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脳のふしぎ

たくさんあるのに、何も選ばずに終わってしまうのは、なぜ?

…24種類のジャムの前で、足を止めた人たちの話にゃ。

この研究を一枚で
問い
選べるものが多いほど、人は買いやすくなる?
どこで
カリフォルニアの高級スーパー。土曜日の試食コーナーを通りかかった買い物客(24種類の日は242人、6種類の日は260人)
どうやって
並べるジャムを24種類と6種類で入れ替えて、足を止めた人と、あとで買った人を数えた
わかったこと
人が集まったのは24種類(60%と40%)。でも買った人は、6種類のほうが約10倍(3%と30%)
その後の研究
50の実験をまとめた2010年の分析では、平均すると差はほぼゼロだった。2015年の分析では、選択肢が複雑なときや、自分の好みがはっきりしないときに起きやすい、と整理されている

こういうこと、ない?

金曜の夜
Netflix開いたのに1時間何も選べない
メニューが多すぎるカフェで固まる
Amazonで「あとで買う」に入れて結局買わない
マッチングアプリ、候補多すぎて誰にも連絡しない

「選択肢が多い=幸せ」のはずなのに、
なぜか選べなくなるにゃ。

これ、あなたの優柔不断のせいじゃなかったにゃ。

🧪 有名なジャム実験

スーパーに並べたジャムが
24種類 vs 6種類。
さて、どうなったか

2000年、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー博士とスタンフォード大学のマーク・レッパー博士が、あるおもしろい実験をしたにゃ。

場所は、カリフォルニアの高級スーパーマーケット。
試食コーナーにジャムを並べたにゃ。

試食コーナーで足を止めた人
🍓 24種類を並べた日0%
通りかかった242人のうち
🫙 6種類を並べた日0%
通りかかった260人のうち

ここまでは「たくさんあるほうが魅力的」にゃ。

でも、実際に買った人の割合を見たら…
話が変わるにゃ。

予想してみるにゃ

足を止めた人のうち、ジャムを買った人が多かったのは、どっちの日?

📊 衝撃の結果

選択肢が多いほうが
売れた…わけじゃなかった

選択肢が4倍に増えたら、購入率は10分の1に下がったにゃ。

「たくさんあったほうがいい」という直感は、
完全に裏切られたにゃ。

🧪 なぜ脳がフリーズするのか

選択肢が多いと
脳が「もう無理にゃ…」
ってなる理由

選択肢が多いとき、脳の中では何が起きてるのかにゃ?

原因①

🧠 認知的負荷の増大

選択肢が増えるほど、比較・評価に必要な情報処理量が爆発的に増えるにゃ。24種類のジャムを比較するには、脳のワーキングメモリがパンクするにゃ。

原因②

😰 決定疲労(Decision Fatigue)

人間が1日に下せる「いい判断」の数には限界があるにゃ。選択肢が多いと、その「判断の体力」がどんどん削られるにゃ。

原因③

😱 後悔への恐怖

選択肢が多いほど「もっといいのがあったかも」と思いやすくなるにゃ。選んだ後の後悔が怖くて、そもそも選べなくなるにゃ。

つまり、選択肢が多すぎると脳は
「比較しきれない → 疲れる → 怖い → やめとこ」
ってなるにゃ。

これが「選べない」の正体にゃ。

🌐 現代は選択肢まみれ

ジャムどころじゃない。
現代人、毎日
フリーズしてるにゃ

この実験は2000年の話にゃ。

でも今の世界、もっとやばいにゃ。

ジャムの試食台と、いまのお店
🍓 実験の試食台(多いほう)24種類
🛒 アメリカのスーパーの平均的な品ぞろえ約3万2千点
2023年・アメリカの食品業界団体(FMI)の調べ

24種類の棒は、細すぎてほとんど見えないにゃ。

配信サービスでも同じことが起きてるにゃ。2019年のアメリカの調査(ニールセン)では、観るものを選ぶのに平均7分あまりかかっていたにゃ。18〜34歳だと、9分を超えていたにゃ。

転職サイト、保険のプラン、サブスクの種類、
スマホの機種、服のブランド、
夕飯のレシピ、旅行先…

「人は1日に3万5千回も判断している」という話を、聞いたことがあるかもしれないにゃ。

でもこの数字、研究所のねこたちが探しても、元になった研究が見つからなかったにゃ。数えきれないくらい多い、というのが本当のところだと思うにゃ。

?

ジャムが24種類で3%しか買えなかったのに、
何千本の作品から「今日の1本」を
すっと選べるわけがないにゃ…。

選べないのは、あなたが悪いんじゃなくて
状況のほうが大きすぎるのかもしれないにゃ。

🧪 あなたはどっちタイプ?

「最高を求める人」と
「これでいいやの人」

心理学者バリー・シュワルツ博士は、選び方のスタイルを2つのタイプに分けたにゃ。

タイプA

👑 マキシマイザー(最大化する人)

「ベストな選択」を追い求めるにゃ。全部の選択肢を比較して、最高のものを選びたいにゃ。

口癖:「もっといいのがあるかも」「まだ決められない」

タイプB

😌 サティスファイサー(満足する人)

「自分の基準を満たせばOK」にゃ。完璧じゃなくても、十分にいいものが見つかったら決めるにゃ。

口癖:「これでいいかな」「悪くないじゃん」

シュワルツ博士の研究では、マキシマイザーのほうが後悔が多く、満足度が低いことがわかったにゃ。

しかも、マキシマイザーは客観的にはいい選択をしてることも多いのに、主観的な幸福度はサティスファイサーより低かったにゃ。

「最高」を求めるほど、幸せから遠ざかる。
なんとも皮肉にゃ…。

ちょっと自分のことを
振り返ってみるにゃ。

あなたならどれ?

レストランのメニュー、何分で決められるにゃ?

別にどれが正解とかじゃないにゃ。
でも、「自分の選び方のクセ」に気づくのは
けっこう面白いにゃ。

💡 じゃあ、どうすればいいのか

「選べない」を
ラクにするコツ

研究からわかった、選択肢に負けないためのヒントにゃ。

コツ①

✂️ まず選択肢を減らす

ジャムの実験でも、買われたのは6種類の日だったにゃ。配信なら「今日はコメディだけ」、メニューなら「肉か魚か」で、まず数を減らしてから選ぶにゃ。

コツ②

⏱️ 制限時間を決める

「5分で決める」とルールを作るにゃ。完璧な選択より、選んだことに満足する練習のほうが大事にゃ。

コツ③

🔄 「取り消せる」と思う

「間違えたらどうしよう」が選べない最大の原因にゃ。でも多くの選択はやり直しがきくにゃ。ジャムもNetflixも、別のを試せばいいだけにゃ。

コツ④

😌 「まあまあ良い」を許す

サティスファイサーになる練習にゃ。「十分にいい」は「最高」より幸せだって、研究が言ってるにゃ。

要するに、選ぶ力じゃなくて「捨てる力」が大事にゃ。

🐱 猫の国の研究所より

ジャムの実験の
その先で

ジャムの実験には、続きがあったにゃ。

似た実験を50ほど集めて
ならしてみた分析では、
品数の多い棚と少ない棚の差は、
平均するとほとんど消えていたにゃ。
24種類の前で、だれもが毎回
固まるわけではなかったにゃ。

では、どんなときに起きていたのか。
その後の分析が挙げたのは、
選ぶものが込み入っているときと、
自分の好みがまだはっきりしないとき。

「いちごが食べたい」と決めて行けば、
24種類の棚も、たぶんこわくないにゃ。

そこで研究所のねこたちは、
「選べない」を、決める力の弱さより、
今日の自分が何を欲しいか、
まだ言葉になっていないしるし
として読んでみたにゃ。

いつでも当たる読みではないにゃ。
比べる元気が、ただ残っていない夜も
あるからにゃ。

🍓

買わずに帰った人たちも、
味見は
していったにゃ。

ひとくちなめて、
「今日は、これじゃないな」。
好みは、そういうひと口ずつで
形になっていくものにゃ。

何も選ばずに閉じた夜の画面にも、
その「これじゃない」が、
いくつか残っているのかもしれないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

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🎓 学び舎

「感情との付き合い方ひみつノート」
「自分を知るひみつノート」で実践する

📚 図書館

だれかの物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995-1006.
Schwartz, B. (2004). The Paradox of Choice: Why More Is Less. Harper Perennial.
Chernev, A., Böckenholt, U., & Goodman, J. (2015). Choice overload: A conceptual review and meta-analysis. Journal of Consumer Psychology, 25(2), 333-358.
Scheibehenne, B., Greifeneder, R., & Todd, P. M. (2010). Can there ever be too many options? A meta-analytic review of choice overload. Journal of Consumer Research, 37(3), 409-425.
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com