← 図書館へ戻る
🙂

「いいよ」しか、言えなかった

📅 2026-01-06⏱️ 5分✍️ 匿名のイエスマン
境界線断れない人間関係疲れ自分を守る
「これ、お願いできる?」 「いいよ」 「今日、残業できる?」 「いいよ」 「週末、引っ越し手伝ってくれない?」 「いいよ」 私の口から出るのは、いつも「いいよ」だった。 本当は、嫌だった。 仕事はもう抱えきれない。今日は早く帰りたい。週末は休みたい。 でも、言えなかった。 「いいよ」の方が、楽だった。 断ったら、嫌われる。面倒な人だと思われる。空気が悪くなる。 そう思うと、「いいよ」しか言えなかった。 気づいたら、私の時間は全部誰かのものになっていた。 仕事では、いつの間にか雑用係になっていた。 「これ、あの子に頼めばやってくれるよ」 そういう存在になっていた。 友達からも、頼まれることが増えた。 愚痴を聞いてほしい。相談に乗ってほしい。一緒に来てほしい。 全部、「いいよ」って言った。 夜中の2時に電話がかかってきても、出た。 「ごめんね、こんな時間に」 「いいよ、大丈夫」 大丈夫じゃなかった。明日、仕事なのに。 でも、断れなかった。 ある日、限界が来た。 会社で、また仕事を頼まれた。 「これ、明日までにお願い」 私の机には、まだ終わってない仕事が山積みだった。 「あの、私も今ちょっと」 「大丈夫でしょ?いつもやってくれるし」 その言葉で、何かが切れた。 「いいよ」 また、言ってしまった。 その夜、家に帰って泣いた。 なんで断れないんだろう。 なんで「いいよ」しか言えないんだろう。 私の「いいよ」は、誰のためなんだろう。 考えたら、分かった。 嫌われたくなかったんだ。 「いいよ」って言えば、好かれる。必要とされる。 断ったら、必要とされなくなる。 それが、怖かった。 でも、今の私は幸せ? みんなに「いいよ」って言って、必要とされて、でも毎日疲れてて、夜は泣いてる。 これって、なんのためにやってるんだろう。 次の日、小さな実験をした。 「コピー取ってきて」 「ごめん、今ちょっと手が離せなくて」 心臓がバクバクした。 相手は、一瞬きょとんとした。 「あ、そう。じゃあ自分で行くわ」 それだけだった。 怒られなかった。嫌われなかった。 なんだ、断っても大丈夫じゃん。 それから、少しずつ練習した。 「今日は残業できません」 「週末は予定があるので」 「ごめん、今日はちょっと難しい」 最初は声が震えた。でも、言えた。 言うたびに、少し楽になった。 離れていった人も、いた。 「最近、付き合い悪くない?」 そう言って、連絡が来なくなった人。 最初は悲しかった。でも、気づいた。 その人は、「いいよ」って言う私が好きだっただけ。 私じゃなくて、私の「いいよ」が好きだっただけ。 それって、友達だったのかな。 今も、断るのは苦手。 「いいよ」って言いそうになる。 でも、一回立ち止まる。 「本当にいいの?」って、自分に聞く。 本当にいいなら、「いいよ」って言う。 嫌なら、断る。 それだけのことなのに、30年かかった。 「いいよ」は、魔法の言葉じゃない。 自分を削る言葉にもなる。 誰かに好かれるために、自分を差し出し続けたら、いつか空っぽになる。 だから、「いいよ」は大切に使おうと思う。 本当に「いいよ」と思った時だけ。 もしあなたも、「いいよ」しか言えないなら。 一回だけ、断ってみてほしい。 小さなことでいい。 「今日はちょっと」 それだけでいい。 世界は、思ったより壊れないから。 あなたは、「いいよ」って言わなくても、価値があるから。 --- *© 2026 匿名のイエスマン*