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🔬 猫の国 研究所

「私たちは特別」—
カップルの95%
そう思っている?

…全員が平均以上なんて、
数学的にありえないにゃ。

🐱
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PM 10:15
友達のカップル、また揉めてるらしい
大変そうだよね…
うちはああはならないよね
うん、私たちはちゃんと話し合えるし
…でもみんなそう思ってるのかな

「他のカップルは問題を抱えてるけど、
私たちは違う。」

…心のどこかで、そう思ったことないにゃ?

実はにゃ。
ほとんどのカップルが、
まったく同じことを思っているにゃ。

🧪 「私たちは平均以上」研究

カップルに聞いた。
「あなたたちの関係、
平均と比べてどう?」

2000年、社会心理学者キャロル・ラスバルトらの研究チームは、カップルの自己認識について大規模な研究を行ったにゃ。

カップルに、自分たちの関係を「平均的なカップル」と比較して評価してもらったにゃ。

信頼、思いやり、コミュニケーション、衝突の少なさ…
さまざまな項目で、「他のカップルと比べてどうですか?」と聞いたにゃ。

📊 結果

ほとんどのカップルが、
ほぼすべての項目で
「自分たちは平均以上」と回答したにゃ。

この現象を研究チームは
「perceived superiority(知覚された優越性)」
と名付けたにゃ。

全員が「うちは平均以上」なんて、
数学的に成り立たないにゃ。

でも、ほとんどの人がそう信じていたにゃ。

どれくらいの人が
「自分たちは特別」と
思っていたのか。

📊 知覚された優越性

自分たちの関係が
「平均的なカップルより良い」
と評価した割合

約95%

のカップル

95%にゃ。

ほぼ全員が「うちは他とは違う」と
思っていたにゃ。

しかも、**関係に満足している人も、
そうでもない人も**、同じ傾向を見せたにゃ。

「他のカップルに比べたら、まだマシ」
という形で、優越感は保たれていたにゃ。

🧪 「離婚率は知ってる。でも私たちは違う」

婚約中のカップルに
聞いてみた、
衝撃の回答

1993年、心理学者ベイカーとエメリーは、結婚を控えたカップルに、ある質問をしたにゃ。

📊 質問①

「アメリカのカップルのうち、
離婚するのはおよそ何%だと思いますか?」

約50%

平均回答

正解にゃ。みんな、統計をちゃんと知っていたにゃ。

では、次の質問にゃ。

📊 質問②

「では、あなたたち自身
離婚する可能性は何%だと思いますか?」

0%

平均回答

0%にゃ。

「半分のカップルが離婚する」という事実は知っている。
でも「私たちは絶対に離婚しない」と信じている。

**統計は他の人に当てはまるもの。
自分たちは例外。**
そう思っていたにゃ。

🧠 なぜ脳はこう思わせるのか

これは「バカ」だから
じゃないにゃ。
脳の生存戦略にゃ。

「みんな自分が特別だと思ってるなんて、おめでたいな」
…って思うかもしれないにゃ。

でも、これにはちゃんと理由があるにゃ。

心理学者ワインスタイン(1980年)は、人間には「非現実的楽観主義(unrealistic optimism)」という認知バイアスがあることを示したにゃ。

💡 非現実的楽観主義とは

「悪いことは自分には起きにくい」
「良いことは自分に起きやすい」
と感じる傾向にゃ。

事故、病気、離婚、失業…
「それは他の人の話」と思いやすいにゃ。

でもこれは欠陥じゃないにゃ。

「未来はきっと大丈夫」と思えるからこそ、
人はリスクを取って結婚し、
子どもを育て、新しいことを始められるにゃ。

楽観バイアスは、行動するためのエンジンにゃ。

🔬 実はこのバイアス、関係を守っている

「私たちは特別」が
もたらす意外な効果

ラスバルトらの研究では、もうひとつ重要な発見があったにゃ。

「知覚された優越性」が強いカップルほど、実際に関係がうまくいっていたにゃ。

効果①

🟢 コミットメントが高い

「私たちは特別」と思っているカップルほど、
関係を維持しようとする意欲が高かったにゃ。
「こんないい関係は、そうそうないから大切にしよう」
という気持ちが働くにゃ。

効果②

🟢 犠牲をいとわない

自分たちの関係が特別だと信じているほど、
パートナーのために譲歩したり、
自分の都合を調整したりすることに
前向きだったにゃ。

効果③

🟢 関係満足度が高い

「うちは他より良い」という認知が、
実際の満足感にもつながっていたにゃ。
思い込みが現実を良い方向に引っ張る、
ある種の自己成就予言にゃ。

「私たちは特別」という思い込みが、
実際に関係を特別にする方向に働いていたにゃ。
バイアスが関係を守る「心の接着剤」に
なっていたにゃ。

⚠️ でも、落とし穴もある

「私たちは大丈夫」が
問題を見えなくする
とき

ここまで聞くと、
「じゃあいいことだらけじゃん」
って思うにゃよね。

でも、このバイアスには裏側もあるにゃ。

⚠️ 過信のリスク

「私たちは特別だから大丈夫」が強すぎると…

・問題があっても「うちに限ってそんなはずない」と否認する
・関係改善のための努力を「必要ない」と思い込む
・SOSのサインを見逃す
・パートナーの不満を軽視する

Baker & Emeryの研究を思い出してにゃ。

離婚率50%を「知っている」のに、
自分たちの可能性は「0%」と答えた。

これは「私たちに問題は起きない」
という信念が強すぎる状態にゃ。

「特別だから大丈夫」で問題を直視しないと、
小さなひび割れが、気づいたときには
大きな亀裂になっていることがあるにゃ。

**守ってくれるバイアスと、
盲目にするバイアスは、
同じものの表と裏**にゃ。

🔍 「他のカップルよりマシ」の罠

比較することで安心する。
でもそれ、本当に安心?

心理学者ブンクら(1997年)は、カップルが他のカップルとの比較をどう使っているかを研究したにゃ。

結果、多くの人が「下方比較」をしていたにゃ。
つまり、自分たちより悪そうなカップルと比べて安心するパターンにゃ。

💬 よくある思考パターン

「あのカップルに比べたら、うちはケンカ少ないし」
「友達の彼氏に比べたら、うちのパートナーはマシ」
「離婚した人の話を聞くと、うちは大丈夫だなって思う」

これ自体は自然な心理にゃ。
安心感を得るための、脳の健全な働きでもあるにゃ。

でもにゃ。

**「他より悪くない」は、
「自分たちが良い状態にある」と同じじゃない**にゃ。

下を見て安心するのと、
自分たちの関係に向き合うのは、
別のことにゃ。

比較でなくとも、
「最近、ちゃんと話せてるかな」
ふたりの間を見つめる方が、
関係にはずっと効くかもしれないにゃ。

ここで、ちょっと考えてみてほしいにゃ。

あなたは自分たちの関係を
「他のカップルより良い」と
感じているにゃ?

もしそうなら、
それは何を根拠に
そう思っているだろうにゃ。

…そして、もし
その「特別感」がなかったとしたら、
今の関係に
どんな点数をつけるだろうにゃ?

怖い質問かもしれないにゃ。
でも、たまには「特別フィルター」を
外してみるのも、悪くないかもしれないにゃ。

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。

「私たちは特別」と思うこと。
これは悪いことじゃないにゃ。

むしろ、データが示しているのは、
この思い込みが関係を実際に支えている
ということにゃ。
コミットメントを高め、犠牲を受け入れやすくし、
満足感を生んでいたにゃ。

ただ、「特別だから何もしなくていい」
なってしまうと、話が変わるにゃ。

「うちは大丈夫」が、
向き合うことの代わりになってしまうとき、
バイアスは味方から敵に変わるにゃ。

大事なのはたぶん、
**「私たちは特別」と信じながら、
同時に「だからこそ手入れしよう」と思えること**にゃ。

特別だと信じる気持ちと、
油断しない気持ち。
その両方を持てたら、
いちばん強いのかもしれないにゃ。

もちろん、これはひとつの角度から見た話にゃ。
どんな関係にも、その関係だけの事情があるにゃ。

🐱

カップルの95%が
「私たちは平均以上」と思っている。
婚約中の人は、離婚率50%を知りながら
「自分たちは0%」と答える。

このバイアスは、関係を守る力にもなるし、
問題を見えなくする力にもなるにゃ。

**「私たちは特別」と信じること。
でも「だから安泰」とは思わないこと。**

その両方を持てるカップルが、
いちばん強いのかもしれないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🎓 学び舎

「伝えるためのひみつノート」で
コミュニケーションを実践する

📚 図書館

心に寄り添う物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

Rusbult, C. E., Van Lange, P. A. M., Wildschut, T., Yovetich, N. A., & Verette, J. (2000). Perceived superiority in close relationships: Why it exists and persists. Journal of Personality and Social Psychology, 79(4), 521-545.
Buunk, B. P., & van der Eijnden, R. J. J. M. (1997). Perceived prevalence, perceived superiority, and relationship satisfaction: Most relationships are good, but ours is the best. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(3), 219-228.
Weinstein, N. D. (1980). Unrealistic optimism about future life events. Journal of Personality and Social Psychology, 39(5), 806-820.
Baker, L. A., & Emery, R. E. (1993). When every relationship is above average: Perceptions and expectations of divorce at the time of marriage. Law and Human Behavior, 17(4), 439-450.
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
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