🔬 猫の国 研究所
「恋は盲目」は
本当に"盲目"だった?
…しかも、盲目な方が
うまくいくという逆説にゃ。
恋人のことを「実際より良く見てる」人。
まわりから見ると危なっかしく見えるにゃ。
現実が見えてない、って心配になるにゃ。
でもにゃ。
心理学者たちが調べたら、
ちょっと意外な結果が出てしまったにゃ。
心理学者マレーとホームズは、1990年代からこの現象を研究してきたにゃ。
彼らはカップルに「自分自身」と「パートナー」をそれぞれ評価してもらったにゃ。優しさ、知性、ユーモア、魅力…さまざまな特性についてにゃ。
パートナーが自分に付けた点数と、
本人が自分に付けた点数を比較したにゃ。
パートナーの評価が本人の自己評価より高い場合、
それをポジティブ・イリュージョン(肯定的幻想)
と定義したにゃ。
つまり、「あなたって頭いいよね」と思っていても、本人は「いや、そこまでじゃない」と思っている場合、そこにイリュージョン(幻想)があるということにゃ。
多くのカップルで、この「良い方向への見積もり」が見つかったにゃ。
問題は、それが関係にとって良いのか悪いのかにゃ。
直感的には、
「現実を正しく見ている方が
うまくいくはず」と思うにゃ。
理想化の強さが関係満足度をどれだけ予測するか調べたにゃ。
結果:パートナーを理想化している度合いは、
パートナーの実際の良さよりも強く
満足度を予測していたにゃ。
「相手が実際にどんな人か」よりも、
「相手をどう見ているか」の方が、
関係の満足度に大きく影響していたにゃ。
幻想が大きいほど、満足度が高い。
バラ色メガネをかけている人の方が、
裸眼の人より幸せだったにゃ。
…これは、いったいどういうことにゃ?
ここまでなら、「まあ、思い込みで幸せになれるなら…」で終わる話にゃ。
でもMurray & Holmes(1997)の縦断研究で、さらに驚くことがわかったにゃ。
パートナーから理想化されていた人は、
時間の経過とともに
自己評価が上がっていったにゃ。
つまり、「あなたは素敵だ」と信じてもらうことで、
本当にその人は素敵になっていったにゃ。
幻想が、現実を変えていた
心理学でいう自己成就予言にゃ。
「この人は優しい人だ」と信じて接すると、
その期待が相手の行動を引き出し、
相手は本当に優しくなっていく。
バラ色メガネは、
ただ世界を歪めていたんじゃなくて、
世界を書き換えていたにゃ。
ポジティブ・イリュージョンは、
パートナーだけに向くものじゃないにゃ。
Rusbultらの2000年の研究では、
関係そのものに対する幻想を調べたにゃ。
カップルに「あなたたちの関係は、
他のカップルと比べてどうですか?」と聞いたにゃ。
結果、ほとんどのカップルが
「自分たちは平均より上」と答えたにゃ。
数学的に、全員が平均以上なんてありえないにゃ。
でも、みんなそう信じていたにゃ。
これを知覚された優越性(perceived superiority)と呼ぶにゃ。
「うちらは特別」と強く信じているカップルほど、
コミットメントが高く、
関係満足度も高かったにゃ。
「うちらは普通だよね」と思っている
カップルより、明確に差があったにゃ。
「特別だと思い込んでいる」のではなく、
「特別だと思えることが、関係を守っている」にゃ。
ここまでは「性格や関係の評価」の話だったにゃ。
でも、もっと基本的なレベルでも同じことが起きているにゃ。
Swamiらの2012年の研究は、外見の魅力の知覚を調べたにゃ。
恋愛関係にある人は、
パートナーの外見的魅力を
客観的な評価者よりも高く評価していたにゃ。
しかも、関係への満足度が高いほど、
この「上乗せ」は大きくなっていたにゃ。
「好きだから可愛く見える」は、
ポエムじゃなくて心理学的な事実だったにゃ。
恋は文字通り、
見え方を変える
同じ顔を見ているのに、
愛情というフィルターが、
知覚そのものを書き換えているにゃ。
バラ色メガネは比喩じゃなかったにゃ。
ここまで読むと、「じゃあどんどん理想化すればいいのか」と思うかもしれないにゃ。
でもこの研究で言う「ポジティブ・イリュージョン」は、現実を無視するのとは違うにゃ。
相手の短所を知った上で、
それでも長所に目を向けること。
「完璧だから好き」ではなく、
「完璧じゃないけど、それでもこの人は素敵だ」
という見方にゃ。
相手の問題行動をなかったことにする。
暴言や支配を「愛情だ」と変換する。
自分が傷ついている事実を否定する。
これはイリュージョンではなく、否認にゃ。
研究が言う「健全な理想化」は、
欠点を知りながら、良い面を選んで見る力にゃ。
欠点が見えなくなるのとは、似ているようで全然違うにゃ。
Murrayらの研究を総合すると、ひとつのパターンが見えてくるにゃ。
「あの人はまあまあの人」
「欠点もあるし、別に特別じゃない」
→ 満足度が低く、関係が不安定になりやすい
「あの人は欠点もあるけど、本当に素敵な人」
「この関係はちょっと特別だと思う」
→ 満足度が高く、関係が安定。相手も成長する。
「あの人に欠点なんてない」
「問題があるのは全部まわりのせい」
→ 現実との乖離が大きくなり、崩壊リスク
ちょっとだけバラ色のメガネをかける。
そのくらいが、関係にとって一番良い状態だったにゃ。
完璧な視力も、度が強すぎるメガネも、
どちらもベストではないということにゃ。
ここで、ちょっと考えてみてほしいにゃ。
あなたは、大切な人のことを
「ちょっと良く見てる」と
思ったことがあるにゃ?
それを「盲目だ」と
恥ずかしく思ったことは?
…でも、もしかしたら
そのバラ色メガネが、
ふたりの関係を
守っていたのかもしれないにゃ。
「良く見すぎてるかも」と
気づけている時点で、
それは健全な理想化かもしれないにゃ。
ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。
「ちゃんと現実を見なきゃ」
っていう声は、どこにでもあるにゃ。
たしかに、現実を見ることは大事にゃ。
でもこの研究が教えてくれたのは、
**「ちょっと良く見る」ことにも
大きな力がある**ということにゃ。
相手を信じること。
この関係はちょっと特別だと思えること。
好きな人が、他の誰より素敵に見えること。
それは「現実が見えてない」んじゃなくて、
**「愛が、現実を少しだけ良い方向に
書き換えている」**のかもしれないにゃ。
そしてその書き換えが、
相手をほんとうに良い方向に変えていく。
もちろん、これはひとつの角度から見た話にゃ。
見て見ぬふりをすべきだという意味ではないにゃ。
でも、「ちょっと良く見てしまう」自分を
責めなくてもいいのかもしれないにゃ。
そのやさしい目が、関係を育てているのかもしれないから。
恋は盲目。
でもその盲目さが、関係を守り、
相手を本当に変えていくこともある。
バラ色メガネを笑わなくていいにゃ。
それは、愛情のかたちのひとつにゃ。
**あなたの「ちょっと良く見る目」は、
思っているより、ずっと大切なものかもしれないにゃ。**
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猫の国は、優しい人のための場所にゃ。