🔬 猫の国 研究所
優しい人ほど
共感疲労を起こす理由を、
*神経科学が
解明していた*
…「思いやりがある」と「つぶれる」は、
なぜセットになるのかにゃ?
友達の愚痴を聞いたあと、
なぜかこっちがぐったりする。
ニュースで辛い事件を見ると、
胸が痛くて画面を閉じる。
職場で誰かが怒られていると、
自分が怒られたみたいに体がこわばる。
…心当たりがある人、
けっこういると思うにゃ。
周りからは「優しいね」と言われるにゃ。
でも本人は、ただ疲れてるにゃ。
この「優しさ」と「疲弊」のセット。
ドイツの研究者が、脳の中で何が起きてるか
突き止めたにゃ。
まず前提の話にゃ。人の脳にはミラーニューロンという神経細胞があるにゃ。
これは、誰かの行動や感情を見たとき、まるで自分が同じ体験をしているかのように脳が反応する仕組みにゃ。
共感力の高い人は、他人が苦しんでいるのを見ると、自分の脳の中でも痛みの領域が活性化するにゃ。
これは「情動伝染」と呼ばれていて、意識してやっているんじゃなくて、神経レベルで自動的に起きているにゃ。
「あの人の気持ちがわかる」というのは、比喩じゃないにゃ。
脳が文字通り相手の苦しみをコピーしてるにゃ。
人の辛さを聞くと、
自分の体にも反応が出る。
…それは「性格」じゃなくて、
脳の仕組みだとしたら?
2013年〜2014年にかけて、ドイツのマックス・プランク研究所のKlimecki博士とSinger博士が、ちょっと変わった縦断研究をしたにゃ。
被験者にまず「共感トレーニング」を数日間受けてもらったにゃ。他者の苦しみに共鳴する力を高める訓練にゃ。
そのあとfMRIで脳を撮影したにゃ。
共感トレーニング後、被験者のネガティブ感情が増加したにゃ。
これは「他者の痛みを自分の痛みとして感じる」ときに
反応する脳領域にゃ。
つまり、共感力を高めたら、余計につらくなったにゃ。
「もっと相手のことをわかろう」としたら、
脳はもっと苦しんだにゃ。
ここからが面白いにゃ。
Klimecki博士たちは、共感トレーニングで辛くなった被験者に、今度は「思いやり(コンパッション)トレーニング」を受けてもらったにゃ。
これは「相手の苦しみを一緒に感じる」のではなく、「相手が楽になることを願う」という練習にゃ。
思いやりトレーニング後、
ネガティブ感情が減少し、ポジティブ感情が増加したにゃ。
これは報酬系・ポジティブ感情に関わる脳領域にゃ。
共感トレーニングで活性化した領域とはまったく別にゃ。
同じ「他者の苦しみに対する反応」なのに、
**共感は脳を痛みの方向に動かし、
思いやりは脳を温かさの方向に動かした**にゃ。
ここで立ち止まってみてほしいにゃ。
あなたが誰かの辛さに触れたとき、
脳の中で起きているのは
「共感」と「思いやり」の
どちらが多いにゃ?
…一緒に沈むのか、
相手が浮かぶことを願うのか。
この2つが脳の中では
まったく違うシステムだった、
というのが次の話にゃ。
Singer博士とKlimecki博士は、2012年の論文で重要な指摘をしたにゃ。
看護師やカウンセラーの燃え尽きは、ずっと「compassion fatigue(共感疲労)」と呼ばれてきたにゃ。
でも彼女たちの研究データは、それが間違いだと示していたにゃ。
疲弊を引き起こすのは「思いやり(compassion)」ではなく、「共感的苦痛(empathic distress)」にゃ。
相手の痛みを自分の痛みとして感じること。
これが蓄積して燃え尽きるにゃ。
むしろ思いやり(compassion)は、
共感的苦痛を乗り越えるための対処法だったにゃ。
正しい名前は「compassion fatigue」ではなく、
「empathic distress fatigue(共感的苦痛疲労)」
だと彼女たちは主張したにゃ。
前島皮質・前帯状皮質が活性化
→ 他者の痛みを「自分の痛み」として体験
→ ネガティブ感情が増加
→ 蓄積すると燃え尽きる
腹側線条体・内側眼窩前頭皮質が活性化
→ 他者の苦しみに対し「温かい関心」を持つ
→ ポジティブ感情が増加
→ 燃え尽きない
同じ「相手のことを思う」でも、
脳の中ではまったく別の回路が動いているにゃ。
回路Aだけが動き続けると、壊れる。
回路Bが加わると、持続できるにゃ。
ここまでの研究をつなげると、「優しい人ほどつぶれる」メカニズムが見えてくるにゃ。
共感力が高い人は、ミラーニューロンの反応が強いにゃ。他者の感情を自動的に自分の脳にコピーするにゃ。
しかも多くの場合、回路A(共感的苦痛)だけが動いて、回路B(思いやり)が十分に育っていないにゃ。
他人の苦しみが流れ込む → 自分も苦しくなる → でも「優しいから」離れられない → さらに苦しみが蓄積する → 燃え尽きる
これが「共感的苦痛疲労」のループにゃ。
「優しい人」がつぶれるのは、優しさが足りないからじゃないにゃ。
むしろ共感回路が強すぎるのに、思いやり回路というバッファーがないからにゃ。
ここでもうひとつ
考えてみてほしいことがあるにゃ。
「相手の気持ちがわかる」とき、
あなたは相手の痛みに沈んでいるにゃ?
それとも、相手が楽になることを願っているにゃ?
…この2つは、
似ているようで脳の中では
まるで違う動きをしているにゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。
「共感疲労」で燃え尽きる人は、
弱い人じゃないにゃ。
むしろ脳が強く反応しすぎるほど、
他者の痛みを受け取れてしまう人にゃ。
そしてその人たちは、
「もっと頑張らなきゃ」
「もっと寄り添わなきゃ」と思って
回路Aをさらに強化してしまうにゃ。
でも研究が示していたのは、
必要なのは「もっと共感する」ことじゃなくて、
「共感の仕方を切り替える」ことだったにゃ。
**一緒に沈むのではなく、
相手が浮かぶことを願う。**
それだけで、脳の中では
まったく違うことが起きるにゃ。
もちろん、これはひとつの研究の話にゃ。あなたの優しさの形は、あなたが決めていいにゃ。
共感で疲れるのは優しさの証にゃ。
でも、優しさの形はひとつじゃないにゃ。
「一緒に苦しむ」だけが
寄り添いじゃないにゃ。
**「あなたが楽になりますように」と
願うことも、立派な寄り添い**にゃ。
しかもそっちの方が、
脳科学的には長く続けられるにゃ。
…どっちを選ぶかは、
あなた次第にゃ。
**でも選べるということを、
知っておいてほしいにゃ。**
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