消えたいな、って思った夜があった。
何があったわけじゃない。ただ、疲れてた。全部に疲れてた。
布団の中で、天井を見てた。
明日も仕事か。明日も起きなきゃいけないのか。明日も、生きなきゃいけないのか。
消えたいな。
死にたい、とは違う気がした。積極的に死にたいわけじゃない。ただ、消えたかった。ふっと、なくなりたかった。
誰にも迷惑かけずに、静かに、消えたかった。
そのまま眠った。眠れないかと思ったけど、眠れた。
朝、目が覚めた。
カーテンの隙間から、光が入ってた。
ああ、朝か。
消えてなかった。まだ、ここにいる。
しばらく、天井を見てた。
起きなきゃ。でも動けない。動きたくない。
5分くらい、そのままでいた。
結局、起きた。トイレに行って、顔を洗って、水を飲んだ。
いつもと同じ朝だった。
何も変わってない。消えたかった夜の後でも、朝は普通に来る。体は普通に動く。
それが、少しだけ不思議だった。
あれから何回か、同じような夜があった。
消えたいな、って思いながら眠る。朝が来る。まだいる。
それを繰り返してる。
生きてる理由とか、分からない。頑張る理由も、分からない。
でも、朝が来たら、起きてる。ご飯食べて、仕事行って、帰ってきて、寝る。
それだけ。
それだけでいいのかもしれない、って最近思う。
意味がなくても、理由がなくても、ただ朝が来たから起きる。それでいい。
今日も、消えてない。
それだけで、今日は終われる。
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