
…続いている恋でも、4割近くの人に同じことが起きていたにゃ。
こんな話、したことないにゃ?
好きになった理由が、
いつのまにか、気になる理由になっている。
これって、気持ちが冷めてきた
しるしなのかにゃ。
社会学者のフェルムリーさん(2001年)は、アメリカの大学で、恋人がいる学生・いた学生125人に、質問紙に答えてもらったにゃ。
いまの恋人のことを。いなければ、いちばん最近の真剣な恋人のことを。半分ちょっとの人が、いま続いている恋について書いたにゃ。
聞いたのはふたつ。「最初に惹かれたのは、どんなところ?」と、少しあとのページで「いちばん好きになれないところは?」。
そのあと、ふたりの判定役が答えを読み比べて、苦手なところが、惹かれたところの言いかえや裏返しになっていないかを見たにゃ。
その6年前に、別れた恋だけを301人分調べたときは、約3割の別れにこのつながりがあったにゃ。今度は、続いている恋も入れて調べたにゃ。
いま続いている恋では、このつながりはどのくらいあったと思う?
別れた恋のほうが多かったのは、終わったあとは、相手のいいところまで悪く見えやすいからかもしれないにゃ。
でも、続いている恋でも4割近く。いっしょにいながら「好きだったところが、いまはちょっと困る」と感じている人は、たくさんいたにゃ。
つながりが見つかった答えを、似た型ごとに分けたうちの多い順にゃ。このほか「見た目 → 手がかかる」「のんびり → なまけ者」「働き者 → いつも忙しい」などもあったにゃ。
たとえば、やさしくて思いやりのある彼に惹かれた人は、苦手なところにこう書いていたにゃ。「何を感じているのかわからない。私を困らせたくなくて、言わないから」。
やさしさが、そのまま言わなさになっていたにゃ。
惹かれたところを一つずつ見ていくと、のちに苦手になりやすいものと、なりにくいものがあったにゃ。
「すごく」「とても」がつくほど際立ったところ
→ ほどほどのものより、約3倍
自分とはちがうところ
→ 自分と似ているところより、3倍以上
見た目に惹かれたところ
→ 性格にくらべて、ほとんど裏返らなかった
「すごくやさしい」人は、自分の意見をひっこめやすいかもしれない。「とても自信がある」人は、えらそうに見える日もあるかもしれない。ほどほどなら、裏側もほどほど、ということかもしれないにゃ。
「自分にないもの」に惹かれるのは自然なことにゃ。ただ、ちがいは、毎日の小さな食いちがいにもなりやすいにゃ。
おもしろいことに、本人に「苦手なところと惹かれたところは、似ている?」と聞くと、「似ている」と答えたのは3人に1人。「ちがうに決まってる」「変な質問」と答えた人も多かったにゃ。
裏返りは、自分ではなかなか気づきにくいみたいにゃ。
守ってくれるは、しばるにもなる。気にかけてくれるは、見張るにもなる。強いところに惹かれたなら、その強さの裏側もいっしょについてくる、という見方にゃ。
好きなあいだは、気になるところまで良く見えるように心が働く。熱が落ち着くと、同じところがそのまま見えてくる、という見方にゃ。
この研究では、付き合った長さと、裏返りの起きやすさは関係がなかったにゃ。時間がたてば必ず見えてくる、というだけではなさそうにゃ。色めがねがはずれる時期は、人によってちがうのかもしれないにゃ。
2004年に、ハワイの大学の197人の学生に同じ質問紙を使った研究では、つながりが見つかったのは1割ほどだったにゃ。
どちらも、ふたりの判定役が答えを読み比べて数えた割合にゃ。
その研究では「性格」「見た目」のような短い答えが多くて、裏返りかどうか読み取れないものがたくさんあったそうにゃ。フェルムリーさんは、なるべくくわしく書いてもらうようにしていたにゃ。
「何割の恋で起きる」という数は、聞き方しだいで大きく変わる。数より、そういうことがよくあると知るほうが役に立ちそうにゃ。
それに、ここまでの研究は、アメリカの若い未婚の学生に、恋人の片方だけに聞いたものにゃ。結婚してカウンセリングに来た夫婦を調べた別の研究でも、出会ったころに惹かれたところと、いまの悩みのつながりが見つかっているにゃ。
フェルムリーさんは、学生を選んだ理由をこう書いているにゃ。結婚や子育てやお金のことがからまないほうが、相手への気持ちの変化だけを見やすいから。付き合った長さは、平均1年半だったにゃ。
いまこれを読んでいるあなたの暮らしは、その三つのどれかのまっただ中かもしれないにゃ。
デートの待ち合わせなら、少しの遅れは笑い話ですむにゃ。でも、ゴミの日の朝や、出かける前の5分には待ったがないにゃ。同じのんびりが、毎日ためされる場所に引っ越したのかもしれないにゃ。
おごってくれる、プレゼントを惜しまない。恋人のころはうれしかったところも、家計がひとつになると、自分の財布の話になるにゃ。
がんばり屋なところに惹かれた人は多いにゃ。研究にも「働き者 → いつも忙しい」という裏返りがあったにゃ。子どもが小さいころは、その忙しさがいちばんこたえる時期かもしれないにゃ。
調査はそこまで聞いていないけれど、裏返りは「熱が冷めたから」だけでなく、暮らしの場面が変わったから起きることもあるのかもしれないにゃ。
そう思えると、「この人、変わった」と責める前に、「場面のほうが変わったのかも」と考えるすき間ができるにゃ。
最初に好きになったところが、いま少し気になるとき。あなたなら、どうしたい?

好きだったところが、
いまは少し気になる。
それに気づくと、
「冷めてきたのかな」と、
自分の気持ちのほうを
疑いたくなるにゃ。
集まった答えの中に、
結婚して6年半になる夫のものが
あったにゃ。
妻のいちばん苦手なところは、
「ものすごくがんこ」。
そう書いたあとで、
「あのがんこさは、
自分を信じる強さと、
ゆずれない考えから来ている」
と書き足していたにゃ。
この関係はいつまで続くと思うか。
答えは「ずっと」だったにゃ。
この夫は、がんこさから
目をそらしていないにゃ。
いちばん苦手だと、はっきり書いている。
そのうえで、出どころまで見ていた。
たったひとりの答えだけれど、
ねこたちには、裏側まで見えてきたことが、
終わりの合図というより、
長くいっしょにいる人の
見え方に読めたにゃ。
ただ、同じ一覧には
「しばる」も「こわい」もあったにゃ。
そういう裏側は、出どころを
わかってあげる話とは別にゃ。
「好き」と「苦手」は、
質問紙では
別のページに
あったにゃ。
並べて読んだ判定役には
線が見えても、
書いた本人には、
なかなか見えなかったにゃ。
今夜、一枚の紙の左と右に、
そのふたつを書いてみるにゃ。
見た目に惹かれたところは、
ほとんど裏返らなかった。
線が引けるのは、たいてい、
中身に惹かれたところからにゃ。
📋 研究所のほかのレポートにゃ
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。