もう何もかも嫌だった日があった。
仕事でミスして、上司に怒られて、帰りの電車で泣きそうになって。家に着いたら、もう何もしたくなかった。
ソファに座って、ぼーっとしてた。
消えたいな、って思った。全部投げ出して、どこかに行きたい。どこでもいい。ここじゃない場所。
そんなこと考えてたら、猫が来た。
うちの猫。普段はそんなに甘えてこない。気まぐれなやつ。
その日に限って、膝の上に乗ってきた。
丸くなって、目を閉じた。ゴロゴロ言ってる。
重い。あったかい。
なんか、泣けてきた。
お前、なんで今日来るの。私、今、最悪な気分なんだけど。
猫は何も知らない。ただ眠い。ただあったかい場所が欲しかっただけ。
でも、動けなくなった。
猫が膝にいるから、立てない。トイレにも行けない。何もできない。
仕方ないから、そのままでいた。
猫を撫でた。柔らかい毛。小さい体。ゴロゴロいう振動。
10分くらい、そうしてた。
気づいたら、さっきよりちょっとだけ楽になってた。
消えたい気持ちが消えたわけじゃない。問題は何も解決してない。
でも、猫があったかかった。それだけで、少しだけ息ができた。
猫が起きて、どこかに行った。
私も動けるようになって、とりあえずシャワー浴びて、カップ麺食べて、寝た。
最悪な一日だった。でも、猫が来てくれた一日でもあった。
次の日も、その次の日も、なんとか生きた。
あの日、猫が来なかったらどうなってたか分からない。たぶん、同じように寝てたと思う。
でも、来てくれた。
それが、なんか嬉しかった。
今日も猫は気まぐれ。全然膝に来ない日もある。
でも時々、ふとした時に来る。
それだけで、まあいいかって思える。
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