
…新婚夫婦の2週間の日記に、そのあとの2日が残っていたにゃ。
こんな次の日、覚えがないにゃ?
夜のことが、
次の日まであたたかく残っている。
言葉にしたことはないけれど、
たしかにある、あの感じ。
それが何日くらい続くのか、
毎晩の日記で
数えてみた人たちがいるにゃ。
フロリダ州立大学のメルツァーさんたち(2017年)は、アメリカで結婚して間もない夫婦を調べた2つの研究、96組と118組のデータを合わせて分析したにゃ。
夫婦は14日間、毎晩寝る前に、夫と妻が別々に日記をつけたにゃ。書いたのは、その日セックスをしたかどうか。そして、したかどうかにかかわらず、その日の性生活にどのくらい満足しているか。
さらに、結婚そのものへの満足を、はじめと、4〜6か月後にたずねたにゃ。
した日に満足が高まるのは、想像がつくにゃ。では、その高まりは、何日目まで残っていたと思う?
セックスをした日に高まった性生活への満足は、
次の日、その次の日まで高いままだった
男女や年齢で差はなく、ふだんの回数や性格、付き合いの長さを考えに入れても見られたにゃ。
暮らしの言葉にすると、こうにゃ。月曜の夜のことが、水曜の夜まで「うちは、いい感じ」として残っている。
ここで残っていたのは、体の何かというより、「満たされた」という感じ方のほうにゃ。研究者たちも、気持ちや受けとめ方のはたらきとして考えているにゃ。
もうひとつの結果は、結婚への満足のほうにゃ。
結婚して最初の数か月で、満足がいくらか下がるのは、この研究の夫婦たちにも起きていたことにゃ。
2日後まで満足がしっかり残っていた人ほど、結婚への満足がはじめから高く、4〜6か月のあいだの下がり方もゆるやかだったにゃ。
2つの研究のどちらでも、同じ形が出ていたにゃ。
研究者たちが出発点にしたのは、あたりまえのことにゃ。多くの夫婦は、毎日セックスをするわけではない。この研究でも、そうだったにゃ。
ならすと、3〜4日に1回くらい。ただ、人によって大きくちがっていたにゃ。
では、しない日のあいだ、ふたりのつながりは何がつないでいるのか。
研究者たちの説明はこうにゃ。した夜の満足が2日ほど残ることで、次の夜までのすき間が埋まっている。余韻は、ふたりを結びつけておくための、橋のようなものかもしれない、と考えたにゃ。
ただ、これは研究者たちの見立てにゃ。余韻が強いから結婚がうまくいくのか、うまくいっているふたりだから余韻が残りやすいのか、この研究だけでは決められないにゃ。
この研究には、気をつけて読みたいところがあるにゃ。調べたのは、アメリカの、結婚して間もない夫婦だけ。結婚して10年、20年のふたりにも同じ2日があるのかは、まだわかっていないにゃ。
余韻がどこから始まるのかについては、少し前に、カナダの大学で調べた人たちがいるにゃ。2014年、付き合いの長いカップル101組に毎日記録をつけてもらい、3か月後にもう一度たずねたにゃ。
見たのは、セックスが終わったあと。くっついたり、なでたり、話したりして過ごす時間のことにゃ。
終わったあとの時間が長く、満たされていた日ほど、
ふたりとも性生活と関係への満足が高かった。
研究のあいだにそういう時間を多く過ごしたふたりは、
3か月後の満足も高かった
終わったあとの数分が、次の2日の入り口になっているのかもしれないにゃ。
別の研究でも、セックスのあった次の日は、気分がよく、生きている意味を感じやすかったにゃ。逆に、気分がいい日だからセックスをする、という向きは見られなかったにゃ。
研究の夫婦は、結婚したばかりで、毎晩同じ家に帰り、寝る前にそれぞれ日記をつけていたにゃ。
いまの日本の家で、「終わったあとの時間」と「そのあとの2日」がどうなっているかを、研究の先まで考えてみるにゃ。
日本では、子どもと同じ部屋で寝る家が多いにゃ。ふたりの時間はすき間に押しこまれて、終わったら、起きないうちに布団へ戻る。くっついて過ごす時間は、どうしても短くなりがちにゃ。
でも、余韻は終わった直後だけのものではなかったにゃ。次の朝の「きのう、ありがとね」のひと言が、短かった夜の続きになることもあるかもしれないにゃ。
夜勤やシフトで、平日はほとんど顔を合わせない夫婦もいるにゃ。2日の余韻では、次に会える日まで届かないこともあるにゃ。
研究は、毎晩いっしょにいる夫婦しか見ていないから、そのあいだを何がつなぐのかはわからないにゃ。電話の声や、短いメッセージが、橋の続きを架けているのかもしれないにゃ。
研究で2日残っていたのは、「満たされた」という感じ方だったにゃ。満たされなかった夜、気がのらないまま応じた夜に、あたたかさが残らないのは、ふしぎなことではないにゃ。
それは、あなたの感じ方がおかしいということではなく、その夜がどうだったかを教えてくれているのかもしれないにゃ。
あとをひく、あのあたたかさ。あなたがいちばん感じるのは、どんなとき?

「これって、気のせい?」
日記の答えに照らすと、
2日残っていたのは、
「満たされた」という感じ方だったにゃ。
たしかに、「気」のほうにゃ。
ただ、その「気」は、
ひと晩で消える気まぐれではなかったにゃ。
次の日も、その次の日も、
寝る前の日記の数字に出ていた。
それが長く残る人ほど、
数か月先の結婚への満足も、
下がり方がゆるやかだったにゃ。
日記が数えたのは、
あたたかさが何日残ったか、まで。
どうすれば残るかは、
あの14日の欄には
書かれていなかったにゃ。
あった朝には、それが前の夜の続きだとわかる。
なかった朝には、その夜がどうだったかを
思い出してみる。
余韻は、ふやすものというより、
前の夜からのたよりのように
読めるのかもしれないにゃ。
14日の日記を、
日づけの順にならべると。
14日のうち、
しなかった夜が
だいたい10日。
その10日も、ふたりは寝る前に、
性生活への満足の欄を
うめていたにゃ。
48時間のあたたかさが
書きこまれていたのは、
した夜の、次の日の欄と、
その次の日の欄。
たいていは、しなかった日の欄にゃ。
しなかった日の欄は、
ほんとうは空いていなかったにゃ。
猫の国は、優しい人のための場所にゃ。
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