🔬 猫の国 研究所
感情的浮気と肉体的浮気、
どちらが許せない?は
性別で割れる?
…この問い、進化心理学が
かなり真剣に調べていたにゃ。
この「なんで?」に、
研究所のねこたちが
真正面から取り組んでみたにゃ。
だって、この問いには
30年以上の研究の蓄積が
あったからにゃ。
1992年、テキサス大学のバスたちが、嫉妬研究の歴史を変える実験をしたにゃ。
被験者に、こんな究極の二択を迫ったにゃ。
パートナーが他の人と
深い感情的な絆を築くことと、
性的な関係を持つこと、
どちらがよりつらいですか?
あえて「どちらか一つだけ選べ」というフォーマットにしたのが、この研究のポイントにゃ。
心理学では強制選択法(forced-choice)と呼ばれる手法にゃ。
さらにバスたちは、被験者の心拍数や皮膚電位反応(汗の量)まで測定したにゃ。
自己申告だけじゃなく、体の反応まで調べたにゃ。
バスたちの実験結果は、きれいに性別で分かれたにゃ。
性的な浮気のほうがつらいと答えた男性が多数派だったにゃ。
身体的な反応でも、性的浮気のシナリオで心拍数の上昇と発汗量の増加がより大きかったにゃ。
性的浮気がよりつらい
感情的な浮気のほうがつらいと答えた女性が多数派だったにゃ。
「他の人を愛している」というシナリオに、より強い苦痛を感じたにゃ。
感情的浮気がよりつらい
もちろん、男性の40%は感情的浮気を選び、女性の17%は性的浮気を選んでいるにゃ。
全員がこのパターンに当てはまるわけじゃないにゃ。
でも、傾向としてははっきりしていたにゃ。
バスたちは、この性差を進化心理学で説明しようとしたにゃ。
進化的に、男性が直面してきた最大のリスクは「父性の不確実性」にゃ。
自分の子どもだと思って育てていた子が、実は他の男性の子どもだった——このリスクは、パートナーの性的浮気でのみ発生するにゃ。
→ 性的浮気に対して、より強い嫉妬反応が進化した、という仮説にゃ。
進化的に、女性が直面してきた最大のリスクは「資源とコミットメントの喪失」にゃ。
パートナーが他の女性に感情的に移ってしまうと、自分と子どもへの保護・資源提供が失われるにゃ。
→ 感情的浮気に対して、より強い嫉妬反応が進化した、という仮説にゃ。
この説明は非常に影響力があったにゃ。
でも、すべての研究者が納得したわけじゃなかったにゃ。
4年後、デステノとサロヴェイが反論を出したにゃ。
彼らの指摘は、シンプルだけど鋭いものだったにゃ。
男性は「感情的浮気」と聞くと、
そこには性的関係もあると推測する。
女性は「性的浮気」と聞くと、
そこには感情的な絆もあると推測する。
つまり、同じ質問を聞いても、頭の中で想像しているシナリオが違う可能性があるにゃ。
男性が性的浮気を選ぶのは、「性的浮気 = 感情的浮気も含む」と解釈しているからかもしれないにゃ。
女性が感情的浮気を選ぶのは、「感情的浮気 = 性的浮気も含む」と解釈しているからかもしれないにゃ。
これを「二重の意味(double entendre)」仮説と呼ぶにゃ。
進化が理由なのか、
認知の解釈が理由なのか——
この論争は、ここから20年以上続くことになるにゃ。
2012年、サガリンたちが45の研究を統合したメタ分析を発表したにゃ。
20年分の論争に、データで決着をつけようとしたにゃ。
・性差は確かに存在する。バスの発見は再現されたにゃ。
・ただし、効果の大きさは測定方法によって大きく変わるにゃ。
・強制選択法(どちらか一つ選べ)では性差が大きく出るにゃ。
・連続尺度(それぞれどのくらいつらいか)では性差が小さくなるにゃ。
統合された研究の数
これは重要な発見にゃ。
「どちらか選べ」と聞くと差が大きく見えるけど、「それぞれどのくらいつらい?」と聞くと、男女ともに両方つらいと答えるにゃ。
性差は存在する。
でもそれは
*「男は体、女は心」という
単純な話ではない*
2017年、エドランドとサガリンは25年分の研究を振り返り、性差を調整する要因を整理したにゃ。
性差の大きさは文化圏によって異なるにゃ。
性別役割が伝統的な文化では差が大きく、平等主義的な文化では差が小さくなる傾向があったにゃ。
実際に浮気をされた経験がある人は、性差パターンが弱まることがあったにゃ。
理論上の想像と、実体験では、反応が変わるのは自然なことにゃ。
不安型の愛着スタイルを持つ人は、性別に関係なく感情的浮気により強く反応する傾向があったにゃ。
「見捨てられる不安」が強い人にとって、感情的な裏切りは最大の脅威にゃ。
進化だけじゃなく、育った環境、恋愛経験、個人の性格——
すべてが絡み合って反応を形作っているにゃ。
ここで忘れちゃいけないことがあるにゃ。
「どちらがよりつらいか」は
研究上の問いにゃ。
でも現実の世界では、
どちらも深く傷つく
研究の「強制選択」は、あくまで傾向を測るための方法論にゃ。
実際にどちらかの浮気に直面した人が「こっちはマシだから大丈夫」なんて思えるわけがないにゃ。
メタ分析が示したように、連続尺度で聞けば、男女ともに両方つらいと答えるにゃ。
「体の浮気のほうがつらい」と答えた人も、感情的浮気が平気なわけじゃないにゃ。
「心の浮気のほうがつらい」と答えた人も、性的浮気を許せるわけじゃないにゃ。
浮気のタイプで「つらさの格付け」をするための研究じゃないにゃ。
人間の嫉妬という感情の仕組みを、少しでも理解するための研究にゃ。
ここでちょっとだけ、
考えてみてほしいにゃ。
もし「どちらがよりつらい?」と
聞かれたら、
あなたはどう答えるにゃ?
その答えは、
進化の名残にゃ?
育った環境にゃ?
過去の恋愛経験にゃ?
…たぶん、全部混ざってるにゃ。
パートナーと答えが違ったとしても、
それは「愛し方が違う」
ということかもしれないにゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。
「感情的浮気 vs 肉体的浮気」という問いは、
30年以上にわたって
研究者たちを惹きつけてきたにゃ。
でもにゃ。
この研究が本当に教えてくれるのは、
「どちらがひどい浮気か」じゃなくて、
「人によって、何に最も脅かされるかが違う」
ということだと思うにゃ。
「体の裏切り」に恐怖を感じる人もいれば、
「心の裏切り」に恐怖を感じる人もいる。
どちらが正しいとか、
どちらが深い愛だとか、
そういう話じゃないにゃ。
何を失うのが怖いかが、人によって違うだけにゃ。
もちろん、これはひとつの角度から見た話にゃ。
あなたの感じ方は、あなただけのものにゃ。
嫉妬って、苦しいにゃ。
でもそれは、大切なものがある証拠にゃ。
「何が一番怖いか」が違っても、
「失いたくない」という気持ちは同じにゃ。
進化も、文化も、経験も、
全部が混ざり合って、
今のあなたの「怖い」を作っているにゃ。
その「怖い」を否定しなくていいにゃ。
**それは、あなたが誰かを
大事に思っている証**にゃ。
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猫の国は、優しい人のための場所にゃ。