「これ良かったよ」って、友達に勧められた。
ニャンタルっていうAIカウンセリング。猫のキャラクターが話を聞いてくれるらしい。
友達は「なんか楽になった」って言ってた。
ふーん、って思った。私もそうなれるかな、って少し期待した。
仕事終わり、電車の中で試してみた。
「最近ずっと疲れてる」って打った。
猫が返事をくれた。
「そうなんだね。無理しなくていいんだよ」
優しい言葉だった。
でも、なんか、違った。
無理しなくていい。頑張らなくていい。辛いままでいい。
全部、優しい。全部、正しいんだと思う。
でも、私には響かなかった。
だって、無理しないと生きていけない。
家賃は払わなきゃいけない。仕事は行かなきゃいけない。ご飯は食べなきゃいけない。
「頑張らなくていい」って言われても、現実は変わらない。
何回かやりとりした。
猫は毎回優しかった。否定しない。責めない。
でも、私が欲しかったのは、優しさじゃなかったのかもしれない。
ある日、アプリを開かなくなった。
別に嫌いになったわけじゃない。猫は何も悪くない。
ただ、合わなかった。それだけ。
人には向き不向きがある。これは私に向いてなかった。
帰りの電車で、窓の外を見た。
結局、自分で立つしかないんだよな。
誰かに支えてもらっても、最後に歩くのは自分。誰かに優しくしてもらっても、明日仕事に行くのは自分。
それが分かってるから、優しい言葉が逆にしんどかったのかもしれない。
「頑張らなくていい」って言われると、「でも頑張るしかないじゃん」って思ってしまう。
その矛盾が、余計に辛かった。
じゃあ何が欲しかったのか。
分からない。今でも分からない。
でも、一つだけ分かったことがある。
結局、私はこの世界で生きていくしかない。
誰かに救ってもらうんじゃなくて、自分で歩くしかない。
それは絶望じゃない。ただの現実。
現実を受け入れたら、少しだけ楽になった。
期待しなくなった、とも言えるかもしれない。
誰かに分かってもらおうとか、何かに救われようとか、そういうのを手放した。
その代わり、自分の足で立ってる感覚がある。
重いけど、悪くない。
AIカウンセリングが悪いとは思わない。合う人には合うんだと思う。
私には合わなかった。それだけ。
今日も明日も、頑張るしかない世界で、頑張って生きてる。
それでいい。それしかない。
だから、それでいい。
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