
…30年読まれてきた「5つの愛の言語」。研究者たちが、ひとつずつ確かめたにゃ。
こんなやりとり、ないにゃ?
診断の結果で、
ふたりのすれ違いに名前がついた。
すっきりした気もするし、
なんだか、モヤっともする。
その「タイプ」、
ほんとうにあるのかにゃ。
「5つの愛の言語」は、牧師として夫婦の相談にのってきたチャップマンさんが、1992年に書いた本にゃ。世界で2,000万部以上売れて、50ほどの言葉に訳されているにゃ。
愛の伝え方には、肯定の言葉・いっしょに過ごす時間・贈り物・手を貸すこと・ふれあい、の5つがある。人にはそれぞれいちばんの言語があって、相手の言語で伝えれば、ふたりはうまくいく。そういう本にゃ。
トロント大学とヨーク大学のインペットさん、パークさん、ミューズさん(2024年)は、これまでに出た愛の言語の研究を集めて、本の前提をひとつずつ確かめたにゃ。
まず、いちばん土台の「人にはいちばんの言語がある」から。
5つの愛し方を、ひとつずつ「どのくらいうれしい?」と点をつけてもらうと、どうなったと思う?
「言葉もほしいし、手も貸してほしい」。冒頭のつぶやきは、わがままじゃなかったにゃ。たいていの人が、そう答えていたにゃ。
5つとも、だいたい大事だった。診断で出た「いちばん」と、ひとつずつ点をつけたときにいちばん高いものも、そろわないことが多かったにゃ。
5つは互いに重なりが大きくて、きれいに5つには分かれなかった。研究によって3つにまとまったり、4つになったり。相手の目標を応援する、のように、5つに入っていない愛し方もあったにゃ。
いちばんの言語が同じカップルほど満足している、という結果は見つからなかった。好みに合わせてもらえている人ほど満足、という研究もあったけれど、愛し方はどれを受け取っても満足と結びついていて、「合わせたから」とは言いにくかったにゃ。
もうひとつ、おどろいたことがあるにゃ。これだけ読まれた本なのに、確かめた研究そのものが、まだとても少なかったにゃ。
本のクイズは30問。どれも、ふたつのうち「うれしいほう」を選ぶ形にゃ。たとえば「手をつなぐ」と「プレゼントをもらう」。
どちらもうれしくても、どちらかを選ぶしかない。だから最後には、必ず「いちばん」が出てくるにゃ。
「贈り物がいちばん」の人。2択のクイズで決めるのと、ひとつずつ点をつけるのとで、人数は変わったと思う?
それでも、この本がこれほど響いたのには、わけがありそうにゃ。研究者たちは、こう考えているにゃ。
数分で答えが出るクイズがあること。「私は言葉がほしい」と言いにくいことを、ひとことで渡せる名前があること。そして、こうすればうまくいく、という道がわかりやすいこと。
2025年には、長くいっしょに暮らしている499人を調べた研究が出たにゃ。調べ方と確かめることを、先に公開してから始めた研究にゃ。
はっきりした「いちばんの言語」がある人は、
半分に満たなかった。
いちばんの言語で満たされているかどうかは、
ほかの愛し方で満たされているかどうか以上に、
ふたりの満足と結びついてはいなかった
満足とより強く結びついていたのは、いろいろな愛し方を受け取れていることだったにゃ。なかでも、言葉で認めてもらうこと、自分のやりたいことを応援してもらうこと、つらいときに支えてもらうこと、自分のしたことに責任をもってくれること。
そのうちいくつかは、もとの5つに入っていないものにゃ。
696人を調べた別の研究でも、いちばんの言語が、ほかの言語より満足を強く映すことはなかったにゃ。
インペットさんたちは、言語のかわりに、バランスのいい食事にたとえることを勧めているにゃ。
ごはんだけでも生きてはいける。
でも元気でいるには、
いろいろな栄養がいる。
そして、とくにほしい栄養は、時期で変わる。マラソンの前には炭水化物が多めにいるように、ストレスの強い時期には、ふれあいがいつもより効く、という研究もあるにゃ。
「私は○○の人」と決めるより、いま何が足りていないかを見る。そういう考え方にゃ。
1992年の診断は、本のうしろについた質問票だったにゃ。チャップマンさんが相談にのっていたのは、信仰をもつ、昔ながらの夫婦たち。
いまの診断はスマホで数分。結果はスクショで送り合えるし、プロフィールに書くこともできるにゃ。
マッチングアプリのプロフィールに書かれた愛の言語や恋愛タイプを見て、合わないからと、会う前に候補から外す。研究者たちが心配していたのは、まさにこういう使い方にゃ。合わないかどうかは、会ってみないとわからないにゃ。
資格の勉強、仕事の転機、ひとりで続けたい趣味。そういう時期にうれしいのは、「やってみなよ」と背中を押されることかもしれないにゃ。もとの5つには入っていないけれど、2025年の研究では、満足と強く結びついていた愛し方にゃ。
タイプは一度決まると動かない。でも献立なら、週ごとに変えられるにゃ。「今週はちょっと、ほめられ不足かも」。そのくらい軽く言えると、相手も手を出しやすいかもしれないにゃ。
いまのあなたの献立で、いちばん足りていない栄養はどれ?

「私は『肯定の言葉』だって」。
このひとことは、よく聞くと
「言ってほしい」というお願いにゃ。
面と向かっては言いにくいことを、
診断の名前が、代わりに運んでくれた。
本がこれだけ響いたわけのひとつにゃ。
ただ、名前は、
「ほかはそんなに要らない」という意味まで
いっしょに連れてくるにゃ。
「それが俺の言語」。
名前があるせいで、
話がそこで終わってしまう夜も
あるにゃ。
本の5つは、研究では
はっきりとは支えられなかったにゃ。
それでも、「相手は何がうれしいんだろう」と
考えはじめた人を大勢つくったことは、
研究者たちも大事だと書いているにゃ。
手ばなしたいのは、名前よりも、
名前についてきた「ひとつだけ」のほう
なのかもしれないにゃ。
「いちばん」を決めていたのは、
あなたより、
2択の問いのほうだったにゃ。
贈り物がいちばんの人は、
2択で聞いた研究では0〜4%。
ひとつずつ点をつけた研究では、
半分をこえていたにゃ。
メモに、5つの愛し方を並べて、
2択にかけずに、ひとつずつ5点満点で。
たぶん、どれにも4くらいがつくにゃ。
診断としては、
ちっとも決まらない並び。
でも、うそはひとつもない並びにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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