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🔬 猫の国 研究所

「うちは大丈夫」が
一番キケンかも
しれない

…離婚率を知ってるのに
「でもうちは違う」と思う心理にゃ。

🐱
👉 スワイプで読む
PM 10:47
最近また離婚した夫婦いるらしいよ
えー大変だね
まあうちは大丈夫でしょ
うん、うちは全然違うもんね
(…根拠はないけど)

こういう会話、
覚えがあるにゃ?

離婚率が高いことは知ってる。
周りにもうまくいかなかったカップルはいる。

でも「うちは違う」って、
なぜか確信してるにゃ。

これ、実はある研究が
とんでもない数字で証明してしまったにゃ。

🧪 Baker & Emery(1993)の研究

婚約中のカップルに
「離婚の確率」を聞いてみた

心理学者のベイカーとエメリーは、結婚を控えたカップルにシンプルな質問をしたにゃ。

「アメリカの離婚率はどのくらいだと思いますか?」

ほとんどのカップルが、だいたい正確に答えたにゃ。
約50%。半分くらいは離婚するって、みんな知ってたにゃ。

そして次に、こう聞いたにゃ。

「あなたたち自身が離婚する確率は?」

📊 婚約カップルの自己予測

一般の離婚率の認識 → 約50%(正確)

自分たちが離婚する確率の予測

0%

5%でも10%でもなく、文字通りゼロにゃ。

半分が離婚するのは知ってるにゃ。
でも「その半分にうちは入らない」と、
全員が思っていたにゃ。

統計を知っていることと、
それを自分に当てはめることは、
まったく別の話だったにゃ。

🧪 楽観バイアスという名前

これは恋愛だけじゃなく、
人間の脳に組み込まれた
クセにゃ

1980年、心理学者のワインスタインは、もっと広い範囲でこの現象を調べたにゃ。

病気になる確率、事故に遭う確率、仕事をクビになる確率…
さまざまなネガティブな出来事について「自分に起きる確率」を聞いたにゃ。

📊 楽観バイアス(Optimistic Bias)

人は悪いことが自分に起きる確率
系統的に低く見積もるにゃ。

しかも、統計を知っていても
このバイアスは消えないにゃ。

ワインスタインはこれを「非現実的楽観主義(Unrealistic Optimism)」と名づけたにゃ。

そしてこのバイアスは、恋愛関係において特に強く現れることがわかっているにゃ。

「他のカップルはダメになるかもしれないけど、うちは特別」。

この感覚は、愛情からではなく、
脳のクセから生まれているにゃ。

🧪 新婚だけじゃない、組織的な過信

結婚前カップルの
「うまくいく」への自信は、
現実とズレていた

「それって新婚のラブラブ期だけの話でしょ?」
って思うかもしれないにゃ。

でもファワーズらの研究(2001)は、結婚前のカップルにもっと具体的なことを聞いたにゃ。

調査内容

結婚生活への期待

葛藤の頻度、コミュニケーションの質、
性生活の満足度、家事の分担…
具体的な項目について「どうなると思うか」を聞いたにゃ。

結果、結婚前のカップルはすべての項目で現実より楽観的な予測をしていたにゃ。

📊 組織的な過信

ケンカの頻度 → 低く見積もる
コミュニケーション → 高く見積もる
満足度 → 高く見積もる

具体的に聞いても、
楽観バイアスは消えなかったにゃ。

つまり、「うちは大丈夫」は
ぼんやりした感覚じゃなくて、
具体的な場面でも、系統的に発生する認知のズレにゃ。

🧠 なぜ脳はこうするのか

楽観バイアスには、
ちゃんと「理由」がある

ここまで読むと、「なんでそんな非合理的なことを…」って思うかもしれないにゃ。

でもこのバイアスには、
ちゃんとした機能があるにゃ。

機能①

行動を起こすエンジン

「うまくいくかもしれない」と思えないと、
そもそも結婚しようと思えないにゃ。
楽観がないと、人はリスクのある行動を取れないにゃ。

機能②

不安からの保護

「50%の確率で失敗するかもしれない」と
毎日考えていたら、心が持たないにゃ。
楽観バイアスは、日常を送るための
心のバリアでもあるにゃ。

機能③

関係への投資を促す

「うまくいく」と信じているからこそ、
相手に時間とエネルギーを注げるにゃ。
最初から疑っていたら、関係は始まらないにゃ。

楽観バイアスはバグじゃなくて、ある意味では機能にゃ。

…でも、それが唯一の戦略になったとき、
問題が起きるにゃ。

🧪 楽観の「条件つき」効果

楽観主義が
うまくいくカップルと、
裏目に出るカップル

マクナルティとカーニー(2004)の研究は、楽観バイアスについてもう一歩踏み込んだにゃ。

新婚カップルを追跡して、「楽観的な期待」がその後の満足度にどう影響するかを調べたにゃ。

📊 楽観が効くための条件

問題解決スキルが高いカップル
→ 楽観的な期待が良い結果につながった

問題解決スキルが低いカップル
→ 楽観的な期待が失望につながった

つまり、「大丈夫」と思うこと自体は悪くないにゃ。

でも、「大丈夫」の裏に実際の対処力があるかどうかで、
結果はまるで違ったにゃ。

楽観主義は、
スキルと組み合わさったときだけ
関係を守る力になる

スキルなしの楽観は、
シートベルトなしで「安全運転だから大丈夫」と言ってるようなものにゃ。
運転がうまくても、事故は外からやってくるにゃ。

🔍 「大丈夫」が回避になるとき

「うちは話し合わなくても
わかり合える」は、
本当にそうにゃ?

楽観バイアスが一番やっかいなのは、
「問題を直視しない理由」になるときにゃ。

パターン①

「ケンカしないから大丈夫」

→ ケンカしないんじゃなくて、
不満を言えないだけかもしれないにゃ。

パターン②

「お金の話はしなくても平気」

→ 平気なんじゃなくて、
怖くて避けてるだけかもしれないにゃ。

パターン③

「将来のことはそのうち話す」

→ 「そのうち」は、
問題が大きくなるまで来ないかもしれないにゃ。

「うちは大丈夫」は、
ときに難しい会話を先送りする魔法の言葉になるにゃ。

そしてその先送りが、
スライド7で見た「スキルのない楽観」
つながっていくにゃ。

⚖️ 健全な自信と、見えない死角

「大丈夫」にも
2種類あるにゃ

ここまで読んで「じゃあ悲観的になればいいの?」と思うかもしれないにゃ。

そうじゃないにゃ。

タイプA

🟢 根拠のある「大丈夫」

「問題が起きたら、一緒に話し合える」
「お互いの不満を伝え合える関係がある」
「困ったときの対処法を知っている」
スキルに裏打ちされた自信

タイプB

🔴 根拠のない「大丈夫」

「なんとなく大丈夫な気がする」
「うちはそういうことにはならない」
「問題? ないない」
楽観バイアスによる思い込み

研究が示しているのは、タイプBが危険だということにゃ。

タイプAの人たちは「大丈夫」と言いながらも、
万が一のときの備えがあるにゃ。

タイプBの人たちは「大丈夫」と言うことで、
備えること自体をスキップしてしまうにゃ。

大事なのは、
自分の「大丈夫」がどっちなのか、
たまに立ち止まって考えてみることかもしれないにゃ。

ここで、ちょっと考えてみてほしいにゃ。

あなたの「うちは大丈夫」は、
どこから来てるにゃ?

一緒に問題を乗り越えた経験?
お互いの気持ちを話し合える信頼?

…それとも、
なんとなくの感覚にゃ?

どっちでも、
それ自体は悪いことじゃないにゃ。

「あ、自分はなんとなく派かも」って
気づけただけで、
もう一歩先に進めてるにゃ。

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

ここまでのデータを並べて、
研究所が思ったことをひとつだけにゃ。

「うちは大丈夫」と思えること自体は、
素敵なことだと思うにゃ。

それは相手を信じてるってことだし、
関係に希望を持ってるってことにゃ。
その気持ちがあるから、毎日を一緒に過ごせるにゃ。

でも、Baker & Emeryの研究が見せてくれたのは、
「信じる」と「備える」は両立できるということにゃ。

「うちは大丈夫」と思いながら、
それでも時々、ちゃんと話し合う。
不満を小さいうちに伝え合う。
お互いの期待を確認し合う。

楽観を捨てる必要はないにゃ。
ただ、楽観にスキルという地面
つけてあげるだけにゃ。

もちろん、これはひとつの角度から見た話にゃ。
「大丈夫」と信じることで救われる場面もたくさんあるし、
すべての楽観が危険なわけじゃないにゃ。

でも「知っていること」と「自分に当てはめること」の間にある
不思議なギャップを、覚えておいて損はないかもしれないにゃ。

🐱

離婚率50%を正確に知りながら、
自分たちの確率を0%と答えたカップルたち。

それは愛の証でもあり、
脳のクセでもあったにゃ。

**「うちは大丈夫」を
信じながら備えること。**

それが、本当の意味での
「大丈夫」に近づく道かもしれないにゃ。

📚 もっと深く知りたい人へ

猫の国には
こんな場所もあるにゃ

🎓 学び舎

「伝えるためのひみつノート」で
コミュニケーションを実践する

📚 図書館

心に寄り添う物語を読む

🛠️ 道具屋

自分を知るための診断ツールを試す

猫の国は、優しい人のための場所にゃ。

Baker, L. A., & Emery, R. E. (1993). When Every Relationship Is Above Average: Perceptions and Expectations of Divorce at the Time of Marriage. Law and Human Behavior, 17(4), 439-450.
Weinstein, N. D. (1980). Unrealistic Optimism About Future Life Events. Journal of Personality and Social Psychology, 39(5), 806-820.
Fowers, B. J., Lyons, E., Montel, K. H., & Shaked, N. (2001). Positive Illusions About Marriage Among Married and Single Individuals. Journal of Family Psychology, 15(1), 95-109.
McNulty, J. K., & Karney, B. R. (2004). Positive Expectations in the Early Years of Marriage: Should Couples Expect the Best or Brace for the Worst? Journal of Personality and Social Psychology, 86(5), 729-743.
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
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