← 図書館へ戻る

缶コーヒーを、両手で包む

📅 2026-01-06⏱️ 3分✍️ 匿名の缶コーヒー派
日常ほっこり缶コーヒー小さな幸せ
冬になると、缶コーヒーを買う。 別に、コーヒーが飲みたいわけじゃない。 温かいものを、手に持ちたいだけ。 自販機の前に立つ。光ってるボタンを見る。赤いやつが、温かいやつ。 「あったか〜い」 このひらがなが、なんか好き。 ボタンを押す。ガコン、と落ちてくる。 取り出し口から拾い上げる。 あったかい。 両手で包む。 じわ、と熱が伝わってくる。指先から、手のひらへ。手のひらから、体へ。 この瞬間のために、缶コーヒーを買ってる。 歩きながら、ずっと持ってる。 飲まない。まだ飲まない。 だって、飲んだら減っちゃうから。温かさが、なくなっちゃうから。 信号待ちで、また両手で包む。 ほう、と息を吐く。白い息が出る。 寒い。でも、手は温かい。 それだけで、なんか幸せ。 いつも思う。私、単純だなって。 缶コーヒー一本で、こんなに満たされてる。 でも、それでいいと思う。 大きな幸せは、なかなか来ない。でも、小さな幸せは、130円で買える。 職場に着く頃、缶コーヒーがぬるくなってる。 やっと飲む。 「ぬるい」 でも、それでいい。ちゃんと温めてもらったから。 夏は、こうはいかない。 冷たい缶を持っても、「冷たい」で終わり。あの、じわっと温まる感じがない。 だから、冬が好き。 寒いのは嫌い。でも、缶コーヒーを両手で包めるから、冬が好き。 帰り道も、買う。 朝と夜で、二本。 贅沢かもしれない。でも、260円で二回も幸せになれるなら、安いと思う。 今日も寒い。 でも、大丈夫。 帰りに缶コーヒー買うから。 両手で包んで、ゆっくり帰るから。 それだけで、今日を乗り越えられる。 もしあなたも、寒くて辛いなら。 缶コーヒー、買ってみてほしい。 飲まなくていい。ただ、両手で包むだけでいい。 小さな温もりが、心まで届くから。 --- *© 2026 匿名の缶コーヒー派*