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恋愛・パートナーシップ

達しにくいのは、私の体のせい?

…同じ女性でも、相手との過ごし方で答えが変わっていたにゃ。

この研究を一枚で
問い
女性が男性より達しにくいのは、体のつくりのせいなのか。性別や性的指向で、どれくらい差があるのか
どこで
アメリカの大人52,588人。異性愛の男女のほか、ゲイ・レズビアン・両性愛の人も含む(Frederick ほか 2018)
どうやって
この1か月のふれあいのときに、どのくらい達したかをたずね、30以上の過ごし方や関係のこととの結びつきを調べた
わかったこと
「たいてい・いつも達する」は異性愛の男性95%、異性愛の女性65%。でもレズビアンの女性は86%で、同じ女性でも大きくちがった。よく達する女性ほど、時間が長く、してほしいことを伝え、関係に満足していた
その後の研究
別の研究(2014年・カナダの大学生45人の話し合い)では、女性が達しないとき、男女ともいちばん心配していたのは「男性の自信が傷つくこと」だった

こんなふうに思ったこと、ないにゃ?

女の人って、もともとそういうものなんでしょ?
私、たぶんそういう体なんだと思う
彼に悪いから、いつも「よかったよ」って言ってる
(ほんとうは、ちょっとちがうんだけど)

女性は達しにくいもの。
体のつくりだから、しかたない。

そう言われると、
「じゃあ、私の体の問題なんだ」と
ひとりで飲みこんでしまうにゃ。

ほんとうに、体だけの話なのかにゃ。

🧪 研究 5万人に聞いた「この1か月」

52,588人の答えを、
性別と性的指向で
並べてみた

アメリカの心理学者フレデリックさんたち(2018年)は、アメリカの大人52,588人の答えを分析したにゃ。異性愛の男女がほとんどで、ゲイの男性、レズビアンの女性、両性愛の人たちも含まれていたにゃ。

聞いたのは、この1か月、ふれあいのときに、どのくらい達したか。それから、ふたりの過ごし方や関係のことを、30以上。

「たいてい・いつも達する」と答えた人は、異性愛の男性で95%、異性愛の女性で65%。この30ポイントの差が、「オーガズム・ギャップ」と呼ばれているにゃ。

予想してみるにゃ

では、女性どうしで付き合うレズビアンの女性は、どのくらいだったと思う?

📊 結果の読み方

同じ女性の体で、
21ポイントの差

📊 わかったこと

「たいてい・いつも達する」
レズビアンの女性は86%、
異性愛の女性は65%

86%

レズビアンの女性

もし「女性の体だから」だけで決まるなら、女性どうしでも同じくらい低くなりそうにゃ。でも、そうはならなかったにゃ。

差は、体の中だけじゃなく、ふたりのあいだにもありそうにゃ。

これは、どちらの付き合い方がいい、という話ではないにゃ。同じ女性でも、だれと、どんなふうに過ごすかで、答えが動く。そういう手がかりにゃ。

「私はそういう体だから」と思ってきた人にとって、この数字は、少し肩の荷をおろしてくれるかもしれないにゃ。

📊 同じ調査から

よく達する女性は、
何がちがっていた?

研究者たちは、女性のなかで、よく達する人とそうでない人の答えを見比べたにゃ。並んでいたのは、こんなことだったにゃ。

時間

ゆっくりだった

この前のふれあいに、かけた時間が長かったにゃ。

言葉

伝えていた

してほしいことを相手に伝えていた。相手のよかったところをほめていた。ふれあいのなかで、好きだと言葉にしていた。そして、ふたりの関係に満足していたにゃ。

ふれ方

ひとつの形だけじゃなかった

深いキスや、手でふれることなど、いくつかのふれあいがまざっていた。新しいことを試すことも多かったにゃ。

これは、どちらが先かまで確かめた結果ではないにゃ。関係がいいから話せるのかもしれないし、話せるから関係がいいのかもしれない。

それでも、並んでいたのは特別な体ではなかったにゃ。時間と、言葉と、ふれ方だったにゃ。

🤔 なぜ、差が生まれるのか

「本番」と「準備」という
台本

研究者たち自身は、この差を、文化から説明する考えと、進化から説明する考えの両方に照らしているにゃ。どちらか一つで決着した話ではないにゃ。

このうち文化の側を、一般の人に向けて書いたのが、アメリカの大学で心理学を教えるローリー・ミンツさんの本(2017年)にゃ。調査の結果ではなく、研究を読みこんだ人が本で示した見立てにゃ。

彼女の見立て

台本が、片方に合わせて書かれている

私たちの文化では、挿入が「本番」で、それ以外は「前戯」、つまり準備あつかいされてきた、と彼女は言うにゃ。

でも多くの女性にとって、いちばん確かな道は、その「準備」と呼ばれてきたほうにある。だから、本番だけを本番と思っていると、片方だけが置いていかれやすい、という考えにゃ。

女性どうしの数字の高さや、よく達する女性に「いくつかのふれあいがまざっていた」ことは、この見立てとよく合うように見えるにゃ。

あなたの体が足りないのではなく、台本のほうが合っていないのかもしれない。この見立ての、いちばんほっとできるところにゃ。

もし、こんなときは

痛い、前とちがう、が続くとき

痛みがある。前はそうでもなかったのに変わった。それがつらい。そんなときは、飲んでいる薬や、ホルモンの変化、体の不調が関わっていることもあるにゃ。台本のせいだと決めつけずに、婦人科など、信頼できる専門家に話してみてにゃ。

🔍 別の研究では

達しなかったとき、
まず心配されていたのは

2014年、カナダの大学で、19歳前後の学生45人が、男女別の小さなグループに分かれて話し合ったにゃ。テーマは、ふたりのふれあいで女性が達しないとき、どう感じ、どう考えるか。

📊 わかったこと

女性が達しないとき、
男女とも、いちばんよく出た心配は
「男性の自信が傷つくこと」だった

もうひとつ、男女の考えがそろっていたのは、役目の分け方にゃ。男性には「体の面で導く」役目、女性には「気持ちの準備をしておく」役目がある、と考えられていたにゃ。

つまり、うまくいかないと、女性のほうは「私の気持ちの準備が足りなかった」と、自分を責める道が用意されていたのかもしれないにゃ。

女性にとって達することがどのくらい大事かについては、男女で考えがちがっていたにゃ。若い学生の少人数の話し合いだけれど、ふたりのあいだで何が話されていないかが、よく見える研究にゃ。

🏫 今に置き換えて考える

習ってこなかったことは、
「私の体のせい」に
見えやすい

研究に答えたのは、アメリカとカナダの人たちにゃ。日本の人に同じことを聞いた数字は、ここにはないにゃ。

それでも、いまの日本の暮らしに置いてみると、思い当たる場面がありそうにゃ。

教室で

保健の教科書にあったのは、半分だけ

保健の授業で習ったのは、受精のしくみや、妊娠や病気を防ぐことが中心だったにゃ。気持ちよさのことや、それが人によってちがうことは、たぶん教科書のどこにもなかったにゃ。

習っていないことがうまくいかないと、残る説明は「私の体がおかしい」くらいしかないにゃ。でもそれは、地図が半分しかなかっただけかもしれないにゃ。

ふたりのあいだで

「よかったよ」は、やさしさから出る

相手をがっかりさせたくない。その場の雰囲気をこわしたくない。だから「よかったよ」と言う。カナダの学生たちが「男性の自信」をいちばん心配していたのと、よく似た気づかいにゃ。

やさしい返事だけど、相手は「これでいいんだ」と思ったまま、次も同じになるにゃ。調査はそこまで聞いていないけれど、ギャップが長く続く理由のひとつは、このやさしさなのかもしれないにゃ。

言いやすいほうから

ダメ出しより、「それ、好き」

「そこはちがう」と言うのは、相手を責めるようで言いにくいにゃ。研究でよく達する女性たちは、相手のよかったところをほめてもいたにゃ。

「それ、好き」「もうちょっとゆっくりがいい」。注文というより、相手に渡す道しるべにゃ。言うか言わないかも、いつ言うかも、あなたが決めていいにゃ。

あなたならどれ?

ふたりの時間で、あなたが「満たされた」と感じるのに、いちばん近いのは?

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

「私はそういう体だから」。
この説明には、
ひとつ、やさしいところがあるにゃ。

だれの自信も、傷つけないことにゃ。

カナダの学生たちが、男女そろって
いちばんよく口にした心配も、
達しなかった本人のことではなく、
彼の自信のことだったにゃ。

「よかったよ」と
「私の体のせい」は、
たぶん同じやさしさから出ている。
どちらも相手を守って、
話をそこで閉じるにゃ。

ただ、同じ女性の体で、86%と65%。
閉じた話のむこうには、
時間と、言葉と、ふれ方が
まだ残っていたのかもしれないにゃ。

調査が見たのは、
それらが並んでいたところまで。
やさしさが話を閉じる、というのは
ねこたちの読みにゃ。

それに、達することだけが
満たされた時間のしるしでもないにゃ。

よく達する女性たちに
並んでいたことの中に、
こんなものもあったにゃ。

相手の
よかったところを、
ほめていた。

ほめるのも、
相手を思うやさしさのうちにゃ。
「よかったよ」とのちがいは、
「どこが」が入っているかどうか。

「よかったよ」は、そこで話を閉じる。
「あれがよかった」は、
教科書に半分しかなかった地図の、
つづきの一本線になるにゃ。

📚 参考文献

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Frederick, D. A., John, H. K. S., Garcia, J. R., & Lloyd, E. A. (2018). Differences in Orgasm Frequency Among Gay, Lesbian, Bisexual, and Heterosexual Men and Women in a U.S. National Sample. Archives of Sexual Behavior, 47(1), 273-288. リンク
Salisbury, C. M. A., & Fisher, W. A. (2014). "Did You Come?" A Qualitative Exploration of Gender Differences in Beliefs, Experiences, and Concerns Regarding Female Orgasm Occurrence During Heterosexual Sexual Interactions. Journal of Sex Research, 51(6), 616-631. リンク
Mintz, L. B. (2017). Becoming Cliterate: Why Orgasm Equality Matters—And How to Get It. HarperOne.
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
🐱 猫の国 研究所 ― nyantal.com