
…友達がいなくなったんじゃなくて、「間に立つ役」がスマホに移ったにゃ。
こんな会話、ないにゃ?
「いい人いない?」は、
昔から出会いの入口だったにゃ。
友達が、友達の友達を連れてくる。
そうやって始まったふたりが、
たくさんいたにゃ。
その入口は、いま
どこに行ったのかにゃ。
スタンフォード大学の社会学者ローゼンフェルドさんたち(2019年)は、2009年と2017年に、アメリカ全国の大人に同じお願いをしたにゃ。
「あなたとパートナーが、どこで、どうやって出会ったのか。そのいきさつを書いてください」
異性のパートナーがいる人(2017年の調査では、いまはひとりの人にも、いちばん最近の相手のこと)が書いた5,400あまりの話を、友達・家族・職場・学校・お店・オンラインなどに分けて、出会った年ごとに並べたにゃ。
友達がネットで引き合わせたなら、「友達」と「オンライン」の両方に数える。そういう分け方にゃ。
1995年に出会ったカップルで、いちばん多かったのは「友達を通じて」の33%。では、2017年に出会ったカップルのうち、オンラインで出会ったのはどのくらいだったと思う?
小中高の学校(10%→5%)、近所(8%→3%)、教会(7%→4%)も減っていたにゃ。ひとつの出会いが2つに数えられることもあるので、足しても100%にはならないにゃ。
友達、同僚、家族、近所の人。減った道には共通点があるにゃ。どれも、ふたりのあいだに知っている人がいる出会い方にゃ。
友達を通じた出会いは、戦争が終わったころから60年以上、いちばん多い出会い方だったにゃ。それが1995年ごろから減りはじめて、2009年のあとに大きく落ちたにゃ。
バーやレストランで出会ったカップルは、
19%から27%に増えていた。
でも、増えた分はぜんぶ
「ネットで知り合って、
はじめて会ったのがお店」
のふたりだった
ネットで知り合ったふたりを除くと、お店での出会いは1995年から減っていたにゃ。
「はじめて会ったのは、駅前のカフェ」。そう話すふたりの入口も、たどってみるとスマホの中だった、ということにゃ。
ネットの出会いにも、友達が関わることはあるにゃ。友達がSNSでつないでくれた、友達がプロフィールを作ってくれた、というように。
研究者たちは、オンラインで出会ったカップルだけを取り出して、ふたりのあいだにだれかがいたかを調べたにゃ。
オンラインで出会ったカップルのうち、友達などが間を取りもっていたのは、2017年の調査でどのくらいだったと思う?
ネットは、友達の輪を広げる道具にもなれたはずにゃ。でも実際には、知らない人どうしが直接出会う道として使われていたにゃ。
論文の題は「あなたの友達を中抜きする」。間に立つ人を通さずにつながることを、こう呼んだにゃ。
じつは、反対の結果を予想する見方もあったにゃ。電話が広まったとき、かける先はほとんどが知り合いだった。新しい道具は、もとからあるつながりを強めることが多い。だからネットも、友達が友達を紹介しやすくなるだけかもしれない、という見方にゃ。
研究者たちは、そうならなかった理由として、こんな説を挙げているにゃ。
お母さんや友達が知っている独身の人は、ほんの何人か。その話も、少し前のものかもしれないにゃ。アプリは、いま相手を探している人の情報を、たくさん、新しいまま持っているにゃ。相手が見つけにくい人ほど、この差は大きい。同性のカップルでは、2017年に出会った人の約65%がオンラインだったにゃ。
友達に頼むと、どんな人が好みか、だれと会ったかが、友達の輪に伝わるにゃ。知らない人とネットで出会うほうが、そっとしておけるにゃ。
失礼なメッセージが来たら、アプリの中でブロックできる。知らない人と会うのが不安な人には、大きな安心にゃ。ただ、会ってしまえばその安心はほとんど消える、と研究者たちは書いているにゃ。
その流れを押したのが、スマホにゃ。2010年から2017年のオンラインの伸びのうち、少なくとも半分はスマホのアプリで出会ったふたりだったにゃ。
どの説も、ひとつずつ確かめられたわけではないにゃ。でも「いい人いない?」と頼む手間と気まずさを思うと、うなずける話にゃ。
同じ調査では、2009年に話を聞いたカップルを、その後何年も追いかけてもいたにゃ。
2017年に発表された研究では、オンラインで出会ったカップルも、ほかの出会い方のカップルと別れやすさは変わらなかったにゃ。
オンラインで出会った異性のカップルは、
結婚に進むのが速かった
(とくに出会い系サイトで出会ったふたり)
「選べる相手が多すぎると、関係が長続きしない」という心配は、少なくともこのデータには当てはまらなかったにゃ。研究者自身は、ネットが関係を良くした、とまでは言っていないにゃ。
どれもアメリカの調査で、2017年までの話にゃ。そのあとのアプリの変わり方までは、まだ数えられていないにゃ。
研究のデータは、2017年のアメリカまでにゃ。
日本でも、親の世代の話には、お見合いや職場の上司の紹介がよく出てくるにゃ。いま「いい人いない?」と聞かれた友達は、心当たりを探すより、アプリの画面をいっしょにのぞくことのほうが多いかもしれないにゃ。
合コンを開いてくれた友達も、仕事や子育てで忙しくなる。30代になると、まわりの独身の人を思い浮かべるのも難しくなるにゃ。紹介には、うまくいかなかったときに気まずくなる重さもあるにゃ。友達が紹介しなくなったのは、冷たくなったからではなくて、頼まれる側の荷が重くなったからかもしれないにゃ。
紹介には、「この人なら大丈夫」という友達の保証がついていたにゃ。いま、自治体が用意する婚活アプリには、本人確認の書類や独身証明書を出して登録するものもあるにゃ。ただ、書類が教えてくれるのは、独身かどうかまで。やさしい人かどうかは、会って確かめるしかないにゃ。
プロフィールの写真を選んでもらう。メッセージの画面を見せて「この人どう思う?」と聞く。はじめて会う日に「何かあったら連絡するね」と知らせておく。研究の話のなかにも、友達がプロフィールを作ってくれた、というふたりがいたにゃ。調査はそこまで数えていないけれど、友達は入口から一歩下がって、相談役ともしものときの連絡先に、席を移したのかもしれないにゃ。
もし友達に「誰かいい人いない?」と聞かれたら、いまのあなたはどれに近い?

友達に「いい人いない?」と
頼めなかったこと。
頼まれて、だれも
思い浮かばなかったこと。
どちらも、付き合いの浅さの
しるしのように感じやすいにゃ。
研究者たちが挙げた説を
ならべ直してみると、
どれも、探す人の側から見た
アプリの良さだったにゃ。
たくさんの中から選べる。
好みを、だれにも知られずにすむ。
会う前なら、そっと離れられる。
友達が手を引いたというより、
探す人のほうが、
だれにも言わずに探せる道を
見つけた、とも読めるにゃ。
それも、アメリカじゅうで、
ほぼ同じころに。
ただ、3つとも研究者たちの説で、
数えて確かめた話ではないにゃ。
説のならび方を見ていて、
ねこたちが気づいたことにゃ。
友達の紹介には、
おまけがついていたにゃ。
「いい人いない?」は、
「いま、探してる」の
打ち明け話でもあったにゃ。
アプリは、そのふたつを
切りはなしたにゃ。
探すのは、だれにも言わずにできる。
打ち明けるかどうかは、
ひとりずつの選びごとになった。
探していることを、
だれには知っていてほしいにゃ?
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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