
…24種類のジャムの前で、足を止めた人たちの話にゃ。
こういうこと、ない?
「選択肢が多い=幸せ」のはずなのに、
なぜか選べなくなるにゃ。
これ、あなたの優柔不断のせいじゃなかったにゃ。
2000年、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー博士とスタンフォード大学のマーク・レッパー博士が、あるおもしろい実験をしたにゃ。
場所は、カリフォルニアの高級スーパーマーケット。
試食コーナーにジャムを並べたにゃ。
ここまでは「たくさんあるほうが魅力的」にゃ。
でも、実際に買った人の割合を見たら…
話が変わるにゃ。
足を止めた人のうち、ジャムを買った人が多かったのは、どっちの日?
選択肢が4倍に増えたら、購入率は10分の1に下がったにゃ。
「たくさんあったほうがいい」という直感は、
完全に裏切られたにゃ。
選択肢が多いとき、脳の中では何が起きてるのかにゃ?
選択肢が増えるほど、比較・評価に必要な情報処理量が爆発的に増えるにゃ。24種類のジャムを比較するには、脳のワーキングメモリがパンクするにゃ。
人間が1日に下せる「いい判断」の数には限界があるにゃ。選択肢が多いと、その「判断の体力」がどんどん削られるにゃ。
選択肢が多いほど「もっといいのがあったかも」と思いやすくなるにゃ。選んだ後の後悔が怖くて、そもそも選べなくなるにゃ。
つまり、選択肢が多すぎると脳は
「比較しきれない → 疲れる → 怖い → やめとこ」
ってなるにゃ。
これが「選べない」の正体にゃ。
この実験は2000年の話にゃ。
でも今の世界、もっとやばいにゃ。
24種類の棒は、細すぎてほとんど見えないにゃ。
配信サービスでも同じことが起きてるにゃ。2019年のアメリカの調査(ニールセン)では、観るものを選ぶのに平均7分あまりかかっていたにゃ。18〜34歳だと、9分を超えていたにゃ。
転職サイト、保険のプラン、サブスクの種類、
スマホの機種、服のブランド、
夕飯のレシピ、旅行先…
「人は1日に3万5千回も判断している」という話を、聞いたことがあるかもしれないにゃ。
でもこの数字、研究所のねこたちが探しても、元になった研究が見つからなかったにゃ。数えきれないくらい多い、というのが本当のところだと思うにゃ。
ジャムが24種類で3%しか買えなかったのに、
何千本の作品から「今日の1本」を
すっと選べるわけがないにゃ…。
選べないのは、あなたが悪いんじゃなくて
状況のほうが大きすぎるのかもしれないにゃ。
心理学者バリー・シュワルツ博士は、選び方のスタイルを2つのタイプに分けたにゃ。
「ベストな選択」を追い求めるにゃ。全部の選択肢を比較して、最高のものを選びたいにゃ。
口癖:「もっといいのがあるかも」「まだ決められない」
「自分の基準を満たせばOK」にゃ。完璧じゃなくても、十分にいいものが見つかったら決めるにゃ。
口癖:「これでいいかな」「悪くないじゃん」
シュワルツ博士の研究では、マキシマイザーのほうが後悔が多く、満足度が低いことがわかったにゃ。
しかも、マキシマイザーは客観的にはいい選択をしてることも多いのに、主観的な幸福度はサティスファイサーより低かったにゃ。
「最高」を求めるほど、幸せから遠ざかる。
なんとも皮肉にゃ…。
ちょっと自分のことを
振り返ってみるにゃ。
レストランのメニュー、何分で決められるにゃ?
別にどれが正解とかじゃないにゃ。
でも、「自分の選び方のクセ」に気づくのは
けっこう面白いにゃ。
研究からわかった、選択肢に負けないためのヒントにゃ。
ジャムの実験でも、買われたのは6種類の日だったにゃ。配信なら「今日はコメディだけ」、メニューなら「肉か魚か」で、まず数を減らしてから選ぶにゃ。
「5分で決める」とルールを作るにゃ。完璧な選択より、選んだことに満足する練習のほうが大事にゃ。
「間違えたらどうしよう」が選べない最大の原因にゃ。でも多くの選択はやり直しがきくにゃ。ジャムもNetflixも、別のを試せばいいだけにゃ。
サティスファイサーになる練習にゃ。「十分にいい」は「最高」より幸せだって、研究が言ってるにゃ。
要するに、選ぶ力じゃなくて「捨てる力」が大事にゃ。

ジャムの実験には、続きがあったにゃ。
似た実験を50ほど集めて
ならしてみた分析では、
品数の多い棚と少ない棚の差は、
平均するとほとんど消えていたにゃ。
24種類の前で、だれもが毎回
固まるわけではなかったにゃ。
では、どんなときに起きていたのか。
その後の分析が挙げたのは、
選ぶものが込み入っているときと、
自分の好みがまだはっきりしないとき。
「いちごが食べたい」と決めて行けば、
24種類の棚も、たぶんこわくないにゃ。
そこで研究所のねこたちは、
「選べない」を、決める力の弱さより、
今日の自分が何を欲しいか、
まだ言葉になっていないしるし
として読んでみたにゃ。
いつでも当たる読みではないにゃ。
比べる元気が、ただ残っていない夜も
あるからにゃ。
買わずに帰った人たちも、
味見は
していったにゃ。
ひとくちなめて、
「今日は、これじゃないな」。
好みは、そういうひと口ずつで
形になっていくものにゃ。
何も選ばずに閉じた夜の画面にも、
その「これじゃない」が、
いくつか残っているのかもしれないにゃ。
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