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恋愛・パートナーシップ

あの人にドキドキしたのは、場所のせいもあった?

…ドキドキは、どこから来たのかまでは教えてくれないにゃ。

この研究を一枚で
問い
怖くてドキドキしているときに出会った相手に、人はひかれやすくなる?
どこで
カナダ・バンクーバー近くの、揺れる高い吊り橋と、低くてしっかりした橋。ひとりで歩いていた18〜35歳の男性(電話番号を受け取ったのは吊り橋18人・しっかりした橋16人。Dutton & Aron 1974)
どうやって
橋を渡った男性に、女性の聞き手が短いアンケートを頼み、最後に電話番号を渡した。あとで電話をかけてきた人を数えた
わかったこと
電話をかけたのは、吊り橋で18人中9人、しっかりした橋で16人中2人。聞き手が男性のときは、はっきりした差がなかった
その後の研究
ドキドキが相手の印象を強めるという実験は多い。ただ、同じ形で試して同じ結果が出なかった報告もあり、「ドキドキの理由を取り違えるから」なのかは、はっきりしていない

こんな会話、ないにゃ?

旅行先で会った人のこと、まだ考えちゃう
えっ、何話したの?
それが、ほとんど覚えてないんだよね
なのに、なんであんなにドキドキしたんだろ
(帰ってきたら、なんだか静かになってる)

いつもなら気にしない人に、
なぜかドキドキしてしまうことがある。

そのドキドキは、相手のせい?
それとも、場所のせい?

50年ほど前、それを橋の上で
確かめようとした人たちがいるにゃ。

🧪 研究 バンクーバーの二つの橋

怖い橋を渡ったあと、
男性たちは
電話をかけてきた?

カナダのブリティッシュコロンビア大学にいたダットンさんとアロンさんが、カピラノ川にかかる二つの橋で調べて、1974年に発表した研究にゃ。

揺れる吊り橋

幅およそ1.5m・長さおよそ140m・川面まで約70m

ワイヤーで吊られた板の橋。歩くと揺れるにゃ。

しっかりした橋

川面まで約3m

近くにある、揺れない低い橋にゃ。

橋を渡ってきた、ひとりで歩く18〜35歳の男性に、女性の聞き手が声をかけたにゃ。短いアンケートと、一枚の絵を見て物語を書いてもらう。

終わると聞き手は、紙に自分の名前と電話番号を書いて、「もっと話を聞きたければ、電話してください」と渡したにゃ。

番号を受け取ったのは、吊り橋で18人、しっかりした橋で16人。

このうち、あとで本当に電話をかけてきたのは、何人だったのかにゃ。

予想してみるにゃ

番号を受け取った人のうち、電話をかけてきた人の割合は?

📊 結果の読み方

差が出たのは、
電話の9人と2人だった

📊 わかったこと

吊り橋を渡った人のほうが、
あとで電話をかけてきた人が多く、
書いた物語にも性的なことばが多かった
(5段階で平均2.47、しっかりした橋は1.41)

ただ、数えなおすと、どちらの橋でも声をかけたのは33人ずつ。アンケートに答えたのは23人と22人。番号を受け取ったのは18人と16人。

ここまでは、ほとんど同じだったにゃ。

聞き手を男性にした場合も調べているにゃ。

男性の聞き手に、あとで電話をかけてきた人
揺れる吊り橋7人中 2人
しっかりした橋6人中 1人

このくらいの人数だと、1人ちがうだけで割合が大きく動くにゃ。はっきりした差とは言えなかったにゃ。

それに、どちらの橋を渡るかは、男性が自分で選んでいたにゃ。あの吊り橋をわざわざ渡りに来る人と、そうでない人は、もともと少しちがうかもしれないにゃ。

同じ吊り橋で、渡りおえて10分以上たった人と比べたときも、電話は直後のほうが多めだった。でもその差は、偶然でも出るくらいの小ささだったにゃ。

?

数えたのは、
「電話をかけたかどうか」だけ。

9人は、あの人に
ひかれていたのかにゃ。
それとも、話の続きが
気になっただけかにゃ。

🤔 なぜ、ドキドキがまざるのか

ドキドキに、
あとから名前をつける?

ダットンさんたちは、怖さのドキドキを、目の前の女性へのドキドキと取り違えたのではないか、と考えたにゃ。これが、のちに「つり橋効果」と呼ばれるものにゃ。

土台にしたのは、1960年代に、体をドキドキさせる注射を使った実験から出てきた「感情の二要因説」という考えにゃ。

①

体がドキドキする

胸が高鳴る、汗が出る。でも、それだけでは何の気持ちかわからないにゃ。

②

まわりを見て、理由を探す

怖い場面なら「怖い」、すてきな人が目の前なら「ときめき」。そう名前がついて、気持ちになる、という考えにゃ。

橋の上で言えば、「胸がドキドキするのは、この橋が怖いから」ではなく、「この人がすてきだから」と、理由のほうを取り違える、ということにゃ。

ただ、これは今もひとつの説にゃ。確かめられた仕組み、とまでは言えないにゃ。

🔍 その後の研究

ジェットコースターのあと、
写真の人は
すてきに見えた?

橋の実験と同じ形で、怖い場面で異性への好意が上がるかを試した研究があるにゃ。1979年には4回試して、4回とも同じ結果は出なかったにゃ。

2003年には、遊園地でジェットコースターに乗る前の人と、降りたあとの人、あわせて300人に、異性の写真を見せて、どのくらい魅力的かを答えてもらった研究があるにゃ。

友だちなどと乗った人

降りたあとのほうが、魅力的と答えた

乗る前の人より、写真の人をすてきだと答えやすかったにゃ。

恋人と乗った人

乗る前と降りたあとで、差がなかった

となりに恋人がいると、ドキドキは写真の人の印象にまざらなかったにゃ。

別の研究で、たくさんの実験をまとめて見なおすと、ドキドキしている人のほうが相手を魅力的だと答えやすい傾向はあったにゃ。ただそれは、ドキドキの理由がはっきりしているときにも出ていたにゃ。

ドキドキは、相手の印象を強めることがある。でもそれが「取り違え」のせいなのかは、まだわかっていないにゃ。

📱 今に置き換えて考える

電話番号の紙は、
いまはLINEのQRになった

1974年の男性たちは、紙に書かれた番号を持ち帰って、あとで電話をかけたにゃ。

いまなら、その場でLINEを交換して、帰りの電車でスタンプを送るかもしれないにゃ。

つながるまで

ドキドキが冷めないうちに、やりとりが始まる

番号を持ち帰って、受話器をとるまでには、少し時間があったにゃ。いまはQRを読むだけで、ライブの帰りや旅先の夜のうちに、もう話が続いていくにゃ。

ドキドキの場面

橋の上でなくても、たくさんある

ライブ、旅行、新しい職場、締め切り前の修羅場。いつもとちがう場所で胸が高鳴るとき、そばにいた人の印象は、少し大きく見えるのかもしれないにゃ。

落ちついてから

なんでもない平日の夜に、読み返す

ドキドキが落ちついた、いつもの部屋。そこで続くやりとりがまだ心地いいなら、それは場所の分を引いても残る気持ちかもしれないにゃ。

あの9人が電話で何を話して、そのあと続いたのか。橋の実験はそこまで追いかけていないけれど、いまの私たちには、いつもの夜に読み返せるトーク画面があるにゃ。

あなたならどれ?

ドキドキする場面で出会った人のことを、あとで思い出すとしたら、いまのあなたはどれに近い?

🐱 猫の国の研究所より

ここからは、
研究所の考察にゃ。

たくさんの実験をまとめて見なおすと、
ドキドキの理由がはっきりしているときでも、
相手は少しすてきに見えやすかったにゃ。

怖いのは橋のほうだと、
わかっていても、ということにゃ。

「取り違え」なら、
あの日の気持ちは読みまちがいになるにゃ。

けれど、わかっていても起きるなら、
それはまちがいというより、
音量が少し上がっていた、
くらいのことなのかもしれないにゃ。

上がったのは音量で、
鳴っていた曲は、
たぶん、あの人のほうにゃ。

橋の上で番号を受け取った34人と、
遊園地の300人。
それに、同じ結果が出なかった4回の追試。

ぜんぶを並べたうえでの、
ねこたちの読みにゃ。
ちがう読み方をする研究者も、
きっといるにゃ。

🎢

恋人と乗った人には、
写真の人が
いつもどおりに見えていたにゃ。

同じジェットコースターを降りても、
友だちなどと乗った人には、
写真の人がすてきに見えやすかったにゃ。

ドキドキがどこへ流れていくかは、
場所だけでなく、そのとき
となりにいる人でも
変わるのかもしれないにゃ。

あの日、胸が高鳴ったとき、
あなたのとなりには、
だれがいたにゃ。

📚 参考文献

この記事で紹介した研究

📋 研究所のほかのレポートにゃ

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RESEARCH No.95

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Dutton, D. G., & Aron, A. P. (1974). Some evidence for heightened sexual attraction under conditions of high anxiety. Journal of Personality and Social Psychology, 30(4), 510-517. リンク
Szczucka, K. (2012). Attraction at first fright? What Datton & Aron really demonstrated almost 40 years ago. Polish Psychological Bulletin, 43(3), 191-198. リンク
Schachter, S., & Singer, J. E. (1962). Cognitive, social, and physiological determinants of emotional state. Psychological Review, 69(5), 379-399. リンク
Meston, C. M., & Frohlich, P. F. (2003). Love at first fright: Partner salience moderates roller-coaster-induced excitation transfer. Archives of Sexual Behavior, 32(6), 537-544. リンク
Kenrick, D. T., Cialdini, R. B., & Linder, D. E. (1979). Misattribution under fear-producing circumstances: Four failures to replicate. Personality and Social Psychology Bulletin, 5(3), 329-334. リンク
Foster, C. A., Witcher, B. S., Campbell, W. K., & Green, J. D. (1998). Arousal and attraction: Evidence for automatic and controlled processes. Journal of Personality and Social Psychology, 74(1), 86-101. リンク
上記の研究知見をもとに、ニャンタルヘルスが独自に構成・考察したものです。原論文の翻訳ではありません。記事の内容は情報提供を目的としたものであり、医学的・心理学的な診断やアドバイスではありません。つらい状況にいる方は、信頼できる専門家にご相談ください。

著者:研究所のねこたち|ニャンタルヘルス
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