかは、
まだわからない。
ねこたちに言えるのは、そこまでにゃ。
相性表を、もう一度ひらいてみるにゃ。
相性表には、
「落ちつく」を書く欄が
ないにゃ。
タイプとタイプの組み合わせは、
会う前から表で引ける。
「いっしょにいると落ちつく」は、
いっしょにいた人にしか
書けない答えにゃ。
11,196組で満足をいちばん言い当てたのも、
ふたりで過ごしたあとに
自分で書く、そっちの答えだったにゃ。
表の「最悪」と、
きのうの「落ちつく」。
あなたが書いたのは、
どっちのほうかにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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