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恋愛・パートナーシップ

キスくらいで、気持ちって変わるもの?

…902人に聞いたら、キスの役目は、つきあいの長さで変わっていたにゃ。

この研究を一枚で
問い
恋人どうしのキスは、何のためにあるのか。相手を見極めるため、ふたりの結びつきを保つため、その気になるため、のどれか
どこで
多くはイギリスと北米の、18〜63歳の902人(男性308人・女性594人)。ネットのアンケート(Wlodarski & Dunbar 2013)
どうやって
短い相手と長くつきあう相手のそれぞれで、いつのキスがどのくらい大事かを聞いた。つきあっている人には、キスとセックスの回数と、ふたりの関係のよさも聞いた
わかったこと
長い相手とは、セックスと関係のないふだんのキスも、セックスの前と同じくらい大事とされた。関係のよさと結びついていたのはキスの回数で、セックスの回数ではなかった。はじめのキスで気持ちが変わったことがあると答えやすいのは、女性のほうだった
その後の研究
結婚・同棲中の52人に、6週間キスを増やしてもらった実験(2009年)では、頼まなかった人たちより、ストレスの感じ方が軽くなり、関係の満足が上がった

たとえば、友達とのこんな話。

付き合おうって言われて、OKしたんだけどさ
はじめてキスしたとき、「あ、ちがう」って思っちゃって
え、キスで?
うん。いい人なのに。自分でもひどいと思う
(キスくらいで、って言われそうで、だれにも言えなかった)

キスひとつで、気持ちが動く。

いっぽうで、長くいる人とは、
キスのことなんて
考えなくなっていく。

キスって、いったい
何のためにあるのかにゃ。

🧪 研究 キスは何のために?

902人に聞いた、
「いつのキスが大事?」

オックスフォード大学のウォダルスキさんとダンバーさん(2013年)は、ネットのアンケートで902人にキスのことを聞いたにゃ。18〜63歳で、多くはイギリスと北米の人たち。平均は25歳くらいだったにゃ。

確かめたかったのは、キスの役目についての3つの説にゃ。

① 相手がどんな人かを見極めるため
② ふたりの結びつきを保つため
③ その気になって、セックスに向かうため

聞き方はこうにゃ。一夜かぎりのような短い相手と、長くつきあう相手のそれぞれで、「セックスの前」「最中」「あと」「セックスと関係のないとき」のキスが、どのくらい大事か。5段階で答えてもらったにゃ。

予想してみるにゃ

長くつきあう相手とのキス。「セックスの前」と同じくらい大事だと答えられたのは、いつのキスだったと思う?

📊 結果の読み方

長くいる相手ほど、
何でもないときのキス

短い相手とのキスは、セックスに向かう入口だったにゃ。長い相手になると、キスは前でも、あとでも、何でもないときでも大事なものになっていたにゃ。

暮らしの言葉にすると、このあと何かに向かうわけでもない、ただのキス。長くいるふたりにとっては、それが入口のキスに負けないくらいの意味を持っていたにゃ。そういうキスを大事に思う度合いは、男性より女性のほうが高めだったにゃ。

つきあっている人たちには、キスとセックスの回数と、いまのふたりの関係のよさも聞いていたにゃ。

予想してみるにゃ

ふたりの関係のよさと結びついていたのは、どっちだったと思う?

いちばん強く結びついていたのは、相手のキスを「いい」と感じているかどうかだったにゃ。キスの回数に満足しているか、セックスの回数に満足しているかも、関係のよさと結びついていたにゃ。

セックスについては、何回したかより、「このくらいでいい」と思えているかのほうに表れていた、ということにゃ。

それから、「キスのいちばんの役目は、その気になるため」という説は、ほとんど支えられなかったにゃ。

📊 結果の読み方 もうひとつ

はじめのキスで、
気持ちが変わることもある

「好きだったのに、はじめてキスしたら気持ちが変わった」ことがあるか、も聞いていたにゃ。

そう答えやすかったのは、男性より女性。それから、自分の魅力を高く見ている人と、気軽な関係にも開かれている人だったにゃ。

研究者たちは、相手を選ぶ目がきびしくなりやすい人ほど、キスで気持ちが動きやすいはずだ、と考えていたにゃ。結果はその読みに合っていて、キスが相手を見極める手がかりになっているしるし、と受けとめたにゃ。

アメリカの大学の別の小さな調査では、「好きだったのに、はじめてキスしたあと気持ちがなくなったことがある」に、男性の59%、女性の66%が「ある」と答えていたにゃ。

はじめのキスで「あれ?」と思うのは、めずらしいことではなさそうにゃ。

🤔 なぜ、キスに役目があるのか

くちびるの近さは、
ことばより先に届く

はじめのキスについて、有力な説明はこうにゃ。キスをするほど近づくと、相手のにおいや味、肌のぬくもりが、一度に入ってくる。そうしたことばにならない手がかりが、「この人とどうか」の判断の材料になっているのでは、と考えられているにゃ。

ただ、何をどう感じ取っているのかは、まだわかっていないにゃ。

ふだんのキスについては、抱きしめたり、ふれたりするのと同じように、ふたりの結びつきを保つ働きがあるのでは、という説があるにゃ。

セックスの前のキスは、このあとに向かうもの。ふだんのキスは、どこにも向かわない。だからこそ、「あなたが大事」だけを渡せるのかもしれないにゃ。

🔍 ほかの研究では

キスを増やしてみたら、
どうなった?

この研究は、思っていることを聞いたアンケートにゃ。答えたのは、多くがイギリスや北米の20代。

それに、キスの多いふたりの関係がいいとわかっても、キスが多いから関係がいいのか、関係がいいからキスが多いのかは、ここからはわからないにゃ。

どちらが先かに近づくには、実際に増やしてもらうのがいちばんにゃ。それをした実験が、2009年のアメリカにあるにゃ。結婚しているか一緒に暮らしている大人52人を、くじで2つに分けた。半分には「6週間、パートナーとのキスを増やしてください」とお願いして、もう半分には頼まなかったにゃ。

予想してみるにゃ

キスを増やした人たちは、どうなったと思う?

血液のコレステロールの値も、頼まなかった人たちより下がっていたにゃ。

52人・6週間の小さな実験なので、これだけで決めることはできないにゃ。それでも、キスを少し足すだけのことが、ふたりの毎日に何かを残すかもしれない、という手がかりにはなりそうにゃ。

💋 今に置き換えて考える

日本の暮らしでは、
キスはどこにある?

研究に答えたのは、2013年の、多くはイギリスと北米の人たちだったにゃ。

世界の168の文化の記録を調べた別の研究では、恋人どうしのくちびるのキスが見つかったのは、半分に届かなかったにゃ。キスのあり方は、暮らす場所でずいぶんちがう。では、いまの日本ではどうかにゃ。

告白のあとで

はじめてのキスは、もう「付き合ってから」

日本では、「付き合ってください」とことばで始めて、キスはそのあと、という順番がよく話に出るにゃ。すると、研究でいう「見極め」のキスが、付き合いが始まってからやって来る。「あれ?」と思っても、「キスくらいで」と自分を責めたり、言い出せなかったりしやすいかもしれないにゃ。

長くいる家で

キスが「合図」だけになっていない?

行ってきますや、おやすみのキスは、日本の家ではあまり見かけないにゃ。キスが寝室の中だけ、セックスの前ぶれだけのものになると、疲れている日はキスごとよけたくなる。「キスしたら、その気だと思われそう」。調査はそこまで聞いていないけれど、研究で長いふたりが大事にしていた「ふだんのキス」とは、逆の形かもしれないにゃ。

ためしてみるなら

何にもつながらないキスを、ひとつ

出かける前の玄関で。台所ですれちがうときに。「今日はこれだけね」と笑って離れるキスは、前ぶれにならないにゃ。キスが苦手な人も、いまはふれられたくない時期の人もいるにゃ。そのときは、無理にしなくていいにゃ。

あなたならどれ?

いまのあなたとキスの関係に、いちばん近いのは?

🐱 猫の国の研究所より

「いい人なのに」と
「あ、ちがう」

「いい人」は、
話したり、何度か会ったりして
わかってきたこと。

「あ、ちがう」は、
くちびるが届くほど近づいて、
はじめて入ってきたことにゃ。

どちらかがまちがっている、
というより、
ちがう材料から出た答えが
ふたつ並んだ、
と読むこともできるにゃ。

その材料が、においなのか、味なのか、
ぬくもりなのかは、
研究者たちにも、まだわからないにゃ。
わかっていたのは、
相手を選ぶ目がきびしくなりやすい人ほど、
キスで気持ちが動きやすかったこと。

長くいる人とのキスは、
また別の顔をしていたにゃ。

短い相手とは、ほとんど
大事にされていなかった
何でもないときのキスが、
長い相手とは、
セックスの前のキスと並んでいた。

キスのことを考えなくなったころ、
キスはもう、見極めとはちがう
しごとをしている。
アンケートの答えを横に並べただけの、
ねこたちの見立てにゃ。

💋

はじめのキスは
「この人?」と聞く。
長くいる人とのキスは
「この人」と答える。

聞くほうのキスは、
答えが出たら、そこでおしまいにゃ。

答えるほうのキスには、
おしまいがないにゃ。
もう知っている答えを、
何でもない日に、
もう一度言いなおしている
のかもしれないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🔬 研究所

セックスの回数、もっとがんばったほうがいい?

📚 図書館

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🛠️ 道具屋

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猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

📚 参考文献

この記事で紹介した研究

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Wlodarski, R., & Dunbar, R. I. M. (2013). Examining the possible functions of kissing in romantic relationships. Archives of Sexual Behavior, 42(8), 1415-1423. リンク
Hughes, S. M., Harrison, M. A., & Gallup, G. G., Jr. (2007). Sex differences in romantic kissing among college students: An evolutionary perspective. Evolutionary Psychology, 5(3), 612-631. リンク
Floyd, K., Boren, J. P., Hannawa, A. F., Hesse, C., McEwan, B., & Veksler, A. E. (2009). Kissing in marital and cohabiting relationships: Effects on blood lipids, stress, and relationship satisfaction. Western Journal of Communication, 73(2), 113-133. リンク
Jankowiak, W. R., Volsche, S. L., & Garcia, J. R. (2015). Is the romantic–sexual kiss a near human universal? American Anthropologist, 117(3), 535-539. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com