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🔬 猫の国 研究所

「なぜ浮気するのか」は、
性格じゃなくて
状況だった?

…「あの人が悪い」で
終わらせられない研究があるにゃ。

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AM 3:12
なんで…?
あんなに普通だったのに
何がいけなかったの
…私のせい?
わからない

裏切られたとき、
人は「なぜ?」を探すにゃ。

でもその答えは、
思ってるよりずっと複雑だったにゃ。

研究所のねこたちが、
このテーマについて
真剣に調べてみたにゃ。

🧪 Blow & Hartnett (2005)

まず、数字を見てみるにゃ

ブロウとハートネットは、不貞に関する研究を包括的にレビューしたにゃ。その中で報告されている数字にゃ。

📊 既婚者における不貞経験の割合

男性:約20〜25%
女性:約10〜15%
が、結婚期間中に性的な不貞を経験したと報告しているにゃ。

しかも、この数字は年々男女差が縮まってきているにゃ。

20-25%

既婚男性の報告割合

つまり、これは一部の「悪い人」だけの話じゃないにゃ。
かなりの数の普通の人が、この経験をしているにゃ。

だからこそ、「あの人が悪かった」で終わらせるだけじゃなくて、なぜ起きるのかを知ることに意味があるにゃ。

🧪 Finkel & Slotter (2013)

「悪い人がやること」
じゃなかった

フィンケルとスロッターは、自己制御(セルフコントロール)の観点から不貞を分析したにゃ。

彼らの研究で注目されたのは「自我消耗(ego depletion)」という現象にゃ。

人の自制心は
無限のリソースじゃない
使えば減る。

💡 自我消耗とは

ストレス、疲労、睡眠不足、アルコール——
こうした要因で自己制御の「バッテリー」が減ると、
誘惑に対するブレーキが弱くなるにゃ。

これは「性格が悪い」のではなく、
認知リソースが枯渇した状態にゃ。

つまり、普段はしっかりした判断ができる人でも、
極度のストレスや疲労の中では
別の選択をしてしまう可能性があるにゃ。

もちろん、だから仕方ないということではないにゃ。
メカニズムを知ることと、行動を正当化することは違うにゃ。

🧪 Allen & Baucom (2004)

「理由」はひとつじゃなかった

アレンとバウコムの研究では、不貞に至る動機はひとつじゃなく、複数の経路があることが示されたにゃ。

経路①

関係への不満

パートナーとの関係に不満がある場合。ただし、これは理由のひとつにすぎないにゃ。

経路②

新奇性の追求

新しい刺激や興奮を求める気持ち。関係に不満がなくても起きうるにゃ。

経路③

自己価値の確認

「自分はまだ魅力的だろうか」という不安から、他者の関心で自分を確かめようとするにゃ。

経路④

機会+低い自己制御

たまたま状況が揃い、かつ自制心が弱っているとき。フィンケルの自我消耗と重なるにゃ。

経路⑤

怒り・復讐

パートナーへの怒りや、「やり返したい」という衝動から。

重要なのは、「関係が不幸だから浮気する」は、数ある理由のひとつでしかないということにゃ。
幸せなカップルにも起きうるにゃ。

🧪 Perel (2017)

「別の相手」じゃなくて、
「別の自分」を
探していた

セラピストのエスター・ペレルは、数千組のカップルとの臨床経験をもとに、ある洞察にたどり着いたにゃ。

浮気をする人の多くは、
パートナーから逃げているのではない。
*自分が誰であるかの
別のバージョン*を探している。

ペレルによれば、不貞は必ずしも「関係からの逃避」ではなかったにゃ。

💡 ペレルが見つけたこと

・浮気した人の中には、パートナーを愛している人もいた
・彼らが求めていたのは「別の相手」ではなく、「別の自分」
・日常の中で失われた活力、冒険心、自由な自分を取り戻そうとしていた
・それはアイデンティティの探索であり、関係の否定ではなかった

これは浮気を美化しているわけではないにゃ。

ただ、「あの人は私を愛していなかったんだ」と結論づける前に、もう少し複雑な真実があるかもしれないということにゃ。

💡 自我消耗のメカニズム

ブレーキが壊れるとき

フィンケルたちの研究をもう少し詳しく見てみるにゃ。
なぜ普段はしない選択をしてしまうのか

通常の状態

🟢 ブレーキが効いているとき

誘惑を感じる → 「でもパートナーがいる」「これは間違っている」
→ 自制心が誘惑を抑制する

ほとんどの人は、日常的にこのブレーキを使っているにゃ。

消耗した状態

🔴 ブレーキが弱っているとき

長期的なストレス、燃え尽き、孤独感、アルコール——
こうした要因が重なると、自己制御のリソースが底をつくにゃ。

誘惑を感じる → ブレーキが十分に機能しない

これは「意志が弱い」という話ではないにゃ。
人間の自制心には限界があるという、認知科学の知見にゃ。

だからこそ、自分のストレスや疲労を放置すること自体が、関係にとってリスクになるということでもあるにゃ。

⚠️ ここで大事なことにゃ

これは「仕方ない」
という話では**ない**

ここまで読んで、
ひとつ誤解してほしくないことがあるにゃ。

メカニズムを理解することと、
行動を正当化することは、
まったく別の話にゃ。

「自我消耗で自制心が下がる」は事実にゃ。
「複数の経路がある」も事実にゃ。
「別の自分を探していた」という心理もあり得るにゃ。

でも、それは「だから仕方ない」とはならないにゃ。

🔑 理解と正当化の違い

理解:「なぜ起きたのか」のメカニズムを知ること
→ 予防や回復に役立つにゃ

正当化:「だから悪くない」と結論づけること
→ これは研究が言っていることではないにゃ

自分のストレス管理は自分の責任にゃ。
誘惑に近づかない選択も自分の責任にゃ。

メカニズムを知ることは、**言い訳を作ることではなく、
予防策を考えるためのもの**にゃ。

💡 裏切られた側の痛み

どんな理由があっても、
傷は本物にゃ

ここまで「なぜ起きるのか」を見てきたにゃ。
でも、もうひとつ絶対に忘れちゃいけないことがあるにゃ。

裏切られた側の痛みは、
相手の動機が何であれ、
本物にゃ。

「自我消耗のせいだった」と言われても、傷は癒えないにゃ。
「別の自分を探していた」と言われても、裏切りの事実は変わらないにゃ。

信じていた人に裏切られる経験は、
自分の現実認識そのものが揺らぐ体験にゃ。
「あの幸せな時間は嘘だったのか」
「自分が見ていた関係は幻だったのか」

その混乱と苦しみは、理由によって軽くなったりしないにゃ。

この記事は、裏切られた人に
「理解しなさい」「許しなさい」と言うためのものではないにゃ。

**怒っていい。悲しんでいい。
許さなくてもいい。**

それは、あなたが決めることにゃ。

ここでちょっとだけ、
考えてみてほしいにゃ。

「浮気する人=悪い人」
という考え方は、
シンプルでわかりやすいにゃ。

でも、
「なぜ起きるのか」を知ることで、
何か見え方が変わったものは
あるにゃ?

正解はないにゃ。
「やっぱり許せない」も、
「少しだけ理解できた」も、
どちらもあなたの本当の気持ちにゃ。

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。

「なぜ浮気するのか」に対して、
世の中には「あの人が悪い」という答えが用意されているにゃ。
シンプルで、わかりやすくて、気持ちの整理がつきやすいにゃ。

でも研究が見せてくれたのは、
もう少し複雑な景色だったにゃ。

自制心には限界があること。
動機はひとつじゃないこと。
幸せな関係の中でも起きうること。

それを知ったからといって、
痛みが消えるわけじゃないにゃ。
許す必要もないにゃ。

でも、「なぜ?」がわからない苦しみは、
少しだけ形が見えるようになるかもしれないにゃ。

もちろん、これはひとつの角度から見た話にゃ。
あなたの経験や気持ちが、
何よりも大事にゃ。

🐱

人は、わかりやすい「悪者」を求めるにゃ。
そのほうが楽だからにゃ。

でも現実は、いつも少しだけ複雑にゃ。

理解することは、許すことじゃないにゃ。
知ることは、受け入れることじゃないにゃ。

ただ、**知った上で自分がどうするかを
選べるようになること**——
それが、研究を読む意味なのかもしれないにゃ。

…にゃんたる、
伝えてよかったにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🎓 学び舎

「伝えるためのひみつノート」で
コミュニケーションを実践する

📚 図書館

心に寄り添う物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

Finkel, E. J., & Slotter, E. B. (2013). An Interdependence Analysis of Close Relationships. In J. A. Simpson & L. Campbell (Eds.), The Oxford Handbook of Close Relationships. Oxford University Press.
Blow, A. J., & Hartnett, K. (2005). Infidelity in Committed Relationships II: A Substantive Review. Journal of Marital and Family Therapy, 31(2), 217-233.
Allen, E. S., & Baucom, D. H. (2004). Adult Attachment and Patterns of Extradyadic Involvement. Family Process, 43(4), 467-488.
Perel, E. (2017). The State of Affairs: Rethinking Infidelity. Harper.
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com